一章:魔法使い、武器屋に行く。
魔剣。
本来は付与を施された武器全般の事をであるが、近年はもっぱらアビリティでは出来ない、属性を帯びることが出来る付与をされた武器のみを指す。
マナを通す事で、火を吹いたり、雷を纏ったりなど、刃先に属性を付与できる。ダンジョンでも入手可能であるが、効果はピンキリであり、効果は火であれば、ちょっと火傷するだけの火を灯すものから、焼き尽くす業火が吹き出すものまで様々である。
人が作り出そうとするのであれば、強力なものは作れないが、ほどほどなものは作れるかもしれない。だがしかし、そのためには膨大なマナとコストが必要になってくる。
故に、魔剣とは浪漫武器である。
魔剣について〈鑑定〉した結果である。つまり、ヤバくなるかどうかは、効果次第ということか。
「…一応確認しとこう。《火》の効力どんなもんかわかる?」
「〈鑑定〉で確認した範囲は魔石2段級だそうなんですが…。」
「魔石2段級なら最強ではないけれど、十分強い。」
ルディの返答に、エデュライナが驚いた表情のままら説明をしてくれる。
周囲のこちらの話を聞いていた冒険者達が、何人もダンジョンから出てきたアイテムの露店へと向かっていく。…修復出来ないとどうにもならないんだが…?
「なるほど、ルディ達が買ってきた《火》が付与されている魔剣がヤバいのはわかった。…他に魔剣はあった?」
「確認出来た範囲だと、属性の付与がついている魔剣はなかったな。あー、付与されているボロボロの剣はまだあったな。」
スノゥの問いに今度はロヴェルが答える。あ、また誰かが露店に向かっていったぞ?
〈鑑定〉あるから付与された核が大丈夫かどうかわかったのであって、ものによっては核が壊れてるかもしれないんだぞー!?
露店に向かっていった人達は大丈夫か!?という気持ちで思わず露店の方を向いてしまったが、スノゥに肩を叩かれて、そちらの方を向くと首を横に振られてしまった。…まぁ、自己責任か…。他の面々の方を見ると苦笑いしていた。
このまま話し込むのもどうかと思われたのだろう。トゥエラにとりあえず、移動しましょうか、と声をかけられたので、移動する事に。トゥエラを先頭にして向かう方向は商店街のように店舗が軒を連ねている方面である。
ルディに露店で買ってきたボロボロの剣と箱は〈収納〉してもらった。箱もそれなりに大きかったし、武器もボロボロなので、うっかり触れて、怪我をしたら危険である。
「ちなみに、どこに行く予定かな?」
「行きつけの武器屋ですね。〈テオのふいご〉という名前です。」
「そうそう、お隣も武器屋なんだよ。」
キュウヤの問いに、トゥエラが答える。更にルビナからも追加情報が。
…武器屋激戦区なんです?いや、あの森の魔獣の強さ的にも武器屋はいろいろあっていいとは思うのだが。
「店通りには色んな武器屋もあるにはあるんだ。けど、〈テオのふいご〉と〈レテの弓〉は建物自体は隣通りなんだけど、中は繋がってんですよ。」
「二軒の店主は夫婦なんだー。〈隣山族〉と〈隣森族〉の仲良い夫婦だよー。」
更なる追加情報が、アトラとルビナから出てくる。
夫婦かぁ。…一軒で一緒にお店をやるには狭すぎたのだろうか。ディスプレイを綺麗に飾るなら、ある程度の広さが必要になるだろう。更に言うならば、武器も嵩張るものは嵩張る。キュウヤの今の武器とか、何本もあったらとんでもなく幅取るぞ?
いくらか歩いていって、さまざまな店の前を通って言った先に、〈テオのふいご〉と〈レテの弓〉の看板が見えた。
こっちです、とトゥエラが案内してくれて、お店の中へ。扉を開くと、からんからん、と軽やかなドアチャイムの音が響く。
「おう、いらっしゃい。」
「あら、いらっしゃい。」
「〈森の輪〉じゃねぇか。どうした?今日は武器の手入れ希望か?」
「あら、一緒にいるのは新人さん?武器を選びにきたのかしら?」
仲良くこちらに声をかけてきたのが、二軒の武器屋の店主であり、ご夫婦なのだろう。
男性の方は背が低めで、立派な髭を蓄えており、左耳の上の方に水晶が生えている。推定、〈隣山族〉。
女性の方はすらっとした体型で、にこにこと微笑みを崩していない。尖った耳で右耳の上の方に薄紫色のスミレが咲いているのが見える。〈隣森族〉だろう。
「今日はこの人達が色々見てまわりたい、って事でこの店に来たんだ。」
「ほほう。それならばようこそ、お客人。わしは〈テオのふいご〉の店主、テオラルテ・ルドレ・ルケードだ。主に剣や槍といった、金属系の武器を取り扱っておる。」
「いらっしゃい。わたしは〈レテの弓〉の店主、レディトラス・ロナ・ライナ・ルケードよ。主に弓矢や杖といった、木製の武器を取り扱っているわ。それと、この人の妻なの。よろしくね?」
代表してトゥエラが説明してくれると、二人の店主が挨拶をしてくれた。旅人達も、口々に挨拶を返し、握手を交わす。
すると、テオラルテがとある武器を見て、不思議そうな顔をしながら、シルトの方を見た。
「ところでそちらのお客人や、その武器はなんだ?初めて見るんじゃが。」
「ああ、これなのだ?ハリセンだな。」
そう。シルトが腰の武器ベルトに下げていたのはハリセンなのである。真っ白な画用紙を山折り谷折りを繰り返して折り畳み、持ち手部分に青の布テープで巻いて固定した後、特殊なコーティング剤をかけて強度を増しましにした、ハリセンなのである。何度かすれ違った人がハリセンを二度見していたね、そういえば。
ちなみに、シルトのお手製である。
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




