超絶ビビりな俺 VS 異世界幽霊城
オッス! オラ、「日比 隆介」!
いや~たまげたな。学校から帰ってる途中に光りに包まれたかと思ったら、謁見の間みたいな所にいたゾ。
流行のISEKAIかな? なら、オラわくわくすっぞ!
あれ? でも周りがボロボロな上に、おっかない顔した半透明の人達しかいない……怖すぎておしっこ漏らしちった……。
半透明の人達がキレ始めてる。特に、王様みたいな人がすごい……何で分かるかって? もうずっと「許さん許さん許さん」と怒鳴り続けて仕舞いには周りがガタガタと揺れてきているからさ!
この人達は幽霊確定! なんかぶち切れ! そして俺は超ビビり! なんてこった! もう助からないゾ♡
よし、逃げよう! 走れ、走れ! うわっ! 瓶や石が飛んでくる! 幽霊達が追いかけて来てる! 怖すぎっ! とにかく扉から出ないとヤバい!
うおっ、この扉重いな、でも開けられる! よしっ、出られた! 縦に長い部屋で窓しかない……向こう側に扉がある! 取りあえず走るっ!
漏らしたズボンがスースーする……気持ち悪いな……。あー、脇腹が痛い、息が苦しい……。
さっきよりは数は減っているけど、やっぱり追いかけてきてるな……とにかく少しでも離れなきゃ……。
《聖女一行SIDE》
この城門につくまでは思ったよりもあっけなかったですわね。特に消耗もなくここまで来られたのは良い事ですわね!
目の前にあるこの古城が噂の「ザマ城」ですわね。
情報だとクーデターで滅んだザマ王族と城の関係者の霊が城を彷徨っていて、日に日に地震やうめき声が大きくなっている。そして調査の為に城に入った者は誰一人として帰ってこなかったと……。
そんな危険な場所に新米聖女の私が担当で大丈夫でしょうか? ダメですわ、弱気になっちゃ。頼れる騎士様達も一緒にここまで来てくれたのです、それに先輩聖女のお姉様達も各地の幽霊退治を頑張っていますわ、私も気合いを入れませんと!
騎士様達との打ち合わせは済ませた、装備所持品に問題なし、行けますわね。騎士様達も行けそうですわね。それでは行きましょう!
城門の先の景色はどこの城も一緒ですのね、荒れ廃れているというのが大きな違いですけど……。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!
キャッ! 何ですの?! いきなり地震が……周囲を警戒! いつでもかかってきなさい幽霊共!
1分経過
あら? 特に何かが襲ってくる感じではありませんわね? 油断させておいて襲いかかるには時間がありますわね……騎士様達も戸惑っていますわ。
もしかして私たちより先に誰かがこの城にいるのかしら?
ドンッ!ガシャンガシャンッ!ガタンッ!
やはりそのようですわね! なら早く助けませんと! ほらっ騎士様方! 急ぎますわよ!
《隆介 SIDE》
扉の先はまた部屋でした……この城廊下とかないんか? 方向変換する時間すら惜しい! また正面の扉に!!
さっきの部屋もだけど、どこにも隠れられそうな場所がないとかどうなっているのだこの城は?! 追いかけてくる幽霊の数がどんどん減ってきているのもおかしい……さっきは目茶苦茶キレ散らかしていたのに……。
それにしてもこの部屋も気味が悪いな……天井一面に松かさのような飾りがびっちりついてる……。
よしっ! 扉に着いた! この先はどうなっているのか?
この部屋は何なんだ? 部屋の上側の壁一面に彫像がある……歴代の王様達かな? 長く続いた王家なのか。
あれ? この部屋に入ってから幽霊の追跡が止まった? 油断は出来ないけど取りあえず呼吸は整えられそうかな?
はぁ……苦しい……まだ股ぐらがスースーするし胸が痛い……。
ガタンッ!
うおぅっっ! 何だ何だ?! 後ろで胸像が落ちてる? 勢いよく扉を開け閉めしたから落ちたのか?
うわ……粉々になった胸像の顔とめっちゃ目が合ってる……。
こんな所にもういられるか! 俺は先に次の部屋に進ませてもらうぞ!
いや待てよ……いくら急に開閉したからって時間差であの胸像1つだけ落ちるとかあり得るのか? 普通もっとすぐだよな……この部屋の窓はどこも開いていないし……急に幽霊達も追跡をやめたし変だ……。
いやいやとにかく息が苦しかろうと先に行くしかないべ! 前を向くっきゃねぇ!
前を向いたら顔がゆがんだ男がいました☆
日比君通算6回目のお漏らしです! ついでに尻餅着いて尻が痛い……。
あれっ? さっきのおっかない幽霊がいない? 気のせいか? いや、あれは確かに目の前に……とにかく進もう!
