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一章:魔法使い、付与の見学。4

〈丸壺〉で買った魔道具は全て核無しの魔道具になります。

「それならわしも知っとるな。魔石の加工に失敗したら、魔石が魔道具の核にならぬ。要は縮まらんな。」


からころと、口の中で飴玉を転がしているヘルロットに代わり、テオラルテがスノゥに答えた。


「なるほど。で、加工に失敗したら再利用って出来るの?」

「出来んな。トロパ鉱に含まれた加工者のマナと干渉しあって、魔石ではない何かになったから、と前に聞いた記憶があるな。」


あ、そりゃあ失敗しない様に色々手を打たれるわ。テオラルテの説明を聞いて、ミルキィは思わず口がきゅっ、となってしまった。

そもそも魔石の1級、2級は大銅貨で取引されるレベルの魔石だ。結構なお値段である。それが、加工に失敗したら魔石として再利用不可である。普通、お財布が痛くなると言うレベルではない。

その辺りの金銭感覚は旅人達よりもしっかりしている〈森の輪〉である。ぶるり、と体を震わせいた。やや沈黙が横たわる部屋の中、震える声で、ルビナがテオラルテに質問する。


「何か、何かに使えたりはしないの…?」

「周囲のトロパ鉱を魔石の表面ごとこそぎ落としてから、装飾品の飾り…要は宝石の様なもの、として扱うぐらいかの。魔石の色によっては需要もあるぞ。

ただ、魔石自体の価値は下がっておるから、損失はそれなりに出るな。」


テオラルテの説明に、それなら、まぁ…とルビナは納得しているが。それは、魔石の色によっては装飾品としての需要すらなくて、下手すると魔石代がまるっと損失になるやつでは…?

失敗する事で起こる損失に若干ひいたまま、トゥエラがテオラルテに尋ねる。答えるために口を開いたテオラルテの横で、がりりと飴玉を噛み砕く音が聞こえた。


「え、削り取ったトロパ鉱は再利用可能なんです?」

「回路として成立してないからな。削ぎ取った段階で液体から固形化するらしいぞ。実際に見た事はないがな。

加工した者と別の者のマナを注げば再利用可能らしいが、かなりのマナ量が必要らしいとは聞いた事がある。」

「それ、再利用可能って言います…?」


多分、加工者より使用するマナ量を上回る必要がある気配がする。1級の魔石で加工失敗した場合、それ本当に再利用できるのだろうか。

うわぁ、と言いたげな顔をするトゥエラである。

今度は飴玉を噛み砕いて完食したヘルロットが口を開いた。


「んー、王都の研究所に送ればどうにかしてくれるねぇー。トロパ鉱もそれなりのお値段するしー、再利用できた方がいいからねー。」

「…もしかしなくても、複数人でマナを注いでも大丈夫な感じ?」

「そゆことだねー。その代わり、大掛かりな魔道具作製にしか使えないトロパ鉱になるけどー。」

「それって再利用可能って言えるの?」


ヘルロットの説明を受けて。スノゥの結論が、トゥエラの疑問と重なる。

これ、加工失敗したら、基本的に素材代がまるっと損失になるぐらいの覚悟でやった方がいいのではなかろうか。研究所に送るとなると送料が更にかかる、とか考えると失敗しない事が重要だと思う。

失敗についての話を真面目な顔で聞いていたクロムが、低めに手を上げて疑問を口にした。


「ちなみに、トロパ鉱のお値段っておいくらほどになるんです?あと、研究所は失敗した時のトロパ鉱を買い取ってくれるんですか?」

「トロパ鉱は製錬されておるもので、1トレン大鉄貨4枚ほどだな。

基本、トロパ鉱石は鉄や銅、銀などを採掘する時に一緒に取れる鉱石でな。それなりの量が採掘出来るんだが、基本的に使い道が魔道具作製しかない。マナに反応して液体化する特性じゃからな。故に、鉄や銅よりも安く流通しとるわけだな。」

「1トレン分あればー、核ありの魔道具が5個ぐらいは作れるかなー。だから失敗した時にトロパ鉱はそこまで痛手にはならないやー。でも、トロパ鉱部分は一応念のために研究所に送らないといけないんだー。

研究所は失敗したやつを買い取ってはくれないねー。送られたやつは受け取るけどー、再利用する為のマナ量確保が大変だからー、っていう理由だねー。」

「なるほど。ありがとうございます。」


意外とお安かったのね、トロパ鉱。研究所に関してはさもありなん、といったところだろうか。

ミルキィ達的には、実際に自力で魔道具を作る事もあるだろうから、安い分には助かるのだが。魔石は、キュウヤの〈収納〉に入っている〈緑化人〉系統の魔獣のものもあるし。ミルキィが持っている1段以上の魔石もあるので、割と核にできる魔石は色々持っているのだ。そういえば、スノゥの狩った〈歩行樹〉の魔石も2級のものがあったし、〈大歩行樹〉の魔石なんて1級のものしかない。改めて考えると、使えそうな魔石が結構あった。

トロパ鉱を買えるところを探さないとなー、とミルキィが考えていると。ヘルロットが再び液体化したトロパ鉱の水面に、万年筆の様な道具のペン先をつけた。


「わたしはねこのペンを使ってるけどー、トロパ鉱で文字を書けて、魔道具の核を作成している時にマナを注ぎ込みやすい道具だったらー、なんの問題もないんだよー。

あとはそうだねー、トロパ鉱にマナを注いでも液体化させるのは、回路を書く人本人がした方がいいかなー。トロパ鉱を液体化させる人とー、回路を書く人が別だとー、魔道具に不具合が出たりー、魔石を魔道具の核に加工する時に失敗しやすかったりするんだー。」


あっさりとヘルロットが告げるが、それは割と大事な話ではなかろうか。

読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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