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一章:魔法使い、ばらす。

3/20 会話内の属性表記を変更します。

ミルキィが〈大緑化人〉の鉄の剣を斬った際には、観客となった冒険者から、大歓声が上がった。あんな風に巨大な〈魔猪豚〉を倒したのかと。あの力量で新人…?と言葉を失っていた冒険者もいるにはいたが。

次のノートの一撃は、闇の荊があまり目立たなかったのか、何が起きたのかわかっていない冒険者が割と多かったが、一部の冒険者がまさか、と目を見開いていた。

続くシルトの一撃は地味めではあるが、実際には質量増加している一撃なのでそれはそれは重い一撃である。なんだあの武器、という困惑から始まり、武器が何か纏ってないか!?という驚愕に変わるまでに、時間はさほど必要ではなかった。ざわり、ざわりと驚愕が見学している冒険者の中に広がっていく。

四番手のアヤナの一撃に至っては、冒険者達にとっては想定外であっただろう。龍の形をした水による、遠距離からの一撃である。目を丸くし、龍の形をした水が空に登っていくのを視線で追いかけていた冒険者もいた。まさか、と呟く冒険者もいた。新人冒険者の中にはあんな事も出来るんですか?と先輩冒険者に聞くものもいたが、聞かれた冒険者は勢い良く首を横に振って、無理無理無理無理!と全力で否定していた。新人冒険者に、今度アビリティについて色々教えるよ、と声をかける先輩冒険者もいた。

最後のキュウヤの一撃は、言葉を失う者が多数いた。助走なしで上空5メートル地点への跳躍。〈収納〉から大剣を取り出した際、若干そのまま落下せずに浮遊していたように見えただろう。その後、燃える大剣を構えたまま落下し、着地しても動きが軽やかであった事もまた、脅威であっただろう。普通、5メートルの高さから落下したら怪我してもおかしくはない。大剣という重り付きであれば尚更である。実際若干浮遊していたり、地面に着地する前に一度地面より少し浮いたところで完全に落下速度を0にしてから着地して怪我しないようにしていたりするのだが。

いえーい、とハイタッチを交わす旅人達の横で、冒険者達は驚きの表情を隠せないでいた。トラおじじも目をまん丸にしていたし、ドレグに至っては、これが魔法使いが扱うアビリティなんですね、なんて素晴らしい…!と感動していた。

そんなドレグの言葉を聞いたベテランっぽい冒険者が、ゆっくりとドレグの方を向いて、呟く。


「自ら、マナを変化させた?」

「そうですよ。勇者や魔法使いが扱うアビリティを、今、我々は見たのですよ!」

「アビリティに火や水を纏わせると、こんなに派手になるんですのぅ…珍しいもんを見れましたの、長生きしてみるもんじゃて。」


しみじみと呟くトラおじじの横、きらっきらの瞳で冒険者の方を振り返って、ドレグが告げると、何人かの先輩冒険者達が頭を抱え、何人かはぺちぺちと、木でできた武器や大地を叩く。

なお、混乱の元凶たる旅人達は冒険者達からいくらか離れたところで、ミルキィは斬った〈大緑化人〉の剣の残骸を〈収納〉して片付け、他の旅人達はスコップ片手に残った土の小山を埋め戻しにかかる。


「待って待って待って、やっぱそうなんだね、やっぱりそうだよね!?」

「少なくとも精霊術は組み合わさってないよ、精霊様達も驚いてんだもんー!」

「魔剣でもないと思うよ、核見えなかったもん。隠してあったらわかんないけど、鞭とか三人目の武器とか魔剣するのちょっと…特殊すぎない?やばない?いや、そうなると結論一つしかないんだけどさぁ!」

「さっき見たアビリティって、絶対俺らじゃ出来んやつー!新人冒険者よ、覚えておこうな!」

「え、つまり何。冒険者登録した後の初心者講義の後の訓練場集合で来てこうなったんでしょ?え、つまりうちらの後輩…魔法使い?」

「だよなぁ、結論そこしかないんだよなぁ…!」


先輩冒険者の出した結論を聞いて、え、と新人冒険者達の一部が驚きの声を上げる。属性付きアビリティを見ても、魔法使いに繋がらなかったのだろう。


「まほう、つかい?」

「魔法使いだなぁ。そこで地面平らにしてる新人冒険者達は魔法使いなんだよなぁ…。」

「今日、講義でも言ってた、魔法使い?」

「そう、昔話とかでも出てくるだろ。その魔法使い。…地面綺麗になってるし、話いいかー?」


ぺちり、とシルトが最後にスコップで叩いた後、先輩冒険者の一人がこちらに声をかけてきた。きっちり地面は元通りにしておきましたよ!濡れてるけどそこは問題ないでしょう。

スコップを纏めてルディが〈収納〉して、旅人達は先輩冒険者の方へ向かう。


「はいはーい。改めてどうも、こんにちはっ。魔法使いです!魔法使いなのは一先ず、ここだけの話にして貰えると嬉しいかなっ。」

「お、おう。わかった。皆も他の人に話すなよー!」

「この町の冒険者だけなら、この場にいない人にも話していただいても大丈夫です。この町の人以外にまだ知られたくないだけなので。」


片手を上げながら、スノゥが旅人達に声をかけてきた先輩冒険者に勢い良く挨拶をする。若干勢いにのまれながらも、他の冒険者に声掛けをしてくれる先輩冒険者。

クロムの声掛けにも、周囲の人に確認してくれた。


「ほわー、ほんっとに魔法使いなんだ。ほんとにいるもんなんだねぇ。」

「すごいなぁ、物語に語られるような存在に出会えるなんて想像してなかったよ。」

「だなぁ。で、ちょっと確認したいんだが、昨日の門のところでは魔法使いだって言ってなかっただろ?なんで今日、あんな派手なアビリティまで見せてくれたんだ?」


先輩冒険者からの質問に、キュウヤが答える。


「なんで魔法使いだってわかるような行動をとったのか、って事だね。

まず第一に、この町の人なら話してもいいかな、と思ったんだ。

それに、魔法使いだと話した方が、俺達の実力の説明もつくと思ってね?元の世界で結構色々経験は積んでるから、結構強いんだ。

後は、巨大な〈魔猪豚〉みたいに、この町に何かあれば今のランクEの新人冒険者という肩書だけだと弱い。けれど、魔法使いなら少しでも、ノルキスタの力になれると判断してね。この町に滞在している間に何かあったら協力させて欲しい。

それと、魔法使いの身分を有効に活用できる事があれば、それも協力させて欲しい、かな。」

読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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