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一章:魔法使い、これからの見通しについて。1

ふわり、と微笑んで。キュウヤが代表して告げた。照れる人がいたり、この町は素敵でしょう!と胸を張る人がいたり、新人の技量じゃないんよ…と呟く人がいたり。

そんな中、キュウヤの言葉を受けて、先輩冒険者の一人がぽつり、と呟く。


「もうすでに結構戦えるんだな…割と珍しい部類の魔法使いだな?」

「こちらにきたばかりの魔法使いのほとんどが、戦い方を知らないとはきいてる。戦えないのが普通なんだろうね。」

「ま、過去にも戦える魔法使いや勇者がいなかったわけじゃないんだけどな。既に自分達の身を守れるのなら、それに越した事はないな。」


冒険者ギルドが魔法使いを保護する方針をとっているのはローナの講義でも説明があったのだが。先輩冒険者の話的に、戦う方法を知らない魔法使いに戦闘方法を教えていく事も、冒険者ギルドの方針としてやっているのかもしれない。国際的な方針として魔法使いも勇者もある程度の自由と安全性を保障されているようなものだけれど、実際問題戦えないと身を守る事ができないかもしれない。魔獣だって存在しているのだ。育成プログラムが存在しててもおかしくないだろう。

過去の勇者や魔法使いで元々戦えたという人達も存在しているとは聞いていたが。彼等彼女達の暮らしていた地球にはどのような要素があったのだろうか。ダンジョンがあったのだろうか。魔法や魔物が存在したのだろうか。宇宙に飛び出して、ロボットで怪獣と戦っていたのだろうか。はたまた異世界交流があり、異世界で魔物と対峙した事があるのだろうか。それとも地球とは全く無関係の別の世界からやってきたのだろうか。

資料室にこの辺りの資料もないだろうか。ミルキィ的に気になってきたので、資料を探してみようと思う。

話していると、しずしずとローナが手を上げて、声をかけた。


「あの、ギルドマスター…。」

「ふむ。ここで皆で話しとっても訓練にならんか。わしと、皆様方からも何人かと…エディス。」

「指名されるんだ!?あー…Bランクのエディス・ノインです。ソロで大森林探索したり、ここで新人冒険者の戦闘訓練してたりしてるんだけどな…。」

「よろしくお願いします。改めて、クラン〈笑顔の行進(スマイル・パレード)〉からは俺、ミルキィ、記録担当でルディかな。後の面々は他の冒険者の人達と訓練かな。」

「んむ。ではこの五人でちょっとお話しするかのぅ。他の皆は訓練がんばってのー。ローナも初心者講義の訓練よろしくの。…ドレグはまだ皆様方の訓練見とるかの?」

「ええ、出来る事ならば!」

「それなら僕の魔法でも披露しましょうか。訓練にも使えますし。」

「是非ともお願いします!!」


トラおじじの提案にのるキュウヤ。

ルディ指名はね、記録担当してもらうのはそうなんだけど。その前に木剣使えないからね…装備縛りみたいな状態だから…。ちなみに、前に武器屋見学した際に、武器のエピソード的に武器が出せなかったのはルディである。

ドレグはクロムの提案に全力でのっかっていた。訓練に使えるという事は、幻影の獣でも出すのだろうか。

んでは、解散じゃぞー、とゆるっとしたトラおじじの声掛けに、冒険者と訓練に参加する旅人達が訓練場のあちらこちらに散っていく。ローナは無茶をせず、怪我をしないようにしてくださいね、と声をかけていた。

わしらはこっちじゃぞー、とトラおじじは訓練場の壁の近くの休憩所にエディスとミルキィ達を誘導する。椅子がいくつか置いてあるだけなので、ミルキィはキュウヤとアイコンタクトを交わす。

トラおじじに確認してキュウヤとミルキィは、椅子とテーブル、テーブルの上に雑貨屋〈丸壺〉で購入したコンロ型の魔道具とその燃料用の最下級の魔石にこちらの世界に来る前から使っているヤカン、ガラス製のティーポットとティーセット、森で取れた薬草やハーブでキュウヤが作ったブレンドハーブティーの素の入った瓶を〈収納〉から取り出し、水入りピッチャーも追加で出す。

キュウヤは慣れた手つきでヤカンに水を入れ、コンロ型魔道具の上に置き、燃料となる魔石をセットしてから魔道具を起動させてヤカンの中の水を温め始める。ヤカンの水を温めている間にガラス製のティーポットの茶漉しの中に、〈収納〉から取り出した木匙で小瓶の中から掬った乾燥した薬草やハーブを入れる。


「…流れるように午後のお茶が用意され始めてるんだが。うっわ、このあたりで見た事ないもんがある。」

「ガラスでできたティーポットははじめて見ましたな…?」

「話には飲み物が必要だろ、と思って用意したんけど。次からガラスのティーポットは自重しとこうかな。身内だけの場所で使わないとなぁ。」

「そうして欲しいのぅ。ティーセットもなるべく自重した方が良いかもしれんな。これもこの世界のものではないんじゃろ。」

「元の世界でクロムとシルトが作ったやつだね。うーん、こういったのも買わないとだなぁ。」


こぽこぽと、ヤカンの中の水が湯に変わっていく。ふわり、湯気がたちのぼる。


「で、トラおじじ。五人で話し合いたい目的を教えて欲しいかな。」

「んむ。まず、ノルキスタの町を出たのちに、どこに行くか決めとるんかの?」

「まだノルキスタの町にいる予定だけど、予定としてはいろんな人が潜ったダンジョンのある町かな。具体的にはルビナリオあたりかな。」


キュウヤが次の目的地予定の街の名を告げると、エディスが目を丸くし、トラおじじが深く頷いた。

…なんか嫌な予感がするな?


「え、ルビナリオ?」

「ふむ。まずはルビナリオの町に関する情報を開示していこうかの。」

読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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