一章:魔法使い、報酬について話す。
ミルキィとキュウヤの言葉に、トラおじじは一つ頷いて。じゃあわしはドレグを連れて冒険者ギルドルビナリオ支部の対策会議に向けて根回ししてくるの、お茶美味かったぞ。と、椅子から降りて、旅人達が見せた魔法を見て目を輝かせてるドレグを回収して執務室に向かうトラおじじ。
エディスは、お茶ごちそうさん、と謝意を告げる。情報収集も頑張んなきゃな…と遠い目をしながら、新人冒険者達を指導する先輩冒険者達の方へと向かう。
解散になりましたし、テーブルセットも片付けますよね、と、ルディは〈収納〉から紐のついた大きめのバインダーを取り出し、即席の机として使い始めた。文字を書く手は止まらない。
ハーブティーの茶殻は小袋に一纏めにし、後で肥料に変える予定である。使った茶器はさくっと〈浄化〉してキュウヤが〈収納〉する。椅子とテーブルもキュウヤが〈収納〉して、後片付けは完了した。ちなみに、トラおじじとエディスと話していた内容は、周囲に漏れ聞こえないように念の為にキュウヤが結界を張ってくれてました。どんな話が出てくるかわからなかったからね!
「あ。トラおじじに、洞窟の家具の材質を伝え忘れた。」
「ごめんルディ。伝言一件追加で。」
「そういえばそうでした。わかりました。」
そんな一幕もありつつ、他の旅人達と合流する。ロヴェルがローナより、既に流れ解散の指示が出ていると聞き、とりあえず魔獣素材の買取がどうなっているのかを確認する為、解体部屋に向かう事に。
冒険者達と、お疲れ様でしたー!と挨拶を交わし。訓練場の扉をくぐり、壁の外に出る。移動しながらルディは書き起こしを続けており、ロヴェルが危険がないように誘導している。
そして訓練場から出るなり、キュウヤが口を開いた。
「そのうち依頼を受けてルビナリオに行く事になったけどさ。報酬どうする?」
「お金は…〈緑化人〉の二集団分売れば結構な金額になりそうじゃね?講義前に解体部屋に持ち込んだやつもあるしさー。」
「講義前に持ち込んだ、高位貴族用の装飾品に加工できるレベルの素材に、一枚板でも珍しい木の丸太…どれくらいの価格になるんだろうねー。」
わちゃわちゃと、話しながら進む。
ノートとスノゥが素材の買取金額について話し始め、そうそう、とミルキィが話にのる。
「買取価格のうち、いくらかは日用品買うのに使わせてね。主に食料品もだけど、食器系とタオルに毛布を増やしたい。欲を言えば、魔道具のコンロも増やしたい。」
「…勘か?」
「ルビナリオについての考察聞いてねぇ。」
大量の買い物要求についてセイカが問い、ミルキィの返答を聞いて、なるほど、と呟いた。むむむむむ、と難しそうな顔をして両方の人差し指でこめかみを押しながら、ミルキィは勘の内容を脳内で整理する。
セイカの横でにいるノートが、そんなミルキィに尋ねた。
「ちな、どんくらいの確率で?」
「必要になるだろうねぇ、だけなら割と高いと思う。どれくらいか、ってなると割とたくさん…?ごめん、これ関係で毛皮は売れないかなー…。」
「身体を温めるのに毛皮も使えますものねぇ。」
ミルキィの言葉に、アヤナが頷いて。
確率が高いのならばそうなのだろうな、とフォードが呟く。
「布系は高いし、リネン周りは最終手段として、手持ちのものを出す、ってのはあるけども。そもそも数が確保できるものなのかな?」
「こっちの素材じゃないからあまり取りたくない手なのだー。
まずは、〈森の輪〉に聞いてみるのだ。〈森の輪〉が知っているお店では難しそうならドレグにも聞いてみるのだ。〈巨岩山鳥〉の羽根を渡したらきっと多分教えてくれるのだ。」
うーん、とキュウヤが最終手段を示し、シルトがツッコミを入れる。
他の面々の話を聞いて、ミルキィが指をこめかみから離し、キョトンとした顔で周りを見た。
「あ、購入に関してはオッケー出てる?」
「ミルキィの勘で、しかも高確率なら、その通りに行動しといて問題はないだろ。使わなかったらどこかで寄付しても良いし。」
「孤児院とかに寄付できたら良いですわね。」
当たり前だろ?といった顔をして、キュウヤはミルキィの方を向く。ふふっ、と微笑んで、アヤナが補足をいれた。
じゃあ、買い物はそういう事で、とノートが告げて。
「で、報酬どうする?なんか欲しいものあるか?」
「武器は手持ちので十分。防具もいらないですし。特にこれが欲しい、という素材もありませんよね。」
「ルビナリオ以降も移動するだろうから、不動産系もいりませんわねぇ。手に余りますわ。」
「服も結局は着慣れたものが一番なのだ。礼服ぐらいはあってもいいかもなのだ。」
「冒険者的にはなくても良さそうだけど、魔法使い的にはいるのかもしれないしな。」
クロム、アヤナ、シルト、ロヴェルが口々に意見を言う。礼服の意見に賛成票がはいりそうだが、でも本当にいるだろうか…という雰囲気が漂っていたりもする。
あのー、と、書き出し中のルディがそっと手を上げて、告げた。
「礼服を報酬にしたら、デザイン案に関わらせてもらえなさそうなんですが…。どうします、魔法使い用だから!と煌びやかなデザインの礼服が来たら。」
「…礼服は無しだな。」
「異議なし!」
報酬礼服案は否決されました。仕立てるなら自分たちの意見を入れたいところである。
「…冒険者ランク上げてもらうか。
ルビナリオの問題が落ち着くまではEランクのままでいって。問題がどうにかなったら試験無しでいけるとこまで上げてもらえないか、って感じで。」
「賛成ですわ。」
結論、報酬は冒険者ランクになりました。トラおじじにはルディから伝えてもらう予定です。
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




