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一章:お互いに情報収集

説明回は続くよ…

ノートとクロムが人数分の椅子といくつかの机を持ってきて。全員で着席して。キュウヤが更なる料理を出してきて。全員で料理を食べながら。


「これ美味いっす、キュウヤさん!」

「はわわわわ、森の中でこんないろんな料理食べれるなんて…!美味しいですー!」

「ふふっ、喜んでもらえて嬉しいよ。」


いざ、情報交換。

なお、今回はミルキィとルディは記録係です。


「皆さんはどうしてこんなところでこんな立派な畑を…?」

「ちょうどいい感じに宿代わりの洞窟があったからなのだなー。」


質問者、トゥエラ。回答者、シルト。

洞窟を宿代わりにしている、というあたりで、ええ…?と戸惑った表情を一瞬浮かべるが、すぐに真面目な表情に戻る。そうなるよねぇ…。


「森の木々の状態、土壌の様子、作物や薬草などの育成状況的に問題があるのは一目瞭然だったから、どうやったら対処できるか調べようと畑を作って、結果がこれなのだー。」

「え…?」

「なんとか、薬草も育ったのだよー。」


そうだよね、びっくりして言葉を失うよね。

食糧不足の解決手法が見つかった上に、薬草の育成方法も確立したと言っているようなものだ。不安定だったであろう回復剤系統の安定供給の目処がたった、とも言い換えていい。

トゥエラが震える声で、方法は…?と問うのもさもありなん。シルトもあっけらかんと、確立してあるのだー。と笑う。

よく考えなくても、今回の方法確立は紛う事なき大金星である。〈森の輪〉の面々の発言的に、少なくとも食糧の収穫量は低下していたはずだ。現状の改善の一手がこんな洞窟前の畑に存在しているとは、普通思うまい。


「あの…その情報は、」

「当然、然るべき場所に提出するのだ。トゥエラ、エデュライナ、君達の所属している集団、あるいは組織ではこう言った情報も取り扱い可能なのだ?」

「…断言はできませんが、恐らく、可能かと。」


表情がややこわばっているが真剣な眼差しで、トゥエラが答える。

こちら側としては作物然り薬草然り、マナ不足下における収穫量を安定させる方法はどこかの組織なり集団なりに託して、手法を一般的に広げてもらう想定だった。

伝手もない状態だったので、ではどこに情報を持ち込むのか、と言う問題が燦然と輝いていたのだが…〈森の輪〉に仲介してもらい、情報を託すルートが出来たのはありがたい。


「もしかしてっ。この畑みたいにうちらの村の畑でもいっぱい収穫できるようになっちゃう?」

「詳しくルビナ達の村の畑の状態を見てみないと断言はできないけど。栄養も水も水捌けも問題なし!って状態なら、なんとかできるはずなのだ。」

「おじさん達、土の状態は問題ないはずなのに…って言ってたはずだから、シルトちゃんの言う条件に当てはまるはず。」

「それならいけそうだと思うのだ。」


期待に満ちた瞳でシルトを見るルビナに、にこりと笑ってシルトが答える。アトラもきらっきらした瞳だ。

反面、トゥエラとエデュライナの表情はやや強張ったまま。この二人がパーティーの情報担当なのだろう。考えたらとんでもない事聞かされてるからね、〈森の輪〉。


「まあ、この森でしか試してないから汎用性が不明、という問題点も存在するけれど。」

「その辺りの検証提起含めて情報提供すれば問題ないと判断している。」


にこにこと微笑んでアヤナが、笑顔も浮かべずフォードが追記点を述べて。同時に水を飲んだ。

つられるようにトゥエラとエデュライナも水を飲む。そっとキュウヤとルディが二人に料理を勧めていた。ちょっとご飯食べて休憩したらいいよ。


「そーいえば。アトラ達の所属している組織、あるいは集団って、どう言う名前なのだ?そこに情報持ち込むから、名前だけでも知っておかないとなのだ。」

「ん?〈冒険者ギルド〉の事か?」

「なのだ。〈冒険者ギルド〉ならそこに申請したら冒険者になれるのだ?」


シルトの質問が止まらない。今後必要な情報だから、ツッコミは入らない。

トゥエラとエデュライナは黙々とご飯を食べている。


「そうだな。軽い戦闘試験があるけど…森の中で住んでたなら、そっち方面は大丈夫そうだな。」

「なるほどー。戦闘試験ぐらいならなんとかなるのだよ。」


全員戦えるからね!これなら冒険者には、問題なくなれそうだ。


「ふむ、では全員問題なく冒険者になれそうだな。」

「アトラ君やアトラ君や、冒険者ギルドまで案内お願いしてもいいかな?依頼にした方がいいならそうするんだけど、現金ないし、お代は魔石になるかな。」


セイカがゆるりと頷いて、課長がアトラに案内を依頼していた。

確かに、現地通貨一枚も持っていないからね。現金で支払えない。

情報担当コンビが再び固まる。


「いいっすよー!」

「待て待て待て待てっ。」


ぴっかぴかの笑顔であっさりと課長の提案を受け入れるアトラに、勢いよくトゥエラがツッコミを入れる。

…まさか条件を詰める前に了承してくれるのはびっくりだよ…。大丈夫?今までに依頼関係で騙された事ない?あっさり了承された課長が固まっているが、さもありなん。


「依頼を受ける前に条件確認して、パーティーメンバーに相談しろって、いっつも言ってるよなっ。現金ないって言ってる事に違和感を持てっ。」

「えー、美味しい飯食わせてくれたし、魔石くれるって言うし、案内だけなら問題なくね?」

「条件確認してない方が問題よ…?」


情報担当が自分たちのリーダーに説教していると、ルビナが課長を見て、口を開く。


「ねーねー、どうしてお金ないの?」

「七日前にこの世界に来たからだね!」


にかー、とした笑顔を浮かべた課長を、トゥエラはぎぎぎぎ、と首を回して見て。

エデュライナは唖然とした表情で、ぽろりとカトラリーを落としていた。


読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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