35話 慈悲の心
本日は短いですがご了承ください。
ドォォォォーーーーンン!!!!
ものすごい爆爆音と共に勢いよく岩石が辺り一帯に飛び散る。
そして、舞い上がった砂埃が収まると、高密度の魔力で放たれたおれの魔法によって大地がえぐり取られていた。
ただし、火竜は生きていた。
おれはワザと魔法を外して、この火竜を生かしておくことにしたのだ。
「英雄様ーー!!」
戦いが落ち着いたことを確認したエドがおれのもとへとやってくる。
そして、エドはまだ生きている火竜を見るなり息を呑むのであった。
「これはっ!?」
そこで、おれは火竜を殺さずに生かしておいた理由をエドに説明する。
「よくよく考えれば、コイツはおれたちに何も害を及ぼしていない。寧ろ、先に攻撃したのはおれの方だったな」
理解してもらえるかはわからないが、それでもこの火竜の殺生についてはおれが決める権利があると考えている。
エドに反対されたとしても意見を覆すつもりは毛頭なかった。
「しかし、火竜は危険な存在なのですよ! 弱っている今、仕留めて置かなければ被害が出てしまいます!!」
そして、案の定エドは反対してきた。
今ここで火竜は殺すべきだと主張する。
おそらく、魔族の立場としては魔物であるコイツを殺すのが正しいのであろう。
それはおれも理解している。
だが——。
「それはない。そんなこと、おれが許さないからな」
おれは火竜に睨みを効かせる。
すると、火竜はおれに怯えるようにして萎縮するのであった。
「何を根拠にそう言い切れるのですか……?」
「これから信じさせてやろう。まぁ、見てろって」
おれはエドにそう告げると、念じることによって再び火竜に思考を伝えるのだった。
すると、火竜は傷ついた尻尾をバタバタと振って何かをアピールする。
「これは……!?」
「そうだ。おれに服従しているようだからな。これから可愛がってやろうじゃないか」
おれは含みを持った笑顔でエドにそう告げるのだった——。




