一章:魔法使い、付与剣修復の前に。
蓋が取れたら回路破損の可能性があるので、そりゃあちゃんと取れない様にしなければならない。下手すると魔道具の核も取れかねないし。とは言え、何かあった時に修復できる様にもしないといけない。
回路を書いたら終わり、ではないのだ。
「ちなみにこの魔道具って、すぐに使えるんです?」
「実はねー、すぐに使えないんだよー。一週間ぐらい回路を馴染ませないといけないんだー。」
ルディが疑問を告げると、すぐにヘルロットが返す。
やはり、多少なりともマナの固有波長の影響があるのだろう。一週間で使用に問題ないぐらいにマナの固有波長が平坦化するのだと思われる。付与師とか魔道具師は経験則で、この現象を知っているのだろう。知識の積み重ねって凄いのだ。
さて、ここまで魔道具作成の見学をさせてもらい、また、色々説明を受けて思った事がある。
魔道具の核がある場合、そこに何が書いてあるのかを、文言をきちんと確認しなければ、実際に利用できる魔道具にできないのではなかろうか、と言う事だ。
「ダンジョンで出てきた魔剣とか付与剣とか魔道具を修復する場合、魔道具の核に書かれている文言の確認って…。」
「必須だねー。この世界で使われていない言語とかで書かれていることもあるからー、解読作業大変なこともあるんだー。」
ミルキィが質問を口にすれば、あっさりとヘルロットは肯定を返す。やっぱりか。
言語の問題に関しては、旅人達の自前能力でなんとかなるのだ。さて、未知の言語とは、地球の言語なのか、全く違う世界の言語なのか、はたまた別の領域の言語なのか。…一番最後のが一番確率高そうだな、とミルキィ的には思う。
この自前能力、恐らく修復の時に使い倒すのだが…研究所から翻訳作業の依頼が来ないことを祈っとこう。訳す為の辞書はつくりません。
持っている魔道具の核出しておきますね、とルディが〈収納〉から付与剣や魔剣に使われている魔道具の核を、ぼろぼろの剣ごと取り出した。
構造はもうわかってるし、核だけ使う事になるのだ、とシルトが宣言して。ルディに〈収納〉から麻の大きめの一枚布を出してもらって、布を広げてその上で核を取り出しにかかる。道具はいるか?とテオラルテも参加しにいった。
「ちなみに、どうやって文言を確認するの?」
「じーっくり核を見てー、核の中で踊る文字を頑張って書き出してー、必要なら翻訳して文章を組み立ててるねー。
研究所や都市とかにある大きな魔道具の工房ならー、魔道具の核の文言を解読する為だけの魔道具があるらしいー。結構大きい魔道具みたいだし高いしー、ちょーっと買えないのー。」
スノゥの疑問にけろりとヘルロットが答えるが。なんと言うか、力技で解決してますと言われた様なものである。
一文ずつで舞ってるからねー、単語ごとじゃないからねー、とヘルロットが説明しているのだが。そもそも、動いている文字を書き起こすのが大変な作業である。魔道具師、すげぇ、とアトラが感嘆の声を上げた。
一方で、ヘルロットは何か気付いた表情を浮かべてから、肩をがっくりと落とした。
「そうだねー、核に何が書かれているか確認してからじゃないと修復できないよねー…。文言書き出してー、必要なら翻訳してー、文章組み立ててー、どんな要素が含まれてるのか確認しなきゃだねー…。
ううう、すぐにでも魔剣の修復しているのを見たかったのにー…。でも、正直、魔剣の文言でどんな事が書かれてるかも気になるー。」
ゆっくりと喋っているヘルロットにしては少し早口で喋り倒し、最終的にちょっと顔を上げた。
その一方で、剣から核を取り外している組はこつこつと、核を痛めない様に核の周りの金属を剥がしていく。かなり丁寧に取っている様子。
顔を上げたヘルロットが、ミルキィの方を見て一声。
「ねぇねぇ、核の文言の解読ー、魔法使いの力でなんとかなるー!?」
「おいこれヘルロットよ、無茶振りするでない。」
唐突なヘルロットの一言に、テオラルテがツッコミを入れるが。
ミルキィは視線を逸らしながら、答える。
「なんとかなりますねぇ…。」
「なるのー!?」
「…なるんかい。」
スキル駆使しまくればなんとかなるんですよ。
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