バタンッ!
うおっ! 急に部屋中の窓が開いた! 風すごっ! 台風並だっ!
ガタンッ! ガタンッ! ガタンッ! ガタンッ! ガタンッ! ガタンッ! ガタンッ! ガタンッ!
なんか部屋にある胸像全部落ちてるっ! ヤバイヤバイヤバイ! 逃げよう!
ガシッ!
うん? 足に違和感が……少し痛いな……ウワッー! 右足にさっきの幽霊がしがみついてるし左足には目ぇ光らせてる胸像が噛みついてきてやがるっ! イヤッー! 〇△□〇▽◇○⊿■っっー!
はぁはぁ……パニックになりすぎて記憶が少し飛んだ……あれ? 足にさっきの奴らがいない? どったんばったん大暴れしたような気がするけど……?
い、いやっそれよりも早くここから出ないと……!
もうやだ……扉を開けたら部屋一面が真っ赤の礼拝室とか……しかもどの面の壁にも絵画が飾っているし……絶対になんかしてくるじゃん! もういい!! 余計なことを考えも見もしないでさっさとこの城から出る! 行くぞっ!
右手側の扉か正面の扉かどちらにするか……よし、正面の扉にするか……。
カタッカタッカタッ!
あーもうやっぱり仕掛けてきたじゃん……後ろで絶対何かあるよ……無視だ無視!
あれっ? 扉が開かない! 何度押しても引いても体当たりしてもびくともしない……。
ガタンッ!
うおっ! 思わず振り向いてしまったよ……。
えぇ……ちらっとしか見てなかったけど絵の女の人泣いてたっけ? しかも黒い涙……というか今もだらだら流れ続けてるし……この絵だけじゃ無くて部屋のどの絵に描かれている人も黒い涙流してる……。
もしかして音がしたとき無視したから? いや怖いから普通振り返らないじゃん! 逃げるのに必死なんだよこっちは!(逆ギレ)
あ`あ`あ`あ`……。
うわ、とうとう声出し始めたよ、しかも四方の絵全部から……どの絵もカタカタ震えだしてる……。
くそっ、扉がびくともしない……うわっ、どの絵の人も牙むき出しで顔おっかなくなってる! 動いた?! 額縁に手を掛けてる! 出てくるヤツじゃん! ヤバイヤバイヤバイ! 何で扉が開かないんだよぉっー!
バンッ! キシャーッ!
ひぃっ! 飛びかかってきたっー! ヴェアッー! 来るなっー!
ひいいいいいいいいいい! 食われるっ! 南無三!
シュッ!!
あれ? いなくなってる? でも噛み痕はある……?
扉が開いた?! 早く出なきゃ!
もう苦しかろうと走り続ける!
はいっ! もう次の部屋の出口! はいまた次!! とにかく走るっ!
はあ、はあ、はあ、2~3部屋は通った気がするけど、この部屋で行き止まりかな?
扉が今来たところしかない……また戻らなきゃいけないのか……。
もうヤだ……怖いし何度も漏らしすぎてズボンべちゃべちゃだよ……。
ここは武器庫か? 物理攻撃は効かない気がするけど無いよりはましだよな……何か貰うか。
だ、だめだ。武器って意外と重くて扱いにくいな。かえって逃げるのに邪魔だ……やっぱり武器をぶんぶん振り回すのにはそれなりにトレーニングがいるもんなんだな……。
どうせ異世界に行くならスローライフ系の世界が良かった……何で俺は幽霊に追っかけ回されなきゃいけないんだよ……。
どの部屋の幽霊も怖かったなぁ……そういえば胸像の部屋とか礼拝室の時は急に幽霊たちがいなくなったよな……あの雰囲気は絶対に仕留める感じで襲ってきたのになんでだろ?
そういえば、どっちも幽霊に触られてたな……。
えっ? もしかしてこれが俺の異世界チートなのか?
触った幽霊を消す能力とか限定的すぎひんかこれ?
試しにやってみるか? よ、よし、言うぞ……!
「クソ雑魚幽霊! へい! へい! へーい!」
ヌッ!
うぉぁっー! ありとあらゆる隙間から幽霊がひょっこりしてるゥッー! イヤッー! 襲ってきたっー! ノォッー! 来るな来るなー! ひぃっ、腕つかまれた!
シュッ!
あれ? 消えた? やっぱり、幽霊消せるのか俺は?!
散々ビビらせやがって! 全部消してやんよっー! うおらっー!
殴って蹴ってシバいて、俺の持つ全ての暴力ボキャブラリーをたたき込んでやる!!
バタン!
「大丈夫ですか?! 私達が来ましたわよ!! あら?」
誰か来た気がするけど知るか! 一体残らず消してやるよ!! よしっ、また一体!!
