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一章:魔法使い、付与剣について相談する。

にっこりにこにこと微笑んだまま、ミルキィはレディトラスを見る。レディトラスもまた、ミルキィを見た。

現在、昼の刻2時。〈テオのふいご〉と〈レテの弓〉にはミルキィ達と〈森の輪〉以外に客はおらず。テオラルテはレディトラスが固まっているのに気付き、どうした?と問いかける。はくり、と小さく息を吐いて、レディトラスはゆっくりと口を開く。


「つまり、貴方方は、」

「そう、魔法使いだね。…他の人には内緒だよ?」


口元で人差し指を立てたまま、ミルキィは囁くように、歌うように告げる。誰かに召喚されたわけではない、ただ、この領域に訪れた者である事を。

テオラルテもまた、ミルキィの言葉を聞いて目を見開いた。


「アトラ、とんでもないお客人方を連れてきたな…。」

「おれらも初めて会ってから、ずーっとびっくりしてんの…。」


目を丸くしたままのテオラルテが、武器を出していない四人に付き合って売り物の武器を見て回っていたアトラに声をかける。そうしたら、アトラは苦笑しながら答えていた。

ああうん、短期間の付き合いですが色々驚かせてばかりだね…。会ってからまだ二日しか経ってないという事実。何回トゥエラを固まらせてきた事か。


「まぁ、おれらも色々学ばさせて貰ってるんだけどさ。なぁ、ルビナ。」

「うんうん。戦闘とか凄かったー。」

「そう言っていただけると嬉しいです…。」


苦笑していたアトラの表情が穏やかになって、笑顔になって。ルビナもニコニコ笑顔だ。

対照的に、キュウヤが申し訳なさそうな顔をして苦笑していた。…いやまぁ、その気持ちはわかる。


「…そうなると、皆様の武器はこの世界で作られたものではないのかしら?」

「そうなりますね。」

「まぁ、素敵!あなた、わたし達今、異なる世界の武器を見ているのよ。」


感極まったように、レディトラスが手を組みながらテオラルテの方を振り返る。

テオラルテもまた、噛み締めるように深く頷いて、旅人達の武器を見渡した。


「ふむ。異なる世界の素材だからこそ、わしらにはまた異なる素材のように見えたのだろう。鞭の牛革しかり。」


まあ、魔物だからね。

テオラルテがふむり、と呟いて、ミルキィの方を向いた。


「よかったら刀の方。刀身を見せてはくれませぬか?」

「わかった。抜くね?」


テオラルテの頼みに応じて、ミルキィはひとつ頷くと。

静かに、ゆっくりと。片手で鞘を、片手で柄を持ち。抜き放つ。

室内の灯りを受けて、鈍く、ほの白く光る刀身。玉鋼にミスリルを合わせたものを心鉄に使っている影響で、ほの白いのだ。

すらりとした刀身は、巨大な〈魔猪豚〉の骨を断ち切っても刃こぼれ一つない。


「おお…アノワのものよりも、細く繊細であるが…力強い。」

「結構剣とは違うんだな…。」

「ほわー…綺麗だねぇ…。」


誰かの口からこぼれ落ちたのは感嘆の息で。

テオラルテが重く頷いて、顎髭を触りながらまじまじと刀身を見ていた。そういわれるアノワ国の刀もいつか見てみたいものである。どのように違うのだろうか。

〈森の輪〉の面々も、ミルキィの戦闘がほぼ一瞬であったり、別行動して戦闘しており、しっかりと刀身を見るのはこれがはじめてであろう。戦闘が終われば即〈収納〉していたのもある。


「それじゃ、納刀しますね。」


断りを入れてから、さくっと納刀し、〈収納〉する。

そも、あまり生身のままの刀身を露出しておくのはよろしくないだろう。

武器屋の店主達に武器を見せるのがひと段落したその時。ぽん、とルディが手を叩いて口を開いた。


「あ、そうだ。ちょっと相談したいことがあったんですけども。」

「どうした?」

「武器の修理って、武器屋で受けてくれるんですか?」

「おお。剣とかなら、わしのとこでもやっとるぞ。」


テオラルテの返答に、よかったぁ、とへにゃりと安心した微笑みを浮かべて、ルディが〈収納〉から一振りのぼろぼろの短剣を取り出した。

先程、ダンジョンの掘り出し物の露店で購入した《貫通力増強》の付与のついた短剣である。


「…〈収納術〉持ちなんぞそうそうおらんのに、お客人方…?」

「そのあたりは魔法使いだから、で飲み込んだ方が楽ですよ…。そもそも、武器持ち魔法使いの時点で、珍しい範疇ですよ。テオさんもレテさんもこちらも普通に受け入れてましたけど。」


テオラルテとトゥエラのやりとりに、思わずミルキィは明後日の方を向いてしまう。一番便利に使い倒している認識はあるのだ。自重していないだけで。

そも、武器持ちの段階でレア扱いだったのか。それもそうか。地球出身者が勇者なり魔法使いとして来た場合、武器持ちはそうそういないか。


「その短剣、さっきの露店で買ったやつですよね。」

「そう。《貫通力増強》の付与付きの短剣。テオラルテさん、この武器の修復は可能ですか?」


トゥエラの言葉に頷いて、ルディはテオラルテの方を向いて、問う。きらり、瞳を煌めかせて。


「付与付きの武器か…。すまぬがレテ、工房から一人店番するよう頼んでから、ヘルロッテに今から来てもらえるよう頼んでもらえんか?アトラ達とお客人方はワシと一緒に会談部屋に行きましょう。」


おおっと、別部屋への移動のお誘いが来たぞ?

読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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