月
「う〜ん、よく寝た!」
ステラが起き、横を見ると毛布にくるまったゴールドキャノンがいた
「う、うわぁ!どうしたのルド君!?」
「あ、朝か?もう出ていいのか?幽霊は?」
「ゆ、幽霊?何の話してるの?」
ドアが開き、キングが部屋に入ってきた
「ひぃ!?幽霊!」
「違う、俺だ。幽霊なんているわけないだろ」
「あぁ、キング!そういや寝かしつけてくれてありがとな!」
「えぇ…」
少し二人から離れた
「あ、そうだ。見張ってる時に怪しい動きをしてた人はいなかった?」
「うむ、鎧の女が『ステラを呼んでくれないか』と言ってきたな。寝てるので断ったが」
「ふーん、ルド君どう思う?」
ゴールドキャノンが毛布から顔を出して話し始めた
「まあかなり怪しいかな、わざわざ二人きりになる意味がわからねー。」
「そうか…ならば今すぐ行くぞ!ホウェイル市長の敵を討つ!」
「いや死んでねーし、それにまだ犯人と決めつけるのは早いぞ」
「だが、急がないと結局は全滅だぞ。どうするんだ」
「とりあえず誰かに不審な人物がいなかったか聞いてみよう」
広間へ向かうと、ホウェイルが椅子に座って眠っていた
「起きてくれホウェイル市長、死んでるのか?」
キングがホウェイルを起こすと寝ぼけた様子で辺りを見渡した
「なんや3人揃って…ワシは夜中寝ずに見回りしとったから今凄い眠いねん」
「その見回り中に誰か不審な奴を見かけなかったか?」
「いや…鎧の女がアンタらの部屋の前をウロウロしてたから注意したくらいや」
「常習犯かよ…アイツがなんなのかよくわかんねーなぁ…」
「もう他にワシが見たものはないな、アンタらも引き続き頼むぞ」
「了解!ありがとう市長さん!」
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「しかし夜中の間起きてたとはいえ今無防備に寝ているとは…鍛錬が足りないな」
「お前が異常なだけだよ…」
「でも安心して寝れたよ、ありがとね」
そうして歩いていると、玄関扉が開き、ウォロウが走り去って言った
「アイツはまたやってんのか…そうだ、次はアイツに聞きに行こう」
3人はウォロウの部屋の前まで行った
「ま、多分ここにいるだろ。おーい開けてくれー」
扉を叩くが返事はない
「おい、いるのは分かってるんだ、早く開けろ」
「怖がらせてどうする…鍵開けてもらえなくなるぞ…」
ゴールドキャノンが何気なくドアノブに手をかけると、扉が開く。
しかし、そこには目を疑う光景が広がっていた
「っ!…クソ!」
「最悪の事態が起きてしまった…か」
「そんな…」
目の前には、首に大きな噛み跡が残されたウォロウの死体があった
「ステラ、ルド、全員ここに集めてくれ」
「キング…わかった。ルド君急ごう」
「おう、すぐ戻って来る」
先程までとはうって変わってキングの目は怒りに満ちていた
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「ウォロウさん…なんて無惨な姿に…」
「はぁ!?ウォロウ…え!?え!?」
「私がいながら守れなかった…申し訳ない…」
「また…誰か死んだんか…」
ホウェイルは拳を出血するほど握りしめた
「誰が!一体誰がやったんや!」
「落ち着け市長、今からそれを考えよう。この中に殺しておきながら罪を隠そうとする屑が必ずいるんだ」
ホウェイルをゴールドキャノンが落ち着かせる
「…せやな、悪いけどワシは今頭が回らん。後はアンタに任せたで」
「あぁ、まずオレらはさっきまでコイツが生きてたのを知ってる。それ以前にウォロウの行動を知る奴はいねーか?」
「あ、知ってるぞ!倉庫で俺様と会った!目が合った途端すぐ逃げちまったけど」
「じゃーお前は犯人では無さそうだな。ウォロウより早く戻って殺すなんて不可能だ。少し前まで俺等と一緒にいた市長もな」
「では、私かシグナルのどちらかだな。だが私はずっとお前を探していたぞ」
「え、私!?」
「私は神に祈りを捧げていました。ですが僕、少し疑問がありまして…」
「なんだ?言ってみろ」