ドゴッ!
ぐっ! 急に盾を頭に投げてくるのはずりぃよ……派手なシスター服を着た小柄な子が駆け寄ってくる?
だめだ……意識が……。
〈聖女一行 SIDE〉
「ラビ様!! 少年の具合は?!」
「問題ありませんわ!! 軽傷ですわ! 私が手当てしますわ! 皆さんは幽霊達を頼みます!」
「「「「「「了解!」」」」」」
良かった……間に合いましたわね……けがも直撃は避けていますわね、これなら治癒魔法ですぐに……。
あら? 治癒魔法が効かない? ちゃんと発動していますのに……まさか無効化している? 取りあえずけがの手当をしませんと!
取りあえず手当ては終わりましたわね、それにしてもなんでこの方はズボンがベチャベチャなのかしら? それに非武装でどうやってここまで来たのかしら?
とにかく戦いに戻らなくては! 今行きますわよ!
ふう、この方がある程度減らして下さったお陰で早めに殲滅出来ましたわ。騎士様達の損傷、消耗も軽微そうですわね。ちょうど良いので少し休みましょう! この方もまだ目を覚ましてって、あら? 目覚めましたわ!
〈隆介 SIDE〉
うおっ! 目の前に美少女が?!
ゴッ!
痛ってぇ! 急に起き上がってヘッドバッドしちゃったよ……それよりもあの子は?!
「す、すみません! 驚いてしまって……大丈夫ですか? え、角?」
「いえ、大丈夫ですわよ。中々の一撃ですわね。ん? あら、頭巾が……角がそんなに珍しいかしら?」
額に角を生やしたシスター少女がいるとか……やはりここは異世界か……。
頭巾をかぶり直してシスター少女が言った。
「あなたの頭のけがは軽傷ですわ。それで貴方にいくつか聞きたい事がありますの、答えてきただけます?」
「ええ、俺も分からないことだらけですから。」
「私はラビと申しますわ。これでもオーガですのよ。私は聖女の任務で騎士様達とこの城の幽霊退治に来て貴方と出会いましたわ。貴方は何者でどうしてこの幽霊城の奥にいるのか説明していただけます?」
「お、俺は日比 隆介と言います。気が付いたら謁見の間みたいな所にいて、そこで幽霊達に襲われて脱出しようと逃げ回っていたらここにたどり着いた感じですね……」
「あら? もしかして東の島国出身かしら?」
「いえ、違うと言いますか……その、信じられないでしょうけど此処とは違う世界から来たみたいで……俺のいた世界ではラビさんみたいなオーガとか幽霊とかは実在しないはずです、しかもそんなにガチガチに武装して出歩いたら捕まるはずですし……」
ラビさんは考え込みながら口を開いた。
「ほむ……異世界ですか……騎士様達はどう思われます?」
「どうも今までに無い材質の服を着ていますしな……」
「立ち入りを禁止しているはずなのに非武装のしかも民間人が城の奥にいるのよねぇ……」
「ラビ様の角を見て本気で驚いていたね。」
「霊だったらラビ様の治癒魔法を受けた時点で反応するはずだよ。」
「治癒魔法も効かなかった。」
「ですわよねぇ……恐らく本当なのでしょうし取りあえず詳しいことは後で考えましょう! 最後に幽霊をシバき倒しておられましたけどあれは何ですの?」
「俺も分からなくて……どうも直接触れば消せるみたいで……それに気づいてからは今までの鬱憤を晴らしていたというか……あと、ズボンを乾かしてもらえますか? 漏らしすぎてビチャビチャで……」
「触れば幽霊を消滅させる能力ですのね……”クリーン””ドライ”これでズボンは大丈夫ですわよ。あら? リュースケさん本人じゃなければ魔法が効きますのね。」
良かった……幽霊の専門家と一緒なら一安心だ。
と言う訳で、ある程度の事情説明も済んだし俺も一緒に撤退させてもらえませんか?
えっ? 撤退しない?! なんでですか?!
ここまで派手に暴れた以上、無事に撤退させてくれないだろうし、出来ても幽霊達の追撃は避けられないから近くの村や町まで危険が及ぶ? 物資に余裕が無いし戦力が一人でも多い方が良いから打って出るしか無い?!
民間人の保護が最優先でしょうそこは!
いや、そんな申し訳なさそうな顔されたら何も言えないじゃ無いですか……それに自分のせいで近くの人達が被害に遭うのは申し訳無いな……。
ああっ! もう分かりましたよ! 一緒に行きますよ! でも俺ビビりでよく漏らすし迷惑掛けますよ!
