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テーマ詩集:ホームセンター

浮き輪

作者: 歌川 詩季

 不公平?

 まさか泥舟ってわけでもないはずなんだけど

 おそらく氷山にでもぶつけたのか

 あんたは こっちをうらめしそうにみつめながら

 ぶくぶく 沈んでいく


 どてっぱらに でっかい穴をあけちゃあ

 もはや なすすべなしだって

 あんたは もがく腕脚(てあし)もないまま

 がぼがぼ 沈んでいく


 どまんなかに でっかい穴をあけてることや

 もがく腕脚(てあし)をらもたないところなんて

 おれも あんたと似たようなもんなのに

 どうして ぶくぶく がぼがぼと

 沈んでかずにすむのかなんて

 あんたは おれをうらめしそうにみつめちまうのは

 しかたないことかもしれないけど

 悪いな

 助けてやることも コツを教えてやることも

 おれにはできやしない

 どうも この世の中には

 どてっぱらに 穴をあけて

 ぶくぶく がぼがぼ 沈んでくやつと

 どまんなかに 穴があるのに

 ぷかぷか ざばざば 浮いてられるやつがいるみたいだ



 そんなこと知っても

 なんのなぐさめにもならないだろうけど

 悪いな

 せめて あんたの沈んでくとこ

 神妙なおももちで 見送ってやるよ


 穴あきで 沈没船と名をかえたあんたへ

 穴あきの ちっぽけな浮き輪のおれには

 それが してやれることのすべて

 沈没船パニック映画も観ます。

 でも、潜水艦もののほうが多いかも。——潜ると沈むは違うのね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 泥舟に非ずも没む憂き世にも  浮き輪浮かぶ瀬其処其処彼処  どろふねに  あらずもしずむ  うきよにも  うきわうかぶせ  そこそこかしこ m(_ _)m
[一言]  おれに見送られて。  海底で魚の棲家としての第二の船生に浸ってほしいと思います。
[良い点] 浮き輪目線! どうしてこんな斬新な詩が思い浮かぶんですか? すげーでやんす。
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