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ダンジョンの受付嬢最強説  作者: 蜜柑缶


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99 ドマニ活用法

ブクマありがとうございます。

 私のベットの横の空いたスペースにいくつか木箱を並べその上に寝具を置いてドマニは寝ている。

 ベットを二つ置くのは狭いし、近いうちにどこかに部屋を借りるならそこに合わせて買った方がいい。

 

 グッと伸びをして起き上がるとシャワールームへ行った。

 

 ライアン側のドアの鍵をしめ、熱めのシャワーを浴びる。

 

 今日は最ダンは休みだがレベル上げに行く予定だ。

 私とライアンが飛ばされた後、初級から上級の隅々まで騎士団の人達が調べに行き異常は確認されなかったらしいのでもうすぐ開店許可が出る予定だ。

 

 私としては開店再開前の今のうちに出来るだけレベルを上げておきたい。

 

 着替えを済ましドマニを起こして朝食を取り始めた。

 子供がいるからにはいい加減な食事は良くないだろうと具だくさんスープを作った。

 

「ユキって料理するんだな、美味いよ」

 

 コイツ絶対に出来ないと思ってたろ。

 

 ドマニはガツガツとスープを口に運ぶ。

 

「ここに来る前は普通にひとりで生活してたんだから。出来るわよ」


「普通って、何してたんだ?」


「まぁ、商人の所で働いてたって感じかな」


 商社に勤めてたんだし嘘は言ってない。


「へぇ〜」

 

 ドマニとお喋りしながら食べているとライアンが通りかかった。

 

「おはよう、帰ってたのね。食べてったら?」


「お前が作ったのか?」

 

 怪訝な顔でキッチンに入ってテーブルについた。

 

「二人共私をなんだと思ってるの?」

 

 スープを出しながら睨みつけた。

 

「だってユキだぜ」


「だよな」

 

 何だかんだ言いながら、結局二人共おかわりをして満足気にキッチンを後にした。

 

「朝早くから何する気なんだ?」

 

 ライアンが不信な目で私を見た。

 

「もちろん、レベルあげよ」


「オレは見学、プラチナ国の最ダンは一番だっていうからな」

 

 路地から出て店へ入って行くと事務所にマルコがいて書類整理をしていた。

 

 何故かライアンまで付いてきて物品倉庫を片付けたりマルコの手伝いをしている私から目を離さない。

 

「何か用があるの?」


「何か企んでるだろ?」

 

 鋭いな……

 

「人聞きの悪い事言わないでよ。ただ頑張ってるだけじゃない」

 

 近々開店する店の準備を終え待機室に行くとベルトを着けた。

 

「地図を見るんじゃないぞ」


「わかってるわよ、見てないじゃない」

 

 ドマニとマルコも待機室へ来た。

 

 私はドマニに従業員専用の『所在発信用魔石』を渡し使い方を説明する。

 

「へぇ〜これで話が出来るのか」

 

 楽しそうに魔石を持ち、一緒に起動させた私に話しかけて驚いていた。

 

「スゲー、頭に響いてくる」

 

 会話が聞こえないライアンも魔石を使いだしニヤニヤしてる。

 

「ドマニを連れて行く気か?後見の許可がないと駄目だぞ」


「連れて行くわけないでしょ。私は中級に行くんだから」

 

 ダンジョンに入ったことの無い未成年をいきなり中級に連れて行くのは無理がある。

 

 マルコに地図の監視を頼むと私は待機室を出た。

 ライアンがまたついて来る。

 

「付いて来ないでよ」

 

 新しいメイスを持ちくるくると回して準備運動を始める。

 

「ちょっと相手してやるよ」

 

 腰の剣を抜くと軽く打ち込んできた。私も軽く打ち返し新しい武器を馴染ませる。

 

「前のより少し軽いかな」


「ミスリルは丈夫だから今のお前が思い切り使っても大抵は大丈夫だろうけど、一戦毎に手入れはしろ。ヒビでも入ってたら慌てるぞ」


「はーい」


「後、その手甲もそこそこの魔術なら弾き飛ばせるからうまく身を守れ」

 

