一章:魔法使い、見学の前に。
ちょっと今日は短めです。
てくてく歩いて、広場に到着した。露店も昨日に比べて多く出店されており、露店を見ている人も多い。
各自が予算と称した大銅貨一枚分の小銭を準備して。いくつかのグループに別れて、小麦粉や香辛料、調味料を買いに行ったり、木の食器やカトラリーを買いに行く。10分間の自由行動である。なお、ルディと〈森の輪〉が広場の入り口付近の装飾品系の露店を見学しつつ、待ち合わせ場所になってくれるとの事。
なお、使用した金額は後でキュウヤに各自申告する事になっている。後で家計簿に記載するとの事。どんぶり勘定だと後で苦労するだろうからね、とキュウヤが苦笑しながら言っていたのだ。多分この後も何だかんだとお金使うだろうしねぇ。
他のグループがあっちこっちで木製の食器やカトラリーを大人買いをし、最終的に纏めてスノゥが〈収納〉。キュウヤとミルキィは様々な調味料や香辛料を購入し、ノートとアヤナは様々な種類の小麦粉を購入して、全部まとめてキュウヤが〈収納〉して、きっちり10分でルディと〈森の輪〉と合流した。
色々な食材を購入して、ほくほく顔のキュウヤである。きっと、調味料や香辛料がどんな味なのか確かめるために、野営の時に色々と試すんだろうなぁ。それなら採取や討伐もしたいし、森に行くか、とミルキィは思う。後でキュウヤに相談しとこう。
合流して、旅人達と〈森の輪〉は〈テオのふいご〉と〈レテの弓〉を目指す。
「なんかいいものあったのだ?」
「割と見た事のない調味料とか香辛料が色々あったから買ってみた。どんな味がするんだろうね?」
「キュウヤさんキュウヤさん、色々買ってましたけど…?」
「味は調理してからのお楽しみかなぁ。」
食器やカトラリー購入班であったシルトがほくほく顔のキュウヤに声をかける。見た事のない、というキュウヤの言葉にひっかかったのだろうか、アトラが振り返ってキュウヤに問いかけたりもして。
まあ、この領域の人の文化に触れ始めてまだ三日目である。調味料や香辛料を見て、ああ、あれだね!と答えられる領域にはまだ至れない。〈鑑定〉しても得られる情報は結局文字情報だけなので、じゃあどんな味なのか、というのは想像でしかない。向いている料理の傾向とか教えてくれるけどね、〈鑑定〉。まぁ、見知った調味料や香辛料に似たものであればある程度は想像がつくのだが、そういったものばかりではないのである。緑のハート型の実の香辛料って、いったいどんな味がするんだろうね?
知らない調味料や香辛料を使って美味しいものができる料理本って、素晴らしい。その味が個人的に合うか合わないかは別にして。多分きっと、最終的にキュウヤはそれでも美味しいものを作ってくれるでしょう。その前にあるであろう、試行錯誤の日々はちょっと目を逸らしておいて。…無論、食べますよ?
買ったものについてのやり取りをしていたら、あっという間に〈テオのふいご〉、〈レテの弓〉に到着した。
お邪魔しまーす、とキュウヤが代表して扉を開けると。
「いらっしゃぁぁぁぁぁい!まってたよー、めっちゃまってたよー!」
「わしらの店じゃからな?ここお主の店ではないからな?」
「あらあら。ヘルロットちゃん、興奮してるのね。」
大興奮のヘルロットと、ツッコミ担当のテオラルテ、穏やかなレディトラスの三人が待ち構えていた。約束よりいくらか早い時間であるのだが、多分ヘルロットが待てなかったのだろう。昨日もすぐに見たい!だったからねぇ。
「昨日と同じ部屋を開けておる。そちらでまず付与の見学をしてもらおうかと考えておる。」
「あれ。綺麗な応接室だけど、作業室的に使っても大丈夫なんだ?」
テオラルテの案内に、スノゥが首を傾げる。
旅人達的には、作業室は大なり小なり汚れるものだと思っているのだが。汚れる度に〈浄化〉かけたりしてた日々である。しつこい汚れが落ちるから、〈浄化〉は本当に便利である。本来の使い方から若干逸れている気がしなくも無いのだが、使えるものは便利に使わないと。
「トロパ鉱が溶けた液体をこぼさなきゃー、基本的に付与は汚れないよー。」
「成程。それなら…大丈夫なのかな?」
「まかせてよー。あ、机に近づく時はー、気をつけて欲しいなー。」
「わかったのだー。」
ヘルロットとスノゥ、シルトが会話しつつ、全員で昨日の部屋へと移動開始した。
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




