一章:魔法使い、差し入れ交渉をする。
この領域は!8進数です!!(また数字を間違えた。)
朝ごはんを食べて、女将さんと話して、現在時刻は昼の刻0時程。キュウヤ、シルト、ミルキィの三人で食堂の方へ行くことにした。他の面々は部屋に戻って荷物の整理や武器の手入れをするとのこと。
話し合って、ガバン芋、エバ草、ロヴェと巨大な〈魔猪豚〉のお肉を差し入れする事になったので、それを食堂にいる料理人に確認するのだ。
ちなみに、エバ草とは見た目ほうれん草、味はレタスで食感キャベツと、なんだか混乱する葉物野菜だ。キャベツ感覚で使うとさらに美味しくなる。なお、葉は大きく、一株植えるとわっさわさ葉が生えるのでかなりの量が収穫可能だ。
ロヴェは、玉ねぎみたいな葉が生えるのだが、地下茎は茶色いキャベツである。外皮は硬くて食べれないので、金茶色の外皮を5〜7枚ほど剥ぐと練色の中身が出てくる。中身はおおよそ玉ねぎの食感、味なのだが、切っても目に刺激がこない為、使いやすい。
三人で食堂に戻ると、食堂で朝ごはんを食べている人はほとんどおらず、まばらに飲み物を飲んでいる人がいるだけである。
「あれっ、アトラたちと一緒にきた人達だね。何かあった?」
「料理人に確認したいことがあるのだ。今忙しいのだ?」
給仕担当の少女が首を傾げながら聞くと、シルトも首を傾げながら答える。シルトの答えになるほどなるほど、と頷いて、ロッカさーん、と厨房の方に近寄りながら声をかけた。ミルキィ達もついていく事に。
「ロッカさん、今大丈夫です?」
「ああ、洗い物もひと段落している。問題はない。」
のそり、と、厨房の方から出てきたのは、背の高いがっしりとした体格の男性である。料理って、大人数の食事を作るとなると力仕事の要素もあるからね…。むきむき…とキュウヤが呟いていた。キュウヤ、筋肉つけにくい体質だからさ…。
「こちら、ロッカさん。〈森の宿屋〉の食堂の主だよっ。ロッカさん、こちらの人達がロッカさんに話があるんだって。」
「ロッカと言う。何かあったか?」
「昨日の夕食と今朝の朝食をいただいたのですが、美味しかったです。」
「それで、相談なのだ。食材持ち込みしたいのだ。ロッカさんの料理で食べてみたいのだ。」
微笑みながら、キュウヤが食事に対する感謝の意を伝え、シルトが本題をさっくりと伝える。ミルキィは手品のように左手にガバン芋、右手にエバ草を持ち、こういった食材をですね?と微笑む。ロヴェは流石に片手では持てないからね!
シルトが育てたつやっつやの野菜です。
少女が野菜をミルキィがどこから出したかに驚き、ロッカは野菜の張りを見ている。凝視状態だ。
「…良い野菜だ。どこでこれを?」
「ふっふっふ、うちが育てたのだ。育てた場所は内緒なのだ。冒険者ギルド関係でなー。」
「ふむ…ならば詮索するわけにもいくまい。」
こそこそと、ロッカが屈んでシルトと小声で話し合う。どうやらロッカのお眼鏡に適った様子。〈鑑定〉で品質も味も保証しますよー。
シルトから預かっていた野菜3種を木箱に入れたものを〈収納〉から出し、両手に持っていた野菜も木箱に入れ直す。木箱からもっしゃあ…とエバ草が飛び出しているが、ほんっとに大きいので仕方ない部分である。ねぇ、ほんとどこから出てきたの?と少女が困惑気味に声を上げた。反対にロッカは感嘆の声を上げる。
なんだなんだ、と、食堂に残っていた人たちも、こちらの方を伺いだした。エバ草が見えたのか、野菜だ…と声がぽつり。
キラキラとした瞳で、ロッカは木箱の中のロヴェを取り出して触る。張りや重さを見ているのだろう。
「おお…。」
「それとね、〈魔猪豚〉のお肉を置きたいんだけど、どこに出せばいい?」
「あ、ああ…こちらにお願いしてもいいか?」
ミルキィの問いに、名残惜しそうにロヴェを木箱に戻し、ロッカは立ち上がる。そして、奥の方から中に葉っぱが敷かれている一抱えある籠を持ってきて、そこに肉を出すように告げる。
ミルキィは籠を受け取り、机の上に置いて、ほいっと一塊の巨大な〈魔猪豚〉の肉を出した。
でっか!?と誰かが呟いて、ロッカは塊肉を凝視する。
「…一般的な〈魔猪豚〉よりも脂身が厚く、巨大だな…?普通、こんな大きさではないぞ…?」
「とっても大きな〈魔猪豚〉のお肉だからね。」
ミルキィの言葉に誰か昨日の門での光景が思い浮かんだのだろう。あの巨体の〈魔猪豚〉を狩った人じゃん…!と声が上がる。〈収納術〉で出てきたんじゃん…!と追加情報まで出してきた。
別の人が、俺、解体現場見たけどほんっとにやべぇくらいでかかった…としみじみ呟いていた。なんという遭遇率よ。
「これを、おれが、調理してもいいのか?」
「お任せしたいな。ステーキも食べてみたいけど、別の料理も気になるなぁ。」
ロッカが静かに震えながらミルキィに問う。にっこにこの笑みで、ミルキィはロッカに返した。
いいなぁ…と誰かが呟くが、他の誰かが、あの肉はヤベェ、間違いなくヤベェ、味もだが値段的な意味でもな!と誰かの呟きに返す。
…ん?値段と味がやばいって?
「色味も肉質も素晴らしい。こんな高級な肉を大量に取り扱える日がくると思わなかった…。」
「…え?」
高級…ですと?あ、やばい、やらかした!?
思わずキュウヤとシルトの顔を見ると二人も驚いている。〈魔猪豚〉ですよ!?昨日依頼見た時にそんなにお高くなかった〈魔猪豚〉ですよ!?食べたかったから出しただけのお肉ですよ!!?なんでだ!!!?
「…今日のメインは決まったな。全てありがたく使わさせていただく。
ちなみに、あなた方は何名で食べる予定なんだ?」
よっしゃ、〈森の輪〉も巻き込もう。一瞬でキュウヤとシルトとアイコンタクトを交わし、同意を得られたので、にこやかにミルキィは17人です、と答えた。
「もし宜しければなんだが…あなた方の食事を作った上で、この肉や野菜が余ったら…」
「他の方の夕食にどうぞ。元々そのつもりでしたし。」
ミルキィの言葉を聞いた食堂で飲み物を飲んでいた面々が、一瞬沈黙したのちに歓声の声を上げた。
流石に、これだけ視線をもらうと、身内だけで独り占めはできんよ…。
後でトゥエラに確認すると、食べられる魔獣は強さが上がるほど美味しくなるとのこと。強い魔獣の肉はお高くなるとか。
魔石1段の魔獣のお肉の塊…とんでもないもの出してたのね…?
読了ありがとうございます!
また次話お会いできると嬉しいですっ。