そんなに満面の笑みでお礼を言われたらゴネてた自分が恥ずかしいじゃん……。
一緒に幽霊退治をすることに決めて一休みしてからさっき通ってきた道を戻り始めた。礼拝室までの道のりは何も無く進めたのは良かった……。
そしてとうとう礼拝室の前に到着した。
「リュースケさん。この部屋の特徴は何か覚えておいでで?」
「部屋全面が赤い壁でそれぞれの面に絵画が飾られている礼拝室です。俺の時は閉じ込められてそれぞれの絵画から霊が飛び出してきて襲われました。すみません、思い出したら怖くなって漏らしたのでまた”クリーン”してもらえます?」
「”クリーン””ドライ”……部屋の特徴は分かりましたわ。それでは皆様、よろしいですわね? 行きますわよ!」
ラビさんがドアを蹴破りながら部屋に突入した。いきなり左右から絵画の霊がそれぞれ飛び出してきたがラビさんは迷わずダブルラリアットをかましながら吹っ飛ばした……その隙に騎士さん達がそれぞれの得物でとどめを刺してる。
ん?絵画は4枚あるから霊も4体のはずだよな……待てよ……?
4-1(俺が消したヤツ)-2(今、騎士さん達が消したヤツ)=1
で一体いないぞ……どこにいるんだ?!
「リュースケさん!! 後ろ!!」
うおぁっっ! 後ろから不意打ちって! 人の心とか無いんか!! ひいいいいい! やけくそパンチだっ!
シュッ!
良かった……消せた……痛っ! また腕に噛み後?
「リュースケさん……ビビりだと言いながらのエグい一撃でしたわね……口から手ぇ突っ込んで喉をブチ抜くとは……腕を見せて下さいまし、手当てをしますわ。どうやら幽霊の直接攻撃そのものは無効化出来ないみたいですわね……はい、腕は終わりましたわ。」
「騎士さん達に掛けている対幽霊魔法とやらを服に掛けて防げませんかね?」
「この魔法は物理攻撃の通らない幽霊に攻撃を通すために付与するものですのよ。だから防御にはつかえませんわねぇ……物体の固さを金属並に引き上げる”アイアン”ならありますけど服に掛けたらまるごと固まって身動き出来なくなりますわ、リョースケさんは回避に専念して隙があったら相手に触れる戦い方をして下さいまし。」
「わかりました……避けるのは昔から得意なんですよ。あと、すみません……さっきの戦いで漏らしたのでまたクリーニング頼めます?」
「構いませんけど……私の魔力も無限ではありませんわ、出来れば漏らさないように頑張って下さいまし。後、この城の件が片付いたらお医者様に診てもらいますわよ……貴方の膀胱が心配ですわ……」
はい、すんません……努力します……これでも健康診断で異常なしと言われているのだけどなぁ……。
各自の状態確認を済ませて次の部屋に進むこととなった。
「リュースケさん、次の部屋は?」
「確か……部屋の上側全面に胸像が飾ってある部屋ですね……おっかない顔した幽霊がいて胸像に噛みつかれました。」
「なるほど、皆様! 胸像に注意ですわ! それでは行きますわよ!」
ラビさん筆頭に部屋に突入したと同時に何かがすごい勢いで突っ込んで来た。
「ラビ様?! ご無事で?!」
騎士隊長さんが声を掛けるとそこには両手で胸像を押さえ込んでいるラビさんの姿があった。あ、胸像を両手で押し潰した……オーガパワーすげぇ……。
うおっ! たくさんの胸像が浮かんでる? 飛び回り始めた!
「皆様、あの質量で突っ込まれると中々きついですわよ! 気をつけて下さいまし!」
「「「「「「了解!」」」」」」
戦いが始まった。
空中の敵ってだけで厄介なのにミサイルみたいに突っ込んできたり急カーブしたり攻撃を躱したりしてくる……なかなかやりづらい……。
騎士さん達も対応し始めてはいるけど手強いな。中々、数を減らせない……ファン○ルみたいにビュンビュン飛び回りやがって……。
ん?ファン○ル? もしかして? あっ! 居た!! 部屋の上に1体だけ残ってる! あいつが指示を出してのか!
「ラビさん!! あそこ!!」
「あんの野郎ですわね! お任せを!!」
えっ? ラビさん、結構上の方に居ますよあいつ? 急にヤツに向かって走り出してどうするんですか?!
あ、あいつも気づいて慌てて仲間達に守りに入らせようとしてる!
「トップなんだから!」
ダンッ!
「どっしりとぉっ!!」
ダンッ! ダンッ! ダンッ!
「構えてろやぁぁぁ!」
ドンッ!
すげぇ……胸像を足場にして踏み砕きながら進んで指示役の顔面をパンチでブチ抜いた……。
あっ、ラビさんをキャッチしないと!!
がしっ!
