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一章:魔法使い、交渉する。

テオラルテの誘導で、旅人達と〈森の輪〉は〈テオのふいご〉と〈レテの弓〉店内にある商談室へと移動する。

扉を開けて部屋の中に入れば、レースのテーブルクロスがかかった艶のあるローテーブルと、ふかふかで手触りの良さそうなソファーがローテーブルを挟んで置いてある。ボルドーワインのクロスでおしゃれである。レディトラスが揃えたのだろうか。

椅子が足らんな、待ってくれ、とテオラルテが部屋から出ようとする前に、大丈夫ですよ、とキュウヤが森の洞窟で使っていた木製の椅子を〈収納〉から一脚ずつ取り出していく。ミルキィはその横で〈浄化〉をかけて、汚れを室内に持ち込まないようにしている。3、4と椅子の数が増えていき、旅人達はバケツリレーの様に椅子を端から並べていく。


「…人数分あるんかいの。そもそも〈収納〉を、お主も待っとるのか。」

「ありますよ?」


呆れたような声色を含んだテオラルテが声をかけて。キュウヤが朗らかに微笑みながら肯定した。

テオラルテが扉に近い方のソファーに座り、ルディはその対面のソファーに腰掛ける。とりあえず、椅子受け取った人から座っていってね、とキュウヤが声をかけて、苦笑いしながら〈森の輪〉が順々に椅子に座り、キュウヤとルディ以外の全員が椅子に腰掛け、最後にキュウヤが優雅にソファーへと腰掛けた。

ルディはテオラルテに促され、ぼろぼろの短剣をローテーブルの上に置いた。


「付与された武器の修復希望だったな。短剣で、《貫通力増強》の付与だったよな?刀身が朽ちて刃が複数箇所欠けておる、と。これだけ欠けとると、付与の回路も一部欠けとるかもしれんな。」

「あ、出来るなら修復しているところも見たいです。実はあと二振りありまして、自分たちで修復できるならしてみたいんです。」


ふむ、と一息ついてから切り出されたテオラルテの言葉に、右手をあげながらルディが答える。ルディの役割でもある記録の為…もあるのだろうが、まぁ、やり方がわかれば実際にできないこともないだろう。

ルディの言葉を聞いて、テオラルテがやや険しい顔付きに。


「…見学に関しては、魔道具師に確認してみるとええ。わしからは、素人が生半可に手を出せる領域ではないぞ?と伝えよう。」

「それは大丈夫かと。先程ミルキィの刀を見てもらいましたが、かの刀を鍛え、研ぎ、鞘から柄まで何もかもを作り上げたのはミルキィ自身です。

そも、こちらの面々の殆どは自らの手で武器を鍛え上げ、それを相棒としております。少なくとも、武器作成においては素人ではありません。…ロヴェルは絶賛修行中ですけどね?」


低い声で告げるテオラルテに、穏やかな表情を崩さず、テオラルテの瞳をまっすぐと見据えたまま、ルディが語る。

ルディ自身は諸事情で武器作成に参加した事はなく、防具やアクセサリーの作製には参加したことがある。修行中の身であるのはロヴェルと変わらないが。

ルディの言葉に、テオラルテがまた固まった。ぎぎぎ、とぎこちなく旅人達を見まわした。


「は…?」

「あの大きな〈魔猪豚〉の首を切り飛ばした刀、ミルキィさんが鍛えたのかよ…?」

「あの魔獣の頭吹っ飛ばしたハリセンをシルトさんが?フォードさんもすっごい精度で魔獣の心臓射抜いてたよね…?」


〈森の輪〉の面々も驚いた表情である。自分達で武器拵えて戦う人はそうそういないのだろう。本業じゃないしね。


「ハリセンで叩いて頭吹っ飛ばした?あれで?なにそれわしきいとらん。」

「あれは見ていて中々に理不尽だった…。」


すっかり先程までの険しさが消え、エデュライナの言葉に、さらに目を丸くしていくテオラルテ。

…普通、ハリセンで叩いても頭は吹っ飛びません。技量と特殊コーティング剤の合わせ技が仕事しまくっただけです。

なんだか微妙な空気になった応接室の扉を叩く音が響いた。音を聞いたテオラルテは軽く首を振り、佇まいを直して気合を入れ直していた。


「おう、来たか。入ってくれ。」


かちゃり、とドアノブを回して入室して来たのは、髪の毛がぼさぼさで、眼鏡をかけ、よれよれの着古した白衣を着た、やや猫背であり、表情がほけほけしている男性が一人。

推定、レディトラスが呼んだ付与の専門家のヘルロットさん。


「どうもー、レディトラスさんに呼ばれて来たよー。座る場所はテオラルテさんの隣でいいよねー。」


ゆるゆるの喋り方で、ゆるっとテオラルテの近くへと移動し、ぽすん、とソファーに座る。

ううん、独特な人が来たな?


「ふーん、私が呼び出された原因これー?刃ぁぼろっぼろだけど、付与付き短剣じゃーん。核生きてそうだし、修復すんのー?」

「…こいつはヘルロット・アードナー。魔道具師だな。おい、ちゃんと挨拶せんか。」

「んんー?あんまり見た事ない人達がいるねー。私はヘルロットだよー。魔道具師兼付与師やってるよー。」


テオラルテに肘で突かれて、ほけほけとこちらに挨拶してくるヘルロット。


「ねぇねぇ、修復したいのこれだけー?他にないのー?」

「修復したい武器はそれ以外にもありますよ?魔石2段級の《火》付与長剣とか…ね?」


ミルキィからはルディの青い長髪をポニーテールにしてひとまとめにした後頭部しか見えていないのだが。わっるい顔をしてそうな声音である。

魔剣…?と呟いてまたテオラルテが固まり、ヘルロットはきらりと目を光らせた。

読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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