「えぇ、ウォロウさんは首を噛みちぎられて死んでしまったようですが不意打ちでもそんな事できるのでしょうか?」
「どういうことだ?」
「ウォロウは反射神経が良いから一瞬で能力を発動できる。俺が斬ろうとした時もそれで止められたから、それを言いたいんだろ?」
キングが説明する
「はい、その通りです。そこで気になるのがカム君の能力、精神交換です。貴方が倉庫で精神交換を行い、その状態で部屋の中で自殺したとすれば…」
「そ、そんなことするわけねーだろ!」
「おいガキ、もし精神交換した状態でどちらかが死んだらどうなる?」
「えっと…お互いの意識は元にもどる…あ」
「なるほど、ならばシグナルが言っていたことができてしまうな…」
「ちょ、ちょっと待てよ!そうだ!市長!俺じゃないんだ!信じてくれ!」
「カム……」
「な、なんだよその目は!やめてくれ!俺は違…」
「待て、なんでウォロウは今殺されたんだ?」
ゴールドキャノンが口を開く
「そんなことどうでもいいでしょう、偶然ですよ」
「今まで全員夜中に殺されたのにか?ウォロウも夜中に殺されたんじゃないのか?だとすれば…いや…まさか」
「ウォロウはさっきまで生きてたんだろう?どういうことだ」
鎧の女が疑問をぶつける
「そのウォロウが偽物だった可能性がある。」
「え…どういうこと?ルド君?」
「まず、誰かが夜中の間にドアをこじ開けウォロウを殺害する。その後朝まで身を潜め、何らかの方法でウォロウに化ける。倉庫に行って誰か…カムや俺らに目撃されることで死んだ時間を誤認させる。って事だ」
「確かにウォロウは誰かに会うたびに謝り倒すのに俺様と目が合った時は一言も発さずどっか行っちまったからおかしいな!」
「誰かに変装することが出来る人なんていますか?」
「それを今から確かめる。ガキ、今ここで精神交換してみろ」
シグナルを無視してカムに話しかける
「え、いいけど…じゃあ市長、こっち見てくれ…『精神交換』」
「これでいいか?」
精神を交換したカムが言う
「あぁ、じゃあ次は鎧…?のお前だ」
「わかった。………これでいいか?」
体に光で作り出した鎧をまとった
「鎧ってそーいう…まーいいや、ありがとう。じゃあ次はお前だ、シグナル=ホーク、お前の能力を見せてみろ」
「…前にも説明した気がしますが『祈の傷跡』は発動まで13回祈祷が必要です。今すぐ発動はできません」
「いいよ、13回祈り終わるまで待ってやる…ほら始めろ」
「…………」
「どうした?それとももう始めてるのか?」
シグナルの雰囲気が変わる
「貴方は頭が回るようですが…残念ながら引くことを知らないようですね…」
シグナルの体が大きくなってゆき、牙や鋭い爪が露わになった。その姿はまさに獣だった
「僕の本当の力は『祈の傷跡』ではなく『狼の傷跡』。昨日のような新月の日には体を透明化させ、満月の日には誰かに化けることができます」
「てことは今日は満月…いやそれどころじゃねーか、なんでこんなこと…」
その瞬間シグナルがゴールドキャノンの首元に噛み付いた
「ぐぅっ!」
「むぅっ!」
キングが噛み付いたシグナルを力ずくで引き剥がす
「来い…お前の相手は俺がしてやる!お前らは逃げろ!ここは俺だけで十分だ」
「…キングわかった!お前ら逃げろ!」
首から溢れ出る血を抑えながら全員に言い聞かせる
「わかった!キング!」
「ワシは…」
「市長、早く逃げよう!」
「………」
全員が散り散りになって逃げていった
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「う…はぁ…はぁ…血が止まらねぇ…」
その時目の前の部屋にカムが入ろうとしているのに気づいた
「待て!俺もいれろ!」
「あ…………………お、おう!」
少し躊躇う様子でゴールドキャノンをカムの部屋に入れた
「まあ…ここに隠れてれば時間稼ぎにはなるか…包帯とかないか?ガ…カム君」
そう言って辺りを見渡すと目の前に七人の子供が心配そうな眼差しでゴールドキャノンを見つめていた
「………どーいうことだ?」