うおっ、見た目の割に意外と重いな……というか少しぶかぶかなシスター服で分からなかったけど、かなり筋肉質な体してる……さすがオーガ娘だ……。
「いつまでも抱えられると動けませんわよ?」
「す、すみません!」
そんなやりとりをしている間に統率の執れなくなった胸像は互いに衝突したり動きが単調になって次々に討伐されている。俺らが合流する前にあっという間に終わった。
小休憩をして、各自の確認が済んでラビさんは立ち上がって言った。
「リュースケさん。次の部屋の特徴は?」
「次の部屋は……ああ、幽霊からの攻撃は無かったですが、天井が不気味で……松ぼっくりの飾りが天井にびっしり付いているんですよ……」
「はい? 松ぼっくり? 昔の人のセンスってよく分かりませんわね……それでは皆様、油断なさりませんように! 行きますわよ!」
ラビさんが扉を開けた。
ズドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!
松ぼっくりの飾り物が機関銃のように降り続けてる……これじゃ先に進めないよ……。
「うーん……装備に強化魔法を掛けても突破は難しそうですわね……この部屋だけの浄化結界を構築しますわ! 10分くらいで終わります! その間の護衛を頼みますわ!」
そう言い終わるとラビさんは荷物の中身を広げて準備を始めた。それに併せて騎士さん達も守るように陣形を組み始めた。
隊長さん、俺はどこに居れば? あ、はい、ラビさんのすぐ側ですね。
そういえば、城に入る前にこの城ごと浄化結界とやらを構築すれば良かったのでは?
なるほど、構築させまいと幽霊達が大挙して押しかけてきて守りきれないし、幽霊が満タンな大規模エリアでの浄化は誰だろうと魔力が足りなくて構築出来ないと……ある程度数を減らしてからそのエリアを浄化するんですね。
「準備、完了ですわ!! 皆様! これから構築に入りますわ! 守りは頼みます!!」
そう言い終えるとラビさんは目を閉じて詠唱しはじめた。取りあえず周囲を警戒はするけど、この緊張感は苦手だな……絶対出てくるヤツじゃん……急に驚かせるタイプのヤツがさ……。
なんか松ぼっくりの部屋からたくさんの悲鳴が聞こえてきた……おっかねぇ……。
しかもこっちの部屋の上からも下からも幽霊が湧き出てる……この城の霊の大半じゃない? ゴキブリだってこんなに湧かずに自重するだろ考えろよ……。(逆ギレ)
「全員、準備はいいな。ラビ様を守り通すぞ!」
幽霊達が大挙して襲い掛かってきた。見た目が怖すぎてまた漏らしました……。(通算14回目)
数の差に圧倒されるけど意外とどうにかなりそうかな……。
胸像の部屋の時は指示役がいて統率が執れていたけど今回は違うみたいだ。何も考えずに襲い掛かってくるもんだから味方同士で接触事故みたいなの起こして自滅してる霊もいる。しかも動きが単調で騎士さん達も余裕で相手取れてる。
俺も騎士さん達を抜けてこっちに来た霊をシバいたりしてラビさんは守れているしこれなら……。
10分後
「皆さん! 構築が終わりましたわ! 加勢しますわ!」
ラビさんは終わらせたようだ、松ぼっくりの降り続ける音も悲鳴も聞こえない……。
でも、ラビさんはすごい汗をかいてる……消耗も激しそうでやっぱりきついんだな……。
ビビるけどビビりすぎてる場合じゃねぇ! 恐怖心が霊達の力を増幅させるみたいだし……。
隆介、漢見せます! かかってこいやっ!!
さらに5分後
どうにか全員で協力してこの場の霊は消せたかな、キッツ! 疲れたわ……どんだけおんねん……。
少し休み、松ぼっくりの部屋を抜ける前にラビさんが聞いてきた。
「この松ぼっくりの部屋の先には何がありますの?」
「この先は縦長の何もない部屋でしたね。その先の部屋が謁見の間で、そこから霊達に追っかけ回されていましたけど、追手以外にはこの縦長の部屋では何も無かったですよ。」
「分かりましたわ。皆様、聞いての通りですわ。目的地まですぐそこですわ! 何も無かったみたいだけど向こうは仕掛けてくるかもしれませんわ! 注意して下さいまし!」
そう言い、ラビさんは扉を開けた。
部屋の中央に人影が見える? 警戒しながら近づいて分かってきたけど……。
透き通るような美しい金髪ロングヘアーに優雅な佇まい、後ろ姿からでも分かる大きな乳、豪華なドレスを見に纏った王妃のような人物がこちらに背を向けて立っていた。
すっっっごい、エロい! 何というか男の夢を全て詰め込んだような女性がそこにいる! もうね、俺含む男性陣が皆、同じタイミイングで生唾ゴックンしちゃったくらいやばい! 女性陣からはすっごい冷たい目で見られているけど……。
おっ! 振り返り始めてる! 幽霊だってのは分かるけど期待しちゃうな……。
え………嘘だろ? なんで……。
牙むき出しの豚の化け物ような顔、細いすらりとした指の先は人間の物とは思えない鋭く長い爪、でかい乳と思われたそれは左右それぞれに豚の頭だった……。(通算お漏らし16回目)
キシャッー!!!
