プロローグ
俺は夢を見た。
どうして夢って言えるのかって?だって世界が崩壊してるんだもん。変な光の柱が見えるし、周りの木々は焼けてるし。地面は馬鹿みたいに揺れてる。これが夢じゃなかったらなんだっていうんだよ?
周りから声が聞こえる。なんて言ってるのかはわからないけどきっと泣き叫んでるんじゃないかな。だって世界が終わりそうなんだもん。
俺?
もちろん俺も泣いてる。でも、おかしいんだ。体が何かにもたれかかって動かないし、声も出ない。出そうとしてもかすれてうまくいかない。。
あれ?よく見れば血も出てる。それに腕も足も吹っ飛んでる。なんでわかるかって?だって目の届く範囲に見えるんだもん。
もしかして俺今から死んじゃうの?...いや、これは夢だ。夢、夢、夢...いややっぱり夢にしてはリアルだな。なんていうか、俺の想像する夢といえばなんかこう、傷が不思議な力で回復したり、この崩壊だって止められたりするもんじゃない?
「ねえ、アトラくん。」
隣から声がした。いつから隣にいたんだろうか。重たい頭を動かして声のする方向に向けると俺と同じように死にかけの女性がいた。女性は魔法使いの格好をしており、手には杖が握りしめられていた。
あと俺に話しかけたの?申し訳ないな。俺、話せないから。
「ごめんね。またきみにまもられちゃった。」
女性はこっちを向いて話しかけてくる。気のせいじゃない俺に話しかけてるみたいだ。
「きみといっしょにあしたをむかえたかったけどむりみたい。」
言ってて恥ずかしくなりそうな言葉を女性は次々と言っていく。
守れなかっただの明日を迎えたいだの顔が真っ赤になりそうだ。
でも彼女の顔は真剣だ。俺はそれを聞いた。
「でももし、もしさ。きみにまたあえたとしたらさ。つぎは、つぎこそは――」
彼女が何かを言おうとした時、地面が跳ねるように揺れ彼女の言葉を遮る。
焦げた大地の裂け目から熱気と土埃が一気に吹き上がり、視界が一瞬かすむ。
空気までもが震え、遠くで木が裂けるような音がした。
ああ、もう時間がない。
俺の夢ももうすぐ終わりそうだ。
「もうじかんはないね。またあえることをいのっているよアトラくん。きみがわたしたちをみつけてくれたみたいにこんどはわたしたちがきみをさがすから。」
彼女はそう言い残しぼろぼろの体を起こしゆっくりとどこかへ歩いて行った。
色々聞きたかったけどもう無理そうだ。
瞼が重い。意識もだんだん薄れてきてもう終わりみたいだ。
{ああ、悔しいなぁ。)
意識が消えゆく中そんな声が聞こえてきた。誰の声か気になったけど気になった瞬間に完全に意識が消えた。
そして俺は目を覚ます。崩壊する世界にさよならを告げて。