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魔王伝 - 不滅の魔人 -  作者: 竹取GG
第一章
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27話 ヴァンパイアと訓練(1)

  体調を崩したダグラスであったが、次の日にはピンピンとして元気を取り戻した。

  そして、彼はいつものようにフリンたちのいる集落へと食糧をもらいに出かけていった。


  おれはというと、特に連れて行って欲しいと懇願したわけではなかったのでレイシアと共に家で留守番をする予定であった。

  しかし、急遽予定が変わり、慌てて家から走って15分はするところにある小さな森の入り口まで来ていた。

  そして、おれは思わず文句も交えて言葉をかけるのだった。


  「それで何でお前たちがここにいるんだ……?」


  おれは目の前にいるヴァンパイアのレオンハルトとスペンサーに向かって問いかける。

  この2人は先日、おれが偶然遭遇してしまったヴァンパイアたちである。

  そんな彼らがどうしてか今おれの目の前に立っているのだ。


  レオンハルトたちはヴァンパイアの中でも地位が高い者たちであるようで、互いに遭遇して戦闘に発展してしまったことは隠しておくようにと話は着いたはずだ。

  それなのに、どうしてこいつらはこんな所にいるのだろうか。


  せっかく家の中で(くつろ)いでいたというのに、急に彼らの魔力が出現したことで慌てて駆けつけたというわけだ。

  そして、ヴァンパイアのレオンハルトは悪びれもなくおれの質問に威勢よく答えるのであった。


  「次会った時にお前をぶっ倒すって言っただろう! だからわざわざ出向いてやったんだよ」


  なんとも彼らしい回答だろう。

  まるでおれの都合なんて考えちゃくれない。


  おれとしてはヴァンパイアである彼らの魔力の出現をレイシアに気づかれたらどうしようと困っていたのだ。

  そして、この事象については前回の去り際に一応話しておいたつもりだったのだかな……。


  それなのにレオンハルトたちと来たらこれだ。

  まったく、ヴァンパイア様というのはここまで魔人のことを考えてはくれないものなのかと非常に残念に思うばかりであった。


  「ヴェルデバラン殿、レオンハルト様はもう一度貴殿とお手合わせをしたがっているのです」


  すると、レオンハルトの側近であるスペンサーはそう付け加えた。


  「まあ、それは別に構わないんだけどな……」


  おれとしても彼らともう一度相手してやるくらいは構わない。

  しかし、問題はそこではないのだ。

  おれの気も知らずに家の近くにやって来たのが問題なのである。


  おれはレオンハルトたちに再度説明を試みた。


  「なあ、悪いがお前たちヴァンパイアと出会ったことを家族にはバレたくないんだ。会いてくるのは良いのだが、ここに来るのはやめてくれないか?」


  「それなら心配ございません!」


  スペンサーが威勢よくハキハキと答える。

 

  「我々は魔力を抑えておりますし、ヴェルデバラン殿の母上殿は貴殿ほどの魔力感知能力はないとお見受けしました。我々の存在に気づかれることはないでしょう」


  スペンサーの意見は筋が通っていた。

  確かに、彼らはその膨大な魔力を解放しているわけではないし、レイシアもおれほど魔力感知に優れているわけではないようなので彼らの存在に気づくことはないだろう。


  だが、相手をするとなれば魔力をガンガンに使うわけだし、この前のように周辺の地を荒らしてしまう。

  結果として、すぐにバレてしまうだろう。

  おれはそれを指摘することにする。


  「だが、勝負となれば気づかれてしまうではないか。もしかして、一切魔法を使わずに勝負をするとでも言うのか?」


  しかし、スペンサーはと言うと、すぐにおれの指摘にも的確に回答するのだった。


  「いえいえ、そのようなことはしません。ヴェルデバラン殿の心配されることはわかります。ですので、転移魔法で場所を移そうと思います。」


  「場所を移すだと……? もしかして、前に使っていた瞬間移動の魔法か?」


  「はい、その通りでございます」


  どうやら、転移魔法を使って別の場所でもう一度おれと闘いたいのだという。

  確かに、それならばレイシアに気づかれることはないだろう。

  だが——。


  「そんなに長い時間、相手は出来ないぞ。おれはちょっと出かけていると言って家を出てきたんだからな」


  おれの中で問題は他にもあった。

  何の前触れもなく、急に外に飛び出して来たことはあまりにも不自然だったはずだ。


  レイシアには散歩に行ってくると話して外に出て来たが、もしかすると彼女は何か怪しんでいるかもしれない。

  『あまり遠くまで行かないでくださいね』なんて表向きは外に出ることを容認しているように思えたが、彼女が内心どう思っているかはわからない。

  昨日の件もあるし、あまり派手に動きたくないのだ。


  しかし、そんなおれの悩みにもスペンサーは快く答えてくれる。


  「かしこまりました。それでは、本日は少しだけでも構いませんのでレオンハルト様の特訓に付き合っていただけないでしょうか」


  スペンサーは柔軟におれの希望を受け入れて対応してくれた。


  「おい、スペンサー! 特訓なんかじゃねぇ、真剣勝負でコイツをぶっ倒すんだよ」


  「はいはい、そうでしたね。失礼致しました。それではヴェルデバラン殿、少しの間レオンハルト様のお相手をお願いしてもよろしいでしょうか」


  どうやらスペンサーの方は主人であるレオンハルトの特訓に付き合って欲しいらしい。

  だが、レオンハルトはその高いプライドからおれに特訓の手伝いを頼むということが許せないようであった。


  「ああ、構わないぞ。おれとしても学べることがありそうだからな」


  こうして、おれは彼らの要望を受け入れることにする。


  「それでは失礼します」


  スペンサーはそう言っておれの肩にそっと触れると魔法を発動させる。

  おれたちは光に包まれたかと思うと、次の瞬間には別の場所に転移していたのであった——。

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