王妃?の霊が叫ぶと、どこからともなくメイドの霊がぞろぞろと湧いてきた。
「各自! 戦闘態勢!」
騎士隊長さんがそう叫ぶと全員一気に身構えだした。
うわっ! 王妃が突っ込んで来た! すごい速さだ……避けるのでせいいっぱ、うおっ、イテッ! 何だ?! メイドさん?! 自滅覚悟で転ばせてきた?! やば! 王妃が攻撃を……!!
「リュースケさん!! ラァッ!」
王妃はメイドを盾にして後ろに飛びやがった……取りあえずラビさんのお陰で助かった……。
「大丈夫ですか?!」
「はいっ! メイドに転ばされて……」
「メイドは牽制や妨害に徹していますわね……しかもコンビネーションも抜群ですわ。騎士様達も攻め手に欠けていますわね……王妃も素早くて厄介ですわ。」
どうしたもんかな……んっ? ラビさん、急に思いついた顔してどうしたんです? え? 私にいい考えがある? なんで兜を取り出しているんですか?
「リュースケさん! 気をつけの姿勢になって下さいまし!」
「な、なんでですか?」
「いいから……かしこまれいぃっっっ!!!」
「は、はぃぃぃぃ!」
「兜をはめて! よしっ! ”アイアン”これでイイですわね! 舌噛まないように気をつけて下さいまし!」
「ラビさん?! 何する気なんですか? 体が動かせないんですが?! 服に魔法掛けました?! なんか肩に担いでいません?! 身構えてませんか?!! まさかっ?!」
「どっせいっ!!!」
投擲しやがったっ!! ひいいいいいいい! メイドさん達どんどん轢き殺してるよぉっ!
ドスッ!
うおっ! 王妃の腹をブチ抜いた!!
ゴッッッ!! ビィィィィィンンンンン!
そのまま壁に突き刺さったよ……魔法のお陰か痛くは無いけどさ、せめて説明ぐらいはしてくれないですかねぇ?!
3分後
やっと引っこ抜いてもらえた……あれ? メイド達は? ああ、あっという間に片付いたんですね。良かったです。
ラビさん! せめて説明ぐらいしてくれませんか?! すげぇ怖かったですよ! えっ? 敵の前で作戦を話すやつがあるか? そりゃぁそうですけど……なんかすんません……。
取りあえずこの兜は被ったままにしよう。頭は大事やん?
負傷者の手当と装備品の確認を済ませ、ラビさんは言った。
「皆様、次が王の居る謁見の間ですわ! 此処での戦い以上の激戦になりますわ! 心してかかりますわよ! それでは……突入!!」
突入した先には玉座にふてぶてしく偉そうに腰掛ける王がいた。取り巻きの貴族のような霊もいる。
王様が口を開いた。
「平民風情が我が城を荒らしおって……許さぬぞ……! 貴様らのような下等なものが城に居るだけで虫唾が走るというのに……」
王様がそう言い終えると、取り巻き貴族の霊を含めて至る所から霊がぞろぞろと湧き出て俺たちの前に立ち塞がった。
んっ?! 王様は何で両手を前に向けているんだ? 他の霊達は気づいてないのか? 先頭の霊が駆け出した!!
グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!…………。
うわっ! 王様の全部の指が伸びたと思ったら仲間の霊達を貫き始めた?! 霊達も驚いてる! 逃げる霊も容赦なく指が追いかけている……あっ、最後の1体が……。
「あなた……何を……してますの……?」
「ふん! 知れたことよ! 貴様らをここまで来させた無能など不要だ。だから、我の力とする為に喰らった。ただそれだけよ。何を震えておる? オーガのシスターよ、我の素晴らしさに感動したか?」
うわぁ……臭え、ゲロ以下の匂いがプンプンするぜこいつは……とんでもねえ屑だ……。
「そもそも下等な平民である貴様らが我を見つめているだけで不愉快だ……貴様らを通した無能共も不愉快だ……我をクーデターで殺したあの時のあいつらも不愉快だ……この世の全てが不愉快だ……よし、貴様らを喰らった後はこの世の全てを喰らおう! そうだ! それが良い! オーガのシスターよ! 我の素晴らしさに感動しているようだし貴様は一番最後に喰ってやろう! 名誉と思え!!」
「なんだァ? てめぇ……」
ラビさん、キレた!! めっちゃぶち切れてる……超こえぇ……。
「貴様っ! 我になんという口の利き方をっ!」
「そんなんだからクーデターで殺されるんだよ! クソ野郎!! これ以上は話す事は無ぇ! ぶっ殺す!」
ラビさん口悪いなぁ、でも俺も同感だ!!
