序文
これは、記念すべき第808回全日本狸連盟総会の議事録を元に口語調に書き起こした会話形式の記録である。執筆者は全日本狸連盟書記長•四国三郎狸権左右衛門が務める。
《序文》
この全日本狸連盟総会は、全国の狸の代表諸兄諸姉が集う狸の狸による狸のためのより良き社会の実現を目指す崇高なる会議である。
年に一度開催される本総会も今回で数えて808回目を迎える。八百八(あえて漢字表記とする)、この数字は我らにとって、特に四国の狸たちにとっては無視できない数字である。
なぜならば、かつて松山で権勢を誇り、八百八の眷属を従え、八百八狸の異名を欲しいままにした隠神刑部狸を象徴する高貴な数字だからである。
本連盟はこれを鑑み、隠神刑部狸の本拠地にして、その肉体と彼の八百八の眷属を封じ込めた久万山の位置する悲憤の地、現•愛媛県上浮穴郡久万高原町を、第808回全日本狸連盟総会の開催場所とした。本総会では、開催にあたり、かつてこの地に大いに栄え、八百八の眷属を従え、人とも渡り合った古今未曾有の大英雄、ついぞは久万山に封じられるその悲憤の狸生に敬意を表して黙祷の時間が設けられた。私も一匹の狸として、文面ではあるがここに黙祷を捧げる。
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