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一章:魔法使い、講義を受ける。4

ローナの講義が進み。何か質問はありませんか、とローナが受講者達に問うと。ちらちらと、ぱらぱらと、年若い新人冒険者の手が上がる。

内容は今までローナが話した内容を詳しく聞きたいとか、ランクDの魔獣の討伐は今の自分達には厳しいのかとか、パーティーやクランの申請制限があるのかなどである。

ランクD魔獣の討伐については、魔獣の種類によるとは思いますが、基本的に今の実力で連携が取れていないと厳しいかと思います、と言う返答。パーティーやクランの申請制限に関しては、パーティーは4人以上でなければ申請できず、クランは10人以上…10進数だと8人以上で、パーティーを組んでなくても申請可能との事。それなら問題なくクラン申請できそうですね?


「せんせー。昨日討伐されたのって、大きかったけど〈魔猪豚〉なんですよね?」

「そうですね。

巨大な〈魔猪豚〉は緊急討伐対象だったので討伐状況などをお話しできますが、基本的にはどんな魔獣が討伐されたかを冒険者ギルドからお話しする事は出来ませんのでご了承ください。」


おお、個人情報保護みたいな制度があるのか。それはありがたいのだけど、あの巨大な〈魔猪豚〉は対象外なのは聞いてないです。

緊急討伐対象って何。いやまぁ、急いで討伐しないといけない対象だったのは、昨日門のところにたくさん人がいたから、何となくは理解できる。巨大な〈魔猪豚〉対策の見回りと、〈砂哭蛇〉討伐の比重半々だった気もしなくもない。そんな中で、両方とも解決して門のところへやってきたのがミルキィである。


「わかりました。

質問の続きなんですが。昨日討伐された〈魔猪豚〉って、通常の大きさよりとっても大きかったと聞いてます。魔獣って、そんなに大きくなるんですか?」

「昨日討伐された巨大な〈魔猪豚〉は変異種であった。これが冒険者ギルドノルキスタ支部の見解になります。

変異種とは他の個体に比べ抜きんでて巨大であったり、力が強かったり、防御性能が良いといった、他の個体より明確に強い個体のことを言います。変異種がどうして出現するのか、というのは明確となっておりません。しかし、確実に皆さんに言えるのは、明らかに他の個体と比べて巨大な魔獣に遭遇したら即撤退をしてください。どの辺りで見かけたのか、どの種類の魔獣であったかを、冒険者ギルドに報告をしてください。よろしくお願いしますね?」

「わかりました。他の巨大な魔獣と同じ対応なんですね。これから遭遇するような事があれば、対応していきます。」


ありがとうございました、とまだまだ年若い新人冒険者がローナに感謝の言葉を述べた後に、ゆっくりそーっと、ミルキィも手を上げた。

眼鏡越しのクリームイエローの瞳が、ミルキィの方を見た。


「はい、では、そちらの方。質問をどうぞ。」

「あの、緊急討伐対象とは、いったい…。」

「巨大な魔獣を確認したら、冒険者の皆さんは、冒険者ギルドに情報を伝えるでしょう。複数の冒険者より情報が集まると、その情報を元に冒険者ギルドの職員間で会議を行います。会議の結果、その魔獣がランクA以上ありそうで、尚且つなるべく早く討伐する事が推奨される状態であると判断されましたら、その魔獣は緊急討伐対象となります。この段階で、冒険者ギルド内で、緊急討伐対象の情報開示を行います。直近の例ですと、昨日の巨大な〈魔猪豚〉ですね。

緊急討伐対象の認定が出ましたら、まずギルドは一定以上の冒険者ランクを持つ冒険者を指名して、ギルド主体で対象の魔獣確認を行い、更なる情報を集めます。討伐に際しての最低限の情報を得た後、一定以上の冒険者ランクを持つ冒険者に対して緊急魔獣討伐依頼を発令します。

こちらの依頼は緊急のものとなり、一定以上の冒険者ランクを持つ冒険者…大体の場合Bランク以上の冒険者となりますが、基本全員参加となります。怪我で休養中だったり、どうしても外せない用事がある場合以外は基本全員参加です。こちらの依頼は、違約金は無く、危険手当含め普段より報酬金が上がっています。

皆さんは、緊急討伐対象の情報開示が行われたら、緊急討伐対象の目撃情報があったあたりには行かないようにしましょう。緊急討伐対象は危険です。」


皆さんは、のあたりから、ローナは旅人達から視線を逸らし、年若い新人冒険者達を特に見渡した。

ミルキィが緊急討伐対象を冒険者になる前に倒しているから、その辺りが問題ないと思われているのだろうか。

魔石1段だったので、あの軽トラクラスの巨大な〈魔猪豚〉はランクA判定。しっかり緊急討伐対象の範疇内ですね。


「ありがとうございます。緊急討伐対象の事がわかりました。」


軽く頭を下げて、感謝の意を述べる。ここで前の人に倣って、巨大な魔獣を見かけたら逃げます、とは言えないミルキィである。

逃げるとかより先に、既に考え事しながら倒しちゃったんだよなぁ…。恐らくこれからも、逃げる事はしないであろう旅人達である。

読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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