表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悠久の箱   作者: mahiru
1/1

~5月17日~

その光景を忘れることはきっと一生無いのだと思う。

校舎の中にある普段立ち入らないスペースである中庭に僕たちはたたずんでいた。

「こんなことが…これからずっと続くのかな…」

隣にいる春原が言う。

「きっとそうなんじゃないか」

唐沢があまり表情を変えずに淡々と会話をつなげた。

「お前…平気なのかよ…何にも感じないのかよ」

春原は怒っているような表情で唐沢の肩を掴み、目元には涙を浮かべながら叫んだ。

「もう…二度とあいつには会えないんだぞ。分かってんのかよ」

「じゃあ掴み合いすることでなんか解決するのかよ」

「そんなわけねえだろ…でも」

唐沢の肩を離し春原はうつむく。

「あいつ俺たちのために…最初に行きやがった。絶対怖かったろうし、心細くて

行くとき震えてたのに武者震いとか言いやがって…かっこよすぎなんだよ」

春原は膝を地面に付け声を押し殺すように涙を流している。

「もう俺たちに戻る術も泣いている時間も残されてはいない」

「もうやめろよ…そういう台詞はボロ泣きしている人間の台詞ではないだろ」

「お前に言われたくはないよ…」


今日はとても天気がよく時間も放課後だったためか授業の圧迫感から開放された生徒たちや、部活動に向かう生徒たちで校舎は賑わいを見せている。

それは僕たちの悲しみをなぜか分からないけど後押ししているように感じた。

「矢沢はきっと言い合いすることを望んでたわけでもないし、悲しむことを望んでたわけでもないわよきっと」

富田が僕たちにしゃがみながら背を向けて言った。

「本当に二度と会えないんだな…」

「でも忘れないことはできるはず」

富田は立ち上がりそれでも背を向けているため表情は見えない。

「こんなもの作って意味があるのか?理解できないな」

「あんたたちにはきっと分からないわよ…何度繰り返してもね」

「まぁ私はあくまでプレイヤーではなく補佐だからな。細かいことには口は出さないよ。

先ほどの質問は好奇心からだ。申し訳ないね」

後ろで私たちの姿を見ていた先生の姿をした三島という化物が口を開いた。

「もうしゃべらないでよ…今日だけでいいから」

富田はそう言った後に何かを忘れたようにポケットからネックレスを出すと

先ほどまで作っていた土の山の上にそれをかけた。

「ありがとう…矢沢のこと忘れないよ。あなたの守ったこの世界は必ず守り抜くわ」

富田の肩は震えていて足元には複数の涙の跡が見えた。よく見えたわけではないのだが

「さぁ行きましょうか…私たちにはやるべきことがたくさん残っているわ…命を懸けてね」

目をゴシゴシと擦るしぐさは何かを振り払うように見えた。

「強いな富田は」

「そんなことは無いわ怖いわよすっごく怖いわ。これから私たちも同じ道を歩むのかと思うと

気持ち悪いし、今にも吐きそうだし、何で私たちがって気持ちになるわよ」

「そうだな、みんな気持ちは同じだよな」

「でも、がんばらないとね」

言葉とは裏腹に泣きはらした顔は不安でいっぱいのように見えた。



教室に向かう僕たちに会話は無く、ただ歩を進めた。

それはとても重い足取りで、すれ違う生徒たちが輝いて見えた。



昨日、5月16日僕たちの友達 矢沢 順一 が死んだ。

死因は強い痛みによるショック死とされている。

公に発表されることは無く、世の中からこの出来事は抹消されることになっている。

彼の死を知っているのは今ここにいる3年4組の僕たちと

この世界を統べる機関であるCoB《脳の鎖》と呼ばれる世界統一政府の上層部のみである。


-------------------------------------------------------



とある手記より~


私たちプレイヤーは今回のLoss of tree diagram《樹形図の喪失》という戦争の兵士に選ばれたのだ。

この戦争のルールはとても簡単である。

世界のエネルギーをすべてまかなっている万能型全要素生成装置エインヘリヤルのコアである

カルディアという機械に乗り込み、電脳世界にあるエインヘリヤルの周期時限爆破機能クレイモアの防御機能である、ヒンメルの門をすべて突破し爆破機能を停止させるといったものだ。

ただしこの門には門番である敵が聳え立っている。

そして門番を倒すために生まれたのが私たちプレイヤーというわけだ。

プレイヤーは全国各地に存在しているためそれほど珍しいわけではないが、

戦えるのは無差別に選ばれた数名~数十名のプレイヤーのグループだけなのだ。

そして今回我々がメンバーに選ばれたというわけである。


なおヒンメルの門は毎回クレイモアの機能が停止されると新たな門番を生み出す仕組みとなっている。

そのため毎回門番のタイプや形状は異なり苦戦を強いられているそうだ。

さらに厄介なのがカルディアに次回乗り込むための条件が必ず敵を一人一体以上倒すこととされている。

そのため一人一殺が必須となってくる。


またカルディアは搭乗した際に受けた傷や痛みをそのまま本人の体に反映するため、電脳世界で受けた傷は現実世界にも反映される。電脳世界で腕が千切れれば現実世界でもねじ切れ、心臓が抉られれば死んでしまう。敵を倒せず殺されてしまえばそこでゲームオーバーなのだ。


戦闘に関して言えば要するに敗北するとエインヘリヤルが

爆発することだけ覚えておけばいいのではないか。


まぁ細かいことはきっとそのうち分かってくるさ。

これを読んでくれた人がまたこの世界を守ってくれることを切に願っているよ

未来の私たちの同胞たちよ


---------------------------------------神酒 康人






初心者くそやろうなので書き方とかよく分かりません

ご指導御鞭撻お願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