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プロローグ
その女性にとって、人間も動物の一つに過ぎない。
だけど、現代の人間は他の生物達を家畜のように扱い、簡単に殺すこともよくあることだ。
ただ、その女性が人間だからというわけではないが、これも時代の流れとともに発展し、人間達の知恵が上回った結果だ。その女性はあくまでも冷静にそう考える。
それはこの生物界の絶対的な理でもある『弱肉強食』という定義にもしっかり当てはまる。
だからこそ、特別人間だけが絶対悪だとは決して思わない。
だが、人間以外の多種多様な生物の中にも人間同様の知恵や頭脳を持った生物はいる。
そういう生物達にとって、人間はまさに目の上のたん瘤であり、人間を恨む者、人間を逆に支配しようとする者、さらには人間をこの世から根絶しようと考える者までいる。
その女性はそんな考えを持つ生物達と、人間の間を取り持つために派遣された調停官である。