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「いったい何があったんだ?」

辺り一面に広がる炎を見てそう呟いた。


「あの赤い星を見てからの記憶がない…団員もいないし、とりあえず王国に戻ってみるか」


そうして王国に戻ると、そこには目を疑うような光景が広がっていた


「なんだよ…これ…!」

王国すらも、炎に包まれていたのだ。しかも、自分の足元には親子の死体が転がっていた。


「この子ども、見覚えが………まさか!あの時カインドが助けた迷子の子か…!?」

(親が子に被さるようにして死んでいる…助けてやれなくてすまない…!)

「そうだ!父さんは!?カインドも無事か!?城!

城に向かわなければ!」

急いで城へと走る道中に、何人もの死体を見つけた


「早く皆と合流し、何があったか聞かなければな…」 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

城に着き、全ての部屋を探しても城の中には誰も居らず、それどころか城中が暗く大広間の灯りだけが頼りだった。その静けさと血の匂いが前までの騒がしいくも幸せな日常には戻れないことを示していた


「カインド!父さん!もし居るのなら返事をしてくれ!……頼む…頼むから返事をしてくれよ…」

弱々しい声が城中に響く


「いや…もしかしたら避難しているだけかもしれない…そうだ!今頃皆で安全な場所にいるに違いない!」

そう解釈し、別の国に探しに行こうと城の外に出ようとすると、

頭の上に何かが落ちてきた


「ん?ペンダント?………!ってことは誰かいるのか!?」

驚きと嬉しさのあまりそう声を張りながら顔を上へ上げると、そこには人のフリをした何かがいた

「煩いですよ、貴方。早く出ていって下さい。」

人の形をしているが、溢れ出る悪意とこびりついた血の匂いが目の前の奴を人間ではないと本能的に示していた。

「…何だお前は!俺はフォース騎士団副団長、フォース=キングアー…」


「だから煩いって言ってるじゃないですか。最初に忠告はしたんで、もう死んでもらっていいですか?」

一瞬で上空から目の前に移動し、腹を貫こうとする攻撃を間一髪で避けた。同時にさっき拾ったペンダントが壊れ、中から何か手紙が出てきた。

「あれ?今の避けたんですか?結構強いんですね」


「だから言ってるだろ!俺はフォース騎士団の副団長だ!」

そう言うと、目の前の奴は思い出したように俺に語ってきた

「あぁ!フォース騎士団!前にそう名乗っていた集団がいましたね!」


「何!?知っているのか!?一体、皆はどこにいるんだ!」


「殺しましたよ」


「…………………は?」

今、コイツは何て言ったんだ?殺した?まさか、カインドも?は?そんなわけ…皆はちゃんと生きて…

「会いたいなら会わせてあげますよ、どうぞ」


そんな考えを粉々に破壊するように、着ていたマントから1人の死体を出した。

その死体の顔は確かにカインドだった


「ーーーーーーっ!!!」

瞬間的に声にならない声を上げ、斬りかかるが簡単に避けられてしまう


「冷静さを失っていますよ。副団長さん?」

次々と斬りかかるがそんなことは気にせずに話を続ける

「まぁ…私に挑んできた時から瀕死でしたし、この死体の人が万全の状態だったら私もどうだったかわかりませんでしたよ。」


「この人の力は凄まじいですから何かあった時のために残してたんですよ、他の大したことない人達はもう食べてしまいましたが」


その事実を聞き、罪悪感と目の前の奴への憎悪で身体が破裂するほどの怒りを覚えた

「貴様だけは俺がここで殺す!!!俺の『炎の傷跡』の力を使って!」

肩から炎を出し、剣を熱することで高温にした。

そして、その剣で斬りかかる


「奥義『灼熱斬』!!!」

その一撃は見事相手を掠り、体を少し焼き斬る事に成功した

「やっぱり強いですね、油断してたら真っ二つでしたよ。そういえば自己紹介がまだでしたが…私は魔物。上級ヴァンパイアです。そして…」


前髪をたくし上げて額にある傷跡を見せて言った


「あなたがたが呼ぶ『神傷跡』?の『知恵の傷跡』の持ち主です。あ、名前は人間の発音で言うブラッドといいます。以後お見知りおきを」

また、自分の思考が停止する


「…は?魔物が『神傷跡』を持つ…だと?そ、そんなことがありえるのか?」


「ありえるから、魔物でありながらこうして話すことが出来ているのですよ。」

