テンスラの一日
異空次元警備学校にいる美来の使う武器を持って来て以来カクランの部屋に転がり込んだテンスラ……
カクランは目覚ましで目を覚ましベットの上で身を起こした。
「はぁ……うるさ……」
「気持ち悪い退け」
カクランはテンスラにベットの上から床に蹴り落された。
「は!? 何で寝てるの!? 僕のベットなんだけど」
「黙れ、腹減った朝食」
「知るか! 僕の部屋だし……ここでの生活費ってお前に払う分から抜いて良いよな?」
テンスラ帰ったら布団干そう……
カクランは毎回嫌がりながらもテンスラの分の朝食を作り、昼食もいるかまで確認して仕事へ向かう。
「母親に似て優しい人……なのか?」
ってか人じゃなくて狐だし……カクの母さんって変わった人だったな
テンスラの携帯に教頭からの着信履歴が数回残っていた。
テンスラはゆっくり朝食をとり、歯を磨き顔をすすぎ軽く髪を横で束ねた。髪をとく必要はない、といても変わらないからだ。
教頭の部屋へ向かう。
「テンスラ! この島にいるから訓練用の武器を調整してもらおうというのに遅いじゃないか」
「いえいえ、すいませんね……半額にするから」
「んぐぐ……それなら、まぁ、いいだろう」
この口に教頭は毎回騙されている。二倍の金額を言っておいて本当の値段に戻しただけだ。
訓練所にある武器庫を渡り歩く。
「えーと、当たった所に色をつけるようにすればいーんだな?」
「そうだ、それとこっちはあたり箇所や力によって痛みの具合を変えるようにしてもらいたい」
「難しいなぁ〜俺、殺傷能力つける方が得意なんだけど」
「そんなものつけたら生徒が死ぬであろう!?」
「冗談、やってみますよ」
「よろしく頼むよ」
テンスラに人間の血が流れていないからか教頭は彼を多少信用していた、騙されていることを知らず。
昼食は武器庫の外の訓練所内でカクランに作らせたものを食べる。
「ん? そういやあカクの野郎自分で作るか彼女でもつくって作ってもらえつってたっけ?」
大きなお世話だよな……百年以上生きてて一回も付き合ったことない奴に言われたくねーな、俺も同じだけど。
食後、銃器の調整に入る。
「……駄目だ」
テンスラは剣の武器なら自分で調整し試し斬りをできるが銃器は調整できるがあまり扱いは上手くないので使いやすいのかもわからない。
「まぁ、できてんだろ」
今まで文句や苦情はなかったので暴発しなければよしとする。
仕事が終わると代金と終了したという報告をメールで教頭に送り倉庫を後にする。
その後口に千歳飴を加えて店に入り整備に必要な材料を購入、持てる物を持ち別の店へ行き千歳飴を箱買いし図書館へ行く。
【飲食禁止 荷物を預けるロッカーはこちら】
コインロッカーに荷物を預ける。
「あ、小銭……仕方ないカクの財布から使うか」
中に入るとよくレゲインと鉢合わせする。
レゲインはテンスラが読もうと思っていた術式の本を立ち読み中だった。
「金出したら譲ってくれるか?」
「譲るか! 金でつるなよいい大人が……」
後ろで職員に二人とも肩を突っつかれる。
「お喋りなら個室でお願いします」
怖い顔でそう言って仕事に戻った。
注意されぬよう小声で話す。
「お前のせいで注意された」
「俺のせい? コウモリ君が叫んだんだろ」
「レゲインだ……」
「あ〜そうだコウモリ君、欲求不満を解決する本が一番奥にあるよ」
レゲインは呆れたように本を閉じ脇に抱えテンスラを睨んだ。
「レゲイン! ってかなんてもの教えんだ!?」
「いや、カクならつられて行くから」
「えっ……マジで?」
「どんな本か理解して戻ってくると顔赤くして怒ってた」
テンスラ……あのキツネは意外と純粋みてぇだからファッション雑誌の方が引けるんじゃねーかな……
「ファッション雑誌の方がいーんじゃね? 女物の」
「あ、成る程、カクの奴はそういうのじゃなく普通にファッション雑誌で引けるのか」
「じゃあ」
レゲインはさっきの本を借りるつもりでカウンターに行ってしまった。
部屋に帰るとカクランが夕食を食べようとしていた。
「俺の分は?」
「何でだよ! ……食われるの嫌だから弁当買ってきてやったよ」
「そう……」
テンスラは向かいに座り机を反転させ、料理の方を食べる。
「あ……僕の夕食……何するんだよ! 栄養管理してんのに」
「朝あんま食わず、昼暴食してるくせに、夜買った弁当食っても大してかわらねぇよ、女子か!」
ーーピンポーン
チャイムが鳴ったのでカクランはそっちに行く、テンスラが購入した千歳飴の箱詰めだった。
箱で部屋の半分が埋め尽くされた。
「何してんの……テン……僕の部屋なんだけど……」
テンスラは一人食べ終わりシャワーを浴びベットに入って眠りについた。
カクランは半泣きで床で寝る羽目になった、こうしてテンスラの鬼畜な1日が終わり、また明日始まるのだった。