痕
「なんだ?さっきまで馬鹿みてーに襲ってきたアンデッドが急に現れなくなりやがった」
「…ステラがやってくれたのか?それにしても急な気がするが」
「?誰だそりゃ」
「えーっとな…」
その時、林からステラが出てきた。その服には返り血が全て赤く染め上げるかのごとく付いていた
「あ、いたいた!お待たせキング…と、隣の人は誰?」
「ど、どうしたんだその血!?ロードアンデッドに何をされた!?」
「大丈夫だよ、これ返り血だから!ちょっと色々あってね…ロードアンデッドは倒してきちゃった!」
「な、何だその魔物は!おいキング説明しろよ!」
「え!?あ、あー、ステラは魔物だが…とにかく危害を加えるような奴じゃない。それにこいつはな…」
ゴールドキャノンにステラの事を説明した
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「なんだよ!めっちゃいい子じゃねーか!その夢俺にも協力させてくれ!ステラちゃんオレのこと頼っていいからな!オレはウィズダム=ゴールドキャノン!よろしくな!」
「あ、ありがとね?呼び方…ルド君でいい?」
(あれ?ウィズダムって確か…)
「微妙な所を取ったな…まあいいや、オレは失踪した国王を探してんだ。お前らも協力してくれよ」
その時、ステラが申し訳なさそうに口を開いた
「えと…ルド君の家族…もしかしたら、ま、魔物になってる…と思う…」
「…………は!?え!?どーゆー事だよ!?だ、誰が魔物化しちまったんだ!?」
「が、ガンマブレインさん?だったかな?弟?お兄さん?それともお父さんだったり…?」
「いや…ガンマブレインは確か弟だった気がする」
「気がするって…お前の家族なんだろ?名前ぐらい覚えてるんじゃないのか?」
キングが口を挟む
「あぁ、俺が5歳になるまで弟と兄、あとお袋と親父で暮らしてたんだけど、その次の年親父がおかしくなっちまった。お互いに会うことを禁止されて自分の部屋で研究に没頭させられててよ、家族の思い出はほとんどねえんだ」
「親父にお袋か…その呼び方、いいな」
「ちょ、ちょっとキング!そう言うこと言う場面じゃないって、ルド君ごめんね?この子が空気読めなくて…」
「む…空気は食うものだ。読むものじゃない」
「吸うものだわ!あと空気を読むってのは物理的な意味じゃなくて…」
「ははっ…おもしれーなお前ら!だけど、今はオレの話の続き聞いてもらっていいか?」
「「あ、はい」」
「んでよ、いつも研究は進んだか〜とか言ってくる親父が3日以上研究室に来ねえもんでよ、おかしいと思って久々に外に出てみると辺り一面血の海だったんだ。」
「なに?やはり壊滅させられたのは俺の国だけではなかったのか」
「その瞬間、俺の体が急に熱くなって、冷たくなった。自分の体に目を向けると血だらけになっててよ、嫌でも理解したよ、死ぬってな」
「じゃあ、何でお前は生きてるんだ?」
「うん、そんな大怪我でどうやって生き延びたの?」
「あぁ、こっからが本題だ。激痛が体を蝕み、もうダメだと思った時目の前に魔物が現れた。そいつは他の魔物と比べ物にならない程の威圧感で、ただ俺の前に立っていた」
「魔物か…そいつがどうしたんだ?」
「ソイツがようやく口を開いたかと思ったら、ただ『俺の生命力を全部やるから魔力を吸収して俺を復活させろ』って言ってきたんだよ、そのおかげで今俺は生きてる」
「その吸収ってのはどういうことだ?」
「ウィズダム家は固有能力で魔力吸収ってのが使えてな。生物の魔力を吸収して常人より多く魔力を貯めることができんだ。そのことだろーな」
「へぇ、人間語を喋る魔物か、てことは前魔王様の時代の方なのかな?凄い威圧感ってことは直属の配下だったり?名前は言ってた?」
「あー、確かウィンカルマ=ゴッドハートだったか?オレの体に溶け込む前にそんなことを言ってたような」
「ほう、ステラ、そのウィン…ソイツの名前を知ってるか?」
キングが横に目を向けると、ステラは固まっていた
「む?どうした、また空気の読めない発言をしてしまったか?」
「えっ、もう一回言ってもらってもいい?」
「ウィンカルマ=ゴッドハート」
「ウィン…だそうだ」
「ウィンカルマ=ゴッドハートって、え、ぜ、前魔王様そのものの名前だよ!?前魔王様は殺されたはずなのにどうして!?」
「知らねー、でもオレの中には確かにソイツがいるぜ」
「ほう、それは頼りになるな」
「そうだろ?おまけにこのオレの頭脳も付いてる。旅のメンバーには持って来いだろ?」
「確かにな、ではよろしく頼む」
「ちょ、ちょっと待って!まだ心の整理が付いてないんだけど!」
「どうしたステラ、シーサイドへ向かうのだろう?置いていくぞ」
「てことでステラちゃん、改めて魔法と知識の国『サイエンジ』の次期国王、ウィズダム=ゴールドキャノンだ!よろしくな!」
「も、もういいや…じゃ、シーサイドに行こっか…」
そうして一同は都市シーサイドへ向かった
第六話 終