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一章:魔法使い、冒険者になりに行く。

冒険者とは。

時に街での細々とした依頼を受け。時に野山へと出掛け採取や採掘などをし。時に商人や貴人の移動の際のご愛をし。時に野山で魔獣を狩り。時にダンジョンと呼ばれる迷宮型閉鎖空間の攻略をし。探し、集め、挑み、時に悩み、時に他者と協力し、時に休みながら、前へ進む。

己の知恵と力でその身を立てる、ある種の自由を体現した存在である。



エデュライナに冒険者ギルドに向かった事を伝えると申し出てくれたルビナと別れ、トゥエラとアトラに先導されながら、ノルキスタの町を歩む。

メインの通りなのだろう、道の両端にお店や食堂、宿が並んでいる。鎧戸をしている店舗もあるが、先程門で見かけた人達が、開けても大丈夫だと声をかけていた。

がたがたと鎧戸を開ける音が響く中、とある曲がり角でトゥエラがアトラに声をかける。


「部屋を押さえておいてくれないか?朝夕飯付き、一泊分で最低限でも4部屋。」

「おうよ!」


投げられた財布をキャッチして、アトラがわき道に入り、少し進んだ先の宿屋の扉を潜っていく。木製の看板に〈森の宿屋〉と書いてある、他の宿屋よりも少し小さめで、外観がほんわかしている宿屋だ。

トゥエラはこちらを振り返って、皆さんは今日はここに泊まってください、と告げた。


「おかみさんが優しくて、ご飯も美味しい馴染みの宿なんです。依頼料分で魔石をいただいているので、遠慮なく泊まってもらえるとありがたいです。」


現金ないし、いい宿屋のアテなんてないからね。ここはありがたく泊まらさせてもらおう。気に入ったら、こちらに滞在する間、ここに泊まっても良いのだし。

魔石売ったら泊まれるよね…?と若干心配になったが、トゥエラが選んだ魔石の数よりも、冒険者ギルドで売る魔石の方が量が多い。大丈夫だろう、きっと、多分。

トゥエラに感謝の意を述べたり、本日のお宿に想いを馳せたり。思い思いの声を掛け合いながら、再び、冒険者ギルドへの道を歩む。

いくばくか進んだ先、大きな建物が増えてきたエリア。そこで、ここです、とトゥエラが立ち止まる。素朴な、二階建てな大きめなセピア色の建物。冒険者ギルド、と看板に書かれた建物の扉をトゥエラが開く。からんからんとドアチャイムが鳴った。


「よう来たの。」


夕方、という時刻もあるのだろう。巨大な〈魔猪豚〉の調査、〈砂哭蛇〉の討伐への対策を考えて、早めに採取や近隣の土地での討伐を取りやめたパーティーもいるのだろう。

依頼終わりの報告で賑やかだと思っていた冒険者ギルド内は、静かだ。報告している冒険者も、報告を受けているギルドの職員も、少なく感じた。

静かなギルドの中、制服の上からローブを身に纏った老齢の男性が、ミルキィ達の方へと歩いてきた。

足取りは軽く、もしゃもしゃしている豊かなお髭と、肩ぐらいから緩く三つ編みに纏めた長い髪を揺らして。眉毛も長く、三角帽子を被ればまさに魔法使い!といった風貌だ。魔法使いではないんだけれども。


「話はドレグから幾ばくかは聞いておる。手続きやらなんやらしたいからの。ちょいとわしについてきてくれるかね?」


トゥエラもついてくるんじゃぞー、と、声を弾ませながら、老齢の男性はカウンターの横の小部屋の更に横の階段を上がる。足取りは軽やかで加齢を感じさせない。

階段を登り切り、廊下の奥に進む。一番奥に進めば、そこにあるのはギルドマスターの部屋。

老齢の男性は躊躇いもなく、扉を開けて。


「ここじゃここじゃ。ソファーに全員は座れぬからの、好きな椅子にすわっとくれの。トゥエラはドレグの横が指定席じゃよー。」


ぼふん、と、一人がけのソファーに座る。いつもの定位置であるかのように。二つある数人座れるソファのうち、一つにドレグと呼ばれた男性が座っていた。老齢の男性に名前を呼ばれ指定席を貰ったトゥエラはうっ、と息を漏らした後、覚悟を決めた瞳で、ドレグと少し間をあけてソファーに座る。

ミルキィ達は互いにアイコンタクトをして、思い思いの椅子に座る。ドレグとトゥエラの対面のソファーにミルキィとキュウヤ、老齢の男性の対面のソファーにシルトが座る。

扉閉めておきますね、と許可をもらってルディがギルドマスターの部屋の扉を閉めると、うっきうきの雰囲気で老齢の男性が声を上げる。


「ふぉっふぉっふぉっ。ようこそ魔法使いの皆様方、ノルキスタの冒険者ギルドへ。わしはこのギルドのギルドマスター、トラッカ・ベル・ノスターヴェじゃ。気軽にトラおじじと呼んどくれ。

こっちは副ギルドマスターのドレグ・アルヴェーノじゃ。」

「ご紹介に預かりました、ドレグ・アルヴェーノと申します。解毒薬の素材の納品、巨大な〈魔猪豚〉の討伐ありがとうございました。」


ギルドの人かな?と思っていたけれど、まさかの副ギルドマスターかい!?

丁寧な姿勢で会釈する様が、素敵に仕上がっている。


「ドルグから聞いとるでな。すでにいろいろ手助けしてもろうとって、ほんにありがたいことじゃ。

そいでの、ちーとききたいんじゃが、皆様方は冒険者になりに来た、でええんかの?」

「はい、11名全員、冒険者として登録させてもらえればな、と。」


ほわほわのトラおじじの言葉に、キュウヤも背筋を伸ばして答える。


「ふむふむ。…トゥエラや、皆様方の戦闘能力はいかほどじゃ?」

「正直、〈森の輪〉よりも強いと思います。的確な索敵、適材適所で魔獣を倒し、魔法も使える。更に〈収納術〉で倒した魔獣を全て持ち帰れる、と言う点でも強力ですね。」

「他方、魔法使い…異邦人であるが故に一般常識は疎いかの。」


うぬぬ、とトゥエラの言葉を聞いたトラおじじが悩み声を上げて。すぐに、まあええか、とぽつりと呟いた。


「まずは駆け出しランクでの登録かのー。いろいろ覚えたら、わしの権限でランク上げていくぞい。

指導役に〈森の輪〉を指名、〈森の輪〉においてはこの指導を昇格試験の一環とするかの。見事やり切ったら〈森の輪〉も中堅どころになるのぅ。」


ごめん、アトラ、ルビナ、昇格試験すぐに来たよ…。

読了ありがとうございます!

また次話お会いできると嬉しいですっ。

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