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一章:魔法使い、検証開始す

まさかの一段の魔石の買取価格に驚いていたら。職員が箱を一つ持って来て、これです、とドレグに渡す。箱の中身は薬草育成検証に使う最下級の魔石であろう。


「ありがとうございます。こちらお預かりしていきますね。ではおばば様、中庭に戻りましょう。」

「そうさな。」


箱を受け取ってドレグと薬師のおばば様が再び解体部屋を出て行く。

出て行くのを見送っていたら、〈魔猪豚〉解体現場の解体部屋の職員の人に呼ばれたので近付くと、そろそろ解体終わりそうなので、今ある分の肉と魔石を受け取って欲しいとの事。

それではさっくりと〈収納〉しましょう。魔石に手を近付けて〈収納〉。肉の山にも手を近付けて〈収納〉。みるみる〈収納〉されていくので、あっという間に肉の山が消えて行く。見学者から感嘆の声が上がったのが聞こえた。

ほいよ、これで最後のお肉でなー。とむきむきのおっちゃんに渡された肉を〈収納〉し、〈魔猪豚〉の受け取るべき部位はこれで全部〈収納〉できた。


「よっしゃ、綺麗に全部骨を取り出せた!」

「骨格標本つくるんだぜー!」

「綺麗に骨洗わなきゃー!」


きゃっきゃとはしゃぎながら、骨をのせたザルを持って奥の部屋に持って行く解体部屋の職人達。いいもん見たなー、と見学していた冒険者達が、それじゃあまた、と解体部屋から去っていく。

ほんっとに怪我人でなくて良かったと、ティグレが深く息をついてから、解体部屋を去っていく。

一気に人の減った解体部屋の中。肌艶が最初に出会った時よりもつやっつやなむきむきのおっちゃんが幸せそうに息をつき、口を開く。


「はー…ええもん解体させてもらったでな…。あんがとな…。」

「とても良い体験をさせていただきました。ありがとうございます。こちら、買取カードとなります。カウンターの方へ提出してください。」


おっちゃんの横にいた解体部屋の職員の人が買取カードを渡してくれた。ぱっと見、ただのプレートの様に見えるのだが、何かしら仕掛けがあるのだろう。

預かって、それじゃあまだ明日お願いします、と挨拶をして、ノートと二人、解体部屋を後にした。


解体部屋を出ると、トラおじじや薬師のおばば様、ドレグや記録担当なのだろう、紙を貼りつけた板を持ったギルド職員、キュウヤ達ギルドマスター室に残った三人が中庭の片隅で土を触りながら話し合っていた。ギルドマスター室での話し合いは終わったのだろうか。

野菜の苗と思われるカラフルな苗や、採取した事のある薬草が中庭の片隅に植えられている。…推定野菜の苗だが、緑や紫はまだなんとなく見覚えがあるが、赤や黄色どころか青い苗もあるのはびっくりだ。

野菜の苗や薬草が植えてある場所のすぐ横で、トラおじじが大地に片手をついて何か力んでいる。よく見れば、トラおじじの大地についた手から、緩やかにマナが大地へと溶け込んでいる。


「確かに、マナを地面に流し込んだ事で苗がいきいきとしておるの?葉もつやつやしておる。

…ふむぅ。しかし、これは自身のマナを感じ取れんとなかなかに難しい作業じゃのう。しかし、じゃからこそ、精霊術師にとっては良い訓練となるじゃろて。神官にとってもそうかもしれん。

精霊術とは、精霊にマナを捧げ、後期アトガキ語で願うだけではないのだからの。自身のマナをある程度自由に動かせる事は重要じゃぞ。」

「しかし、精霊術師も神官も、大地を潤せるほどマナを捧げる程の余裕はないでしょう。何か緊急事態が起これば殊更です。」


もう片手に持っている木の杖の頭側で、ぽふぽふとふっかふかに耕された土をたたきながら、トラおじじが自らの考察を話し、ドレグものる。

精霊術師も神官も、何かしらちまちまと、自らのマナを消費しながら仕事をしているのだろう。そんな状態で大地にマナを流せというのはなかなか現実的ではないのだろう。


「見習い冒険者や駆け出し冒険者の精霊術師や神官に、訓練がわりにマナを流してもらう、というのも考えられるけど、その場合どこから依頼料を引っ張ってくるか、という問題が出てくるのだ。

マナ消費してもらってるから、その後に討伐とかにはいくのは難しいのだ。となると依頼料が無いと嫌厭されがちな訓練になりそうなのだ。」

「ううむ、実際に効果はでそうじゃが、マナを注ぐ事自体がなかなか難しいのぅ。」


シルトの言葉に、トラおじじは腕を組みながら、首を傾げて悩む。


「冒険者稼業の休みの日に、マナを注いでもらうというのはどうなのだろうか。」

「緊急事態時の状況次第ですね。」


フォードの言葉に、ドラグが悩みながら答える。


「冒険者には緊急事態時に協力義務があります。例えば強大な魔獣が町を襲ってきたならば、低ランクは市民の避難誘導を担当し、高ランクは討伐に向かう、という感じですね。この時にマナ不足で動けませんでした、というのが一番危険な事なのです。」

「ううむ、これもまた明日話し合わなければならんのぅ。まぁ、実際の行動はこの野菜達が育ってからになるじゃろうけどもなぁ。」

「ですが、ここでこれだけ悩むのです。はやめに相談できて良かった話ですよ、これは。」


ドレグの言葉にトラおじじは、はふりと息をつく。


「しばらく話し合いかのぅ。」


読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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