 帰ってから渡されたミスリル製の手甲に軽く剣を当てながら言う。

 

「これも高そう」


「もう払ったから気にするな。傷んだらオレに言えよ、すぐに直すから」


「なんだか優しすぎて気持ち悪い」

 

 最後に剣を弾き、中級のドアへ向かった。

 

「見てるからな」

 

 ニヤリと笑い、送られた。

 

 

 

 

 明かりの魔石で久々に感じるダンジョンを照らす。

 

 軽く走りながら迷宮を進むとドマニの声が聞こえてきた。

 

「おぉ、あれがユキの居場所か。便利な物があるんだな」

 

 楽しそうに話す声を聞きながら迷宮を進んで行く。ゴブリンやオークが数体出るがケルベロスやルフなんかを見たあとでは可愛くさえ感じる。

 

「今、戦ったのか?」

 

 ドマニが私というよりライアンやマルコに魔石を通じて話しかけている。

 

「そうじゃな、ユキも最初はゴブリンで震え上がっていたのが立派になったもんじゃ」

 

 マルコが懐かしそうに話す。

 

 レベル11から始めた私は順調に進み既にレベル15。

 

「結構サクサク進めるんだな」

 

 ドマニが短い感想を述べながらダンジョンについての質問をしたり、どんな魔物が出るのかなどと話したりしてる。

 

 最初のうちは時々ライアンの声も聞こえていたがやがてそれも無くなり、多分どこかへ行ったのだろうと思っていた。

 

 お昼過ぎになった頃私は休憩するとドマニとマルコに告げてダンジョン内で座って休んだ。ドマニもジッとして地図を見ていたのが疲れたようで、空腹を訴えていた。

 

「これ食え、マルコさんもどうぞ」


「おぉ、気が利くなライアン」

 

 どうやら買い出しに行ったみたいで、皆で何か食べているようだがメニューは聞かなくてもわかる。

 

 私はポーションを飲むと軽く目を閉じた。

 

 眠る事は出来ないがやはりぶっ通しで数時間戦いながら進むのに疲れた。

 私はまだ魔石で通信が出来るからひとりボッチな感じはしないが騎士達はこれをたった一人で進むんだから大変な気力だ。

 

 ちょっと貴族を見直した所で再びダンジョンを進みだした。

 

 今日中に中級を終わりたい。

 

 

 

 

「これは審議だろ」

 

 夜遅くにグッタリとした私とドマニを前に、ライアンが偉そうに腕を組んで立っている。

 

「何が?」

 

 レベル30の認定をさっさと済ませへたり込んだ私はしれっと笑う。

 

 マルコは少し困ったような顔で笑っている。

 

「極度の方向音痴のお前が一度も道を間違えずに進んだなんて誰が信じるんだ」


「なんの事?ちゃんとマルコさんに見ててもらったわよ。何かおかしかったですか?」

 

 マルコは少しため息をつきながら首を振った。

 

「いや、おかしな所は……わからなかった」

 

 微妙な言い回しだが既に認定済みだ。

 

「次は待機室にドマニを入れずにやれ」

 

 流石にバレてたか。

 

「オレは何も言ってないぜ」

 

 そこでそれ言ったら自白してるのと一緒だよ。

 

「お前以外に誰がいるんだ。今回は見逃してやるが次は駄目だぞ」

 

 そう言ってライアンが訓練場から出て行った。

 

「固いやつだな、力はあるんだから良いじゃねぇか」


「ホントに」


「ワシは何も聞えてないぞ」

 

 マルコが耳をふさいだ。

 

「次の手を考えないとイケナイわね。間違ったら話しかけるって言うのはもう使えないわ」


「もう使えなくなったか」


「何も聞こえんぞ」

 

 マルコが諦めたような顔で事務所へ向かう。

 

「今度は話すんじゃ無くて咳払いとかどうだ?」


「それじゃ同じ事だからすぐにバレるわよ」


「聞こえんぞ〜」

 

 立ち去るマルコを放っておいて次の合図をどうするかでドマニとの話は盛り上がった。

 

 

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