防御が遅れ、ブラッドの攻撃をもろに受けてしまう


「ぐ!ぐぅぅぅ、がはっ!」


「ヴァンパイアは血を吸うたびに力、血を操る量が増えるのです。騎士団の皆さんを頂いたおかげで、こんなに強くなれましたよ。」


怒りで我を忘れそうになったが、偶然落ちていた手紙の内容を読み、更に込み上げる怒りを鎮めた。


「…ここで冷静さを失っても仕方ない。俺は皆のためにお前を殺すと約束したからな」


「ふーむ、怒りで冷静さを欠き、その時に殺そうと思ったのですが…この作戦はダメそうですね。では普通に戦いま…」

ブラッドが言っている途中で斬りかかる

「普通に戦うわけないだろ。『灼熱斬』だ」

次は確かに直撃し、ブラッドの右腕を切り落とした。


「凄く痛いですね。副団長の癖に騎士道精神とかないんですか?」


「そんなもんじゃお前は倒せないからな。強いて言うなら、これが俺の騎士道だ。」


「ならば私も卑怯に戦わせてもらいますよ」

ブラッドは姿を消し、次の瞬間背後から俺の脇腹を突き刺した。

「!これは…あの大爪の魔物の…?」


「おお!あの子と戦ったんですか?私の『知恵の傷跡』の力で私が覚えた『姿を消す魔法』を与えたんですよ!強かったでしょう?」


「ぐ…ぅ…あの魔物もお前の仕業か…」


「せっかく手に入れた力ですから、何かに使いたいと思いましてね」

ブラッドはお構いなしに血を固めて作った爪で接近戦を仕掛けてくる

「速い…!だが隙も大きいぞ!『灼熱斬』!!」

次も直撃させ、腹を貫いた。

「うグッ!」


「何度も言うが俺は副団長だ。隙を見せると足をすくわれるぞ。」

ブラッドは血を固めて止血しようとするが、それをするには遅すぎたようで、もう立っているのがやっとのようだった。俺はゆっくりブラッドの側へと行き、剣を振り上げた。

「これは俺の情だ。ひと思いに楽に逝かせてやる」


「う、ぐふっ…あなたって人は…

本当に、馬鹿ですね!!」

その直後、自分の体に激痛が走りその場に倒れ込んだ

「…これは…?」


「う…私の血ですよ。先程まで、操ろうとしていたのはあなたに突き刺した時に注入した私の血です。止血など、あなたを殺した後にさせてもらいますよ。」


体中で血が暴れているのを感じる。このままだと俺は死ぬだろう。だが、まだ策はある。後はこの賭けに勝つだけだ。まずはこいつを上手く乗せる。


「ふう…ふう…どうした?来てみろよ、大チャンスだぜ?それとも、何か隠してそう、とかビビって来れないか?」


「いいでしょう!私の全力であなたを殺します!」

ブラッドの全力の攻撃は予想以上で体が千切れるかと思うほどの威力で、一瞬にして大広間の扉付近まで吹き飛ばされた

「う…ゲホッ!うぇ…あぁ…どうした?まだ俺は死んでないぜ?」


「まだ生きているとは…人間は気持ち悪いですね。よろしい、これが最後です」


ブラッドはもう一度全力の攻撃を放とうとするが、その瞬間どこかから氷の矢が放たれ、ブラッドの目に直撃した。

そのおかげで狙いが外れ、攻撃は側の扉に当たる

そして、扉は崩れ落ち、陽の光が一気に差し込む!!

「が!がぁぁぁァア!!熱イ!熱イ!い、いた…い!」


「本当は隙を見て扉開けるつもりだったけど、とりあえず賭けに勝った!俺の勝ちだ!!ハハハハハ!!!」


「オ…終わレるか!コんな所で!せめて、お前モ道連れダ!!」

血で矢を作り出し俺へ射ってきた。が、

「そんなことは想定済みだよ…!」

そう言って近くのカインドの死体を盾に攻撃を防いだ

「その程度で俺を殺せると思ったのか!」

「ナニ!?ソレはお前の大切な人じゃナいのか!?」


「あぁ…俺も嫌だったけどよ、あのペンダントから出てきた手紙には一言「僕が死んだら、その死体とか全部使ってもいいんで、敵うっちゃってください!兄さん!」と書かれていた。最後にカインドに一矢報いさせてやりたくてな」


「はァ…狂っテます、よ…お前…」

そう言ってブラッドは塵となって消えた。

そして、俺は外に出た所で倒れ込んだ

「陽の光に当たれば奴の血も消えると思うが…少しまずいかもな…」

そうして気を失った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「わー…これ、大丈夫かな?すぐ治してあげないとね」

そう言って何者かが気絶したキングアームに近づいた。

        第二話 終

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