一章:食を知るのも情報収集です。
説明回が続いております…
さて、骨も洗い終わったし、と肉片入りの水を捨てに行こうとすると。
「それも肥料にするからもらうのだー!」
と、桶ごとシルトに回収された。そうか。成長促成してるからいくらでも土の栄養がいるのか。検証で土の栄養素使い果たしました、なんて事態を引き起こしたら大問題である。
ついでに解体時の端材も渡しておく。シルトなら肥料にできるはず。なお、魔獣の内臓は昨日の段階で肥料に加工されていた。
「ちなみに検証は今、どんな感じ?」
「豆、芋、結実系の野菜、葉物野菜は二回分まで収穫済みなのだ。適正マナ量もある程度絞れてきてて、多くても少なくてもダメなのだ。」
なお、植えたものは全部森に自生していた野菜達である。食べれるかどうかは〈鑑定〉で確認済みで、毒性もなく、食べられるものしか植えていない。人里に持ち込む事も想定しているのだ。
「収穫したお野菜たちはキュウヤに預けているのだ。どんな料理になるのか楽しみなのだ。」
「まあ、食べられない味にはならないだろうね。キュウヤだし。」
料理得意な上司です。作ってくれるご飯美味しいんだ。未知の食材だからどうなるのかが今から楽しみです。
ちなみに、キュウヤは情報統括と料理担当。情報統括補佐にルディがついている。元々今回の旅の情報まとめ担当として巻き込んだのがルディなので、妥当な役割分担なはずだ。
他のメンツとしては、クロムとノートが洞窟内環境を更に整える居住班で、今はちまちま小物を作ってるのではなかろうか。
セイカ、課長、ロヴェルは周辺探索担当。元々はミルキィもこの班だったが、魔獣を狩ったので今は単独で解体班となっている。
「ちなみに、必要なマナ量って?適正範囲で。」
「今の土壌中のマナ量の1.15倍から1.2倍ってところなのだ。…1.5倍以上だと変質がやばかったのだ。」
「うわぁ。」
1.5倍以上のくだりで視線を逸らしながらシルトが言う。…あまり追求すまい。トラブルを自分達で収束できたなら、まあ、大丈夫だろう。
土壌のマナ量は、地脈に近ければ地脈からマナを受け取れるが、基本的には空気中のマナ量に依存する。この辺りはどちらかと言うと空気中のマナ量に依存しているエリアだ。
ではどうやって、土壌のマナ量を増やすか。
一つは空気中のマナ量を増やす事だが、あまり現実的ではないだろう。空気中のマナの減少が原因不明である現状、原因究明し解決するにしても情報が足りてなさすぎる。
二つ目の方法的には、シルト達が実際に行った、直接自らのマナを大地に流す事だ。そのうち空気中にマナが溶けていくだろうが、一時的なら対応可能だ。問題は、本来なら植物の育成期間中に定期的にマナを調整して流さねばならず、それなりにマナ量が必要という事だろう。
三つ目は薬草の育成に用いた魔石など、マナを溜め込んで、後に放出できるものを大地に埋め込む事である。こちらも放出できる量の調整方法や、魔石の交換に金銭がかかる事などの問題がある。
短期的には2.3つ目の方法で育てつつ、1つ目の原因解決を目指すのが一番良い方法である。この解決も依頼内容に含まれていたはずだ。
が、がんばれー?とシルトを送り出し、骨を片付けていれば、お昼時。
ご飯ですよー、とルディが呼びに来てくれたので、さっと手を〈浄化〉しつつ、食卓に向かう。手の消毒大事。ルディは別の班に声を掛けに行きました。
さて、今日のお昼は?
「シェールって豆がメインのポタージュと、昨日の魔獣肉でベーコン作ったからそれとガバンっていう今を蒸して炒めたのと、野菜のサラダだよ。」
「ありがとう、キュウヤ。」
居住班コンビがちまちま作った石製のお皿に木の枝を削って作られたカトラリー。お皿の上には美味しそうな、湯気がほこほこしている料理。
〈鑑定〉結果的に、甘味強めだけど、少し辛味もあるシェール豆。割と味や食感はジャガイモに似ているけど見た目薄ピンクなガバン芋。サラダに使われた野菜たちもどことなく見たことのない種類だ。見知らぬ食材を見ると異世界に来たって実感がすごい。
キュウヤからお盆で昼食を貰って、食卓につく。朝と晩はみんなでご飯を食べる事にしたが、昼は手の空いた人や作業がひと段落した人から食べる事になっている。
今日はどうやらミルキィが一番乗りのようだ。
それでは、大地の恵みに感謝しまして。手を合わせて。
「いただきます。」
カトラリーを手に持ち。シェール豆のスープから一口。
甘みの向こう側にほんのり感じる辛味がいいスパイスになっていてこれはこれで美味しい。
ガバン芋はどうだろうか。箸で掴んで口に運ぶ。…食感は完全に、じゃがいもである。普段食べるじゃがいもよりほんのり味が薄いのだろうが、一緒に炒めたベーコンの旨みを吸っていてカバーされていて美味しい。
サラダはドレッシングが無いので、素材の味を楽しむ一品である。…ふむ、やや青臭いけど、元々野生種だったしこんなものだろう。…拠点を入手できたら品種改良できないだろうか。個人的にこの黄緑の実になっている野菜…ソテがもう少し甘めだと好みである。
食べ物が美味しく食べれる、というのは、正直旅をする上では重要である。食というのはやる気にも繋がるからだ。
食べて知るのも、世界を理解する一手だ。どのような料理があるのか、飲み物は、食材はどんなものがあるのか。味は、食感は、温度は。
それを知るのも醍醐味である。
食べる手は止めず。
綺麗に全て平らげて。
手を合わせる。
「ごちそうさまでした。」
「おそまつさまでした。」
食べ終えると、にこり、と、キュウヤが微笑んでいた。
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




