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一章:魔法使い、武器を見せる。

ハリセン…?とテオラルテが首を傾げ、初めて見たわ、とシルトが手にしたハリセンをまじまじと見ながらレディトラスが呟いた。更に、これで戦えるの?と純粋な瞳でレディトラスがシルトに尋ねている。大丈夫だ、戦えるのだ、とシルト。

まぁ、普通ハリセンは武器として用いられる事はないだろう。しかし、ハリセンという存在そのものになじみがなさそうな反応を示しているということは、過去の勇者や魔法使いの人達はハリセンを伝えてこなかったのだろうか。ああ、紙自体が入手難易度高いとハリセンも流通しないか。

そもそも、ハリセンだけだと攻撃力もそこまでないだろうし。シルトのハリセンが武器として成立しているのは、特殊なコーティング剤の影響が多分にある。地味に頑丈になるのだ。

ふと〈森の輪〉の面々の方を見ると、全員バラバラに明後日の方向を見ていた。おそらく、ハリセンで森で遭遇した魔獣をしばき倒したシルトを思い出しているのだろう。…豪快に首吹っ飛ばしてたからなぁ。

ハリセン、ツッコミとかおもちゃにも使えて便利なんですけどもね?自分で作れるし、街中での自衛用に…は流行らないか。


「そのハリセンとやら…どのように使っているのか想像できんな。」

「ざっくりでいいなら、打撃用の剣みたいな運用方法なのだ。こっちの面で、攻撃したい場所を叩くのだ。」


テオラルテの疑問に軽くハリセンを振りながら、シルトが答える。片手でも両手でも使えるのだ、とにこにことハリセンの説明をしているが、果たしてハリセンは流行るのか。

対魔獣戦用にハリセンを用いるならば少なくとも紙を硬くできる何かが必要になるのだが。それか、薄く伸ばした金属を折ったものを用いるのか。…折るの大変そうだが。

テオラルテとシルトがハリセンで盛り上がっている中、レディトラスがミルキィ達の方に近付く。


「皆様方はどのような武器をお持ちですか?」

「わたくしはこちらの樫の杖ですの。」

「ワタシは梓の弓だ。」


レディトラスの疑問に、アヤナは右手に持っている杖を見せ、フォードは背負った矢筒の中に入っている弓を取り出して見せた。明らかに矢筒よりも弓の方が全長が長いのだが、フォードの矢筒には空間拡張機能がついているためである。そも、1.6メートルある弓はそのまま持ち歩くとどこかに引っかかりかねない。

店内の明かりを反射して、アヤナの杖についている水晶球がきらりと光る。


「あらあらまあまあ、素敵な風合いの杖と弓ね。この武器を作った方とお話ししたいくらいだわ。」

「ふふっ。こちらの武器達を褒めてくださり、嬉しいわ。」


手を組み瞳をキラキラとさせながら、レディトラスはアヤナとフォードに告げる。アヤナはふんわりと微笑みながら、嬉しそうだ。

その裏で〈収納〉開示組は一瞬アイコンタクトを交わし合い、誰の武器を出すかを示し合う。武器が嵩張ったり、長すぎるのが三人、一人は武器自体のエピソード的にこういった場で、更に多人数の前で出すのは控えるべきだろう。

武器を出せない四人と〈森の輪〉の面々に一緒に武器の値段を見て回って欲しい事をミルキィが伝えていると。


「僕の武器はこれですね。」


クロムはポーチの中から、拳を保護する武器…ナックル・ダスターを取り出した。ちなみに、単なる牛革では無く、手の甲の部分の牛革に鉄で出来た鋲をつけて攻撃力を更に上げたものである。


「オレの武器はこれだな。」


ノートは腰にぶら下げている短剣と鞭のうち、鞭の方をレディトラスに見せている。クロムとノートの武器は基本的に革でできた武器である。


「あら、革の武器なのね。…あら、なんだか革の質が違う気がするのだけれども…。」

「ノートの武器の牛革はちょっと質が違うんですよ。」

「はー、見ただけでわかるとかレディトラスさん凄いなぁ。」


クロムの武器に用いられているのはただの牛革だ。だが、ノートの鞭に使われている革は、ただの牛の革ではない。魔物〈ホーンカウ〉の革である。動物の牛の革に比べると頑丈さもしなやかさもある、魔物の革である。

まさか、一目見ただけで質が違うと言われるとは。武器職人ってすごい。こちらに魔物はいないのに、指摘されるとは。

ちなみに、ロヴェルのラウンド・シールドにも同じ〈ホーンカウ〉の革を重ねて貼り付けてある。更に、シルトのハリセンにも使われている特殊なコーティング剤を使用しているので、とても頑丈でそうそう壊れる事はない。盾で殴ってもいいダメージソースになる程には頑丈である。ロヴェルはシルトとテオラルテの方でブロード・ソードを鞘から抜いて見せていた。


「ミルキィも武器出せるか?」

「おっけーおっけー、出すよ。」


ノートがミルキィの方を振り返りながら声をかけて。手をひらひらさせながらミルキィは答え、〈収納〉から自らの得物を取り出す。

一見すると外見は純白で、金属部品はが金、柄糸が空色でアクセントとなっている、一振りの刀を。


「あら、刀?新人さんはアノワ国の方なのかしら?」


意外と刀は知られているのか。日本人の勇者や魔法使いが再現して伝えてきたのだろうか。

レディトラスの話的に、アノワ国で刀がよく使われているのだろうか。だがしかし、ミルキィはアノワ国の関係者ではない。

肩口ほどの長さのハニーブロンドを揺らしながら、レディトラスに近付き、空色の瞳を細め、指を一本立てて口の前に持っていき。

内緒ですよ?と小声で呟いて。ミルキィは囁くようにレディトラスに伝える。


「わたし、日本人ですもん。」


この暴露は、旅人達に〈念話〉で確認して、了承貰い済みである。

読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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