1.またしんじゃった!
鳥のさえずりで目がさめると、日が当たる明るい森の中にいた。
持ち物は何があるかと確認しようとしたけど、やけに自分の手がちいさい……。
疑問の声を出す。
「あれ?」
ん?今の幼い声はどこから?
「おーい。だれかいるのかー?」
これで気づいた。この声は自分から出ている。まさか!
小さくなった手、幼い少女のような声、そしてすべすべした肌……!
これはもしかしなくても僕……幼女になってる?
「い………やっっっっっったーーーー」
「幼女になるとか最高かよ!」
近くの川に駆け寄り川を除き、自分を映してみる。
なんだこの美少女は……!
紫色の髪にモチモチのほっぺ、いかにもロリという容姿、そして目が青い?胸は……うん!あの神様よりはあるね!
ただこのワンピース?みたいなのは少し嫌かも…この布の下は下着しか来ていないからスースーするし……。
そんなこと考えていると、近くから馬車の音と若い男らしき声が聞こえてきた。
「………の街までもう少しだぞ。起き……」
どうやら馬車の運転士らしかった。街が近くにあるのか。僕もそっちに行ってみるか。
まずは生活するために職を得なきゃな!
馬車が通った道に出て、馬車が進んで行った方へ歩く。
しかし、木々ばかりで何も無い。道も舗装されていなく、砂地の道で歩きにくい。
2時間ぐらい歩き続けても、幼女の歩幅ではあまり進んでないのだろう。
もう引き返そうか?でも引き返しても何も無いだろうし……。
すると、木々が無くなり芝生程度の草が生えた草原に出た。
そこは小高い丘で、とても景色がいい場所だった。
「なんだこれは……」
丘からは一面が石壁に覆われた街が見えた。
道なりに歩いていくと、いかにもファンタジーという感じの大きな大きな石の門が見えてきた。そこには小さくしか見えないが、おそらく甲冑を着た門番もいる。
立派な門にカッコイイ門番!
これこそ異世界!
門番の兵士に話しかけよう!そうしよう!
ものすごくテンションが上がってきた。フィクションだけだと思っていた異世界ファンタジーの世界で過ごせるなんて、夢みたいだ!
丘を下り、街の門に駆け寄り、門番に話しかけようとする。
そして、門番にもう少しで話しかけられるという距離に近づいたその時、
『グサッ』
痛みが腹の位置にくる。
見てみると門番の槍が僕の腹の近くに刺さっていた。
「うっ……なん……で……?」
「魔女の青い目を持つ不浄な輩を街に入れるわけにはいかない」
せっかく生き返れたのに……また死ぬの……?
いやだ……! 死にたく……ない……!
意識が遠ざかる。
もうダメなのかもしれない……。腹部の痛みもだんだんと薄れていく。
そうして、僕の視界は真っ黒になった。