カッ!!!!
なんだ?! 王様が光り出した?! 眩しい……。
ん? 光が収まった? なんだあれは……。
怪獣みたいにでかい王様の頭、そこから下はタコの足だけが生えてる……よく見ると吸盤が人の顔になって叫んでる……気持ち悪い……こいつの醜さを表しているようだ……。
「キサマラマトメテクッテヤルッッ!」
そう言うと俺たち目掛けてでかい足を振り下ろした!
ドガンッ!
あっぶね! 結構、速い振り下ろしだ! 他の皆は?! 良かった……無事だ……。
うわ、叩き付けた痕がクレーターになってる……くらったらひとたまりもないな……。
今度は横に振り払って来た!!
ビュオウンッ!
速ぇ……タイミング良くジャンプしてやっと避けられた……。
あっ! 避けて足にしがみついた騎士隊長さんが剣を突き刺した!
「皆! 今のうちに攻撃を!!」
俺以外の全員が攻撃を仕掛けた。
「カユイノウ……キサマラハ ヒトデハナク ムシダッタノカ?」
だめだ……かすり傷くらいのダメージしか与えられていない……。
また来る!
ドガガガガガガガンッッッッ!
今度は複数の足を続けて下ろしてきてる! 避けるのだけで一苦労だっ!
あっ! 目の前に足が!
振り上げる隙に!! 触ればっ! 良しっ! 触れた! これでヤツは!
「グオアアアアア……! キサマラァ!!」
効いてない?! 触ったところはやけどみたいな痕はあるけど消滅まではされてない! なんで?!
「リュースケさん!!」
あぶねえ……ラビさんが抱えてくれなかったら潰されてた……。
「リュースケさん! しっかり触りましたわよね?!」
「ああ! しっかりと手のひらで足に触れたはず! なのに何で?!!」
「逃げ回りながら話しますわよ! 次が来ますわ!」
そう言い終えるとラビさんは駆け出した。後に続いて走りながら話した。
「無効化はされてないはずですわ! 触ったところにやけど痕のような物がありますもの! 仲間を喰らい、人々の恐怖と命を喰らい強力な霊となっていますわね。只の霊とはダンチですわ、だからリュースケさんの能力の効きが悪いですのね。だったら……」
「どうしますか?! 騎士さん達も逃げるので必死そうですよ!!」
「リュースケさん、知っています? どんな生き物も頭をヤレばイチコロですのよ。」
「まさか、またぶん投げる気ですか?! 絶対はたき落とされますって!!」
「分かってますわ! 騎士様達と合流しますわよ! 続いて下さいまし!!」
そう言い、ラビさんは今以上の速さで駆け出した。えっ! 速すぎ! 追いつけない!!
ヒィィィィッィッ! また足が来たァァァッ!
合流出来たラビさんは騎士さん達に指示を出していた、騎士さん達は分かれて駆け出し、足を牽制している。
やっと追いついた俺にラビさんが言った。
「”鬼に金棒”をしますわよ! リュースケさん!! かしこまれいぃっっっ!!!」
「はっ、はいぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」
「”アイアン”! 舌噛みませんようにしてくださいまし! シャッ! 行くぞオラァッ!」
俺の足を掴むとラビさんは駆け出した! また投げるのか?! いや、さっきはああ言っていたし……鬼に金棒とは? というか、こっちの世界にも同じことわざあるんだな……。
はっ! まさか! 俺を金棒代わりにして頭に突っ込む気か?!
速い速い! すごい速さで瓦礫を飛び越え駆けていく!!
こっちに気づいたみたいだ! 足が来る!!
「しゃらくせぇ!!」
ギリギリの所で足を躱してそれを足場に頭に向かい出した! 捕まえようと足を伸ばしてくるけど一本しか来ていない。騎士さん達の牽制のお陰だ!!
伸ばしてきた足に俺を叩き付けて振り払うラビさん。俺のこと完全に武器扱いしてません? 後、結構振動がすごいんですが……。
「ナメオッテッッ!」
足場にしてる足を振り上げやがった! ウオッツ! 放り投げられた?! 天井にぶつかる!!
「”待”ってたぜェ!! この”瞬間”をよォ!!」
そう言いながらラビさんは天井に足を、頭を王様の方に向け始めた。
ドンッッッッ!
天井を踏みしめながら一気に王様の頭の中心目掛けてジャンプした。俺を前に構えながら……。
ヒィィィィッィッ!! こえぇぇぇぇっ! 落ちるっ! ブン投げられた時よりも段違いに速い!
オーガのジャンプ力+重力=爆速、これは異世界行くなら必須の知識だな……。(諦め)
足で防御してる!! いけるか?! うわっ! 余裕でブチ抜いた!
ウオォォォォッッ! 王様の眉間に突っ込むぞっ!
ドパンッッ!
ブチ抜いた! やった! 消え始めてる! 倒せたのか!
ところでどうやって着地する気なの?! ラビさん?! 今度こそ地面にぶつかる!!
「「「「「「”ソフト”!!!」」」」」」
ぐにゃんっ!
なんだ? ふんわりと受け止められた? 地面がすげぇ柔らかい……カチカチの地面のはずじゃ……。
「ラビ様! リュースケ少年!! ご無事か!」
騎士隊長さん達が駆け寄ってきてる……。
良かった……皆、無事みたいだ……。
「皆様! 私達は無事ですわ! ”ソフト”ありがとうございますわ! 助かりましたわ!」
「間に合いまして良かったです! ラビ様の全力を受け止めるとなると6人がかりの魔法でやっとでしたよ……そろそろリュースケ少年の魔法を解除しては?」
「あら? すみませんわリュースケさん、今解除しますわね。」
ようやく自由になった体をほぐしながら皆の方を改めて見たけどすごいな……。
騎士さん達の鎧もベコベコのボロボロでラビさんのシスター服もズタボロだ……。
そうだよな……あんなにでかい化け物と戦ったんだからなぁ……。
おっ! ボロボロになった屋根の隙間から日差しが……過去一ありがたいと思う朝日だよ……。
ラビさんが立ち上がりながら言った。
「皆様! お疲れでしょうけどまずは城から出ますわよ! 念のため残りの霊に襲われるかもしれませんから気をつけて行きますわよ!」
ラビさんの号令と共に落とした装備やら荷物を回収して出発した。
ああ……朝日が染みるぅぅぅぅ……道中何も無くて良かった! 本当に!
あれ? 皆さん出口に立ち止まってどうしたんです?
これから浄化結界を構築する? 万が一討ち漏らしがないようにしておきたい? 分かりました、最後のひと踏ん張りですね。
そんなにポーションをがぶ飲みして大丈夫ですか? 俺みたいに漏らしまくりますよ?
痛いっ! ラビさんパワーのデコピンの威力エグくないですか? はい、すみません! 守りにつきます!
ラビさんは浄化結界を構築し始めた。
20分くらいはかかるそうだから守りついでに異世界の外を見てみますか。
ぱっと見は只の森だよな……なんだあれ? 角が生えたウサギがいる! あっちには甲羅の上にリンゴの木を生やしたリクガメがいる! すげえな、本当に異世界だ……。
なぜ俺は異世界に来てしまったのだろうか? どうしたら帰れるのか? 分からんな……覚えている限りじゃ殺されたり死んだりしてないし、地面に魔方陣が急に浮かんできてないし……。
男なら誰しも憧れる異世界だけど幽霊がガチに存在しているとはなぁ、そんななら早く元の世界に帰りたい……というか俺はこれからどうなるのだろうか?
「皆様! お疲れ様ですわ! 結界を構築出来ましたわ! これでこの城の件は完全に解決ですわ! 片付けたら本部に帰りますわよ!」
「あ、あのっ! ラビさん! 俺はこれからどうなるんですか?」
「私達と本部に行ってもらいますわ。異世界人だとかその能力の事とかは私達だけの判断でどうこう出来ませんわ。それに本部には古い資料ですとか賢い先生方がたくさんですの! 何か手がかりがあるはずですわ! 変なことをするような輩は組織にはいませんし、もしそうされそうになったら私達が貴方を助けに参りますわ! よろしくて?」
騎士さん達がウンウンと頷いている。ラビさんもサムズアップしている。
一緒に死線を潜り抜けたし信頼できると思う……よしっ! 行こう!
「はい! 分かりました! よろしくお願いします!」
ラビさん達が進み始めた。追いかけないと!
ゾクゾクゾクッ!
うおっ! 急に寒気が……後ろから? 浄化は終わったはずだよな? 本当に大丈夫だよね?! 気のせいだよね?!
「リュースーケさーん! 置いてっちゃいますわよー!」
「い、今、行きます!!」
やっぱりこんな異世界は嫌だぁ~!
こうしてこのクソッタレな城から脱出出来た日比 隆介!
しかし彼はまだ知らない……。
新米聖女ラビのチームに加わる事となり異世界の数々の怪異と対峙し戦って行くことを……。
負けるな隆介! 頑張れ隆介! 漏らすな隆介!
モキュメンタリーホラー大好き!
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後の執筆の励みになりますので是非とも”☆”や”いいね”やレビューをよろしくお願いします。