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Ep.06 寛容すぎる?ホストファミリー!

オカンが一年半お世話になったホストファミリーは、当時五十代の子供のいない

カップルでした。奥さんが日米のハーフで子供の頃に横浜の伯父さんの家の

近所に住んでいた関係で、快くスポンサー(保証人)を引き受けて下さったそう

です。大阪万博の時、当時小学生だったオカンと一度だけ面識があったようです。


「すっごい理解あるご夫婦で、アメリカ生活を存分に謳歌するといいよって、

何でも自由にさせてくれはった。門限も12時までに帰宅すればOKで、あって

ないようなもん。運転免許を取ることもワインやお酒の楽しみ方もお二人に

教わったし。とにかく、それまでの日本での生活とは一変した感じ…」


俺のジーちゃんやバーちゃん、年齢の割には放任主義だったそうですが、当時は

近所の目を気にして『アッシー君』に車で送ってもらっても家の手前の公園で

降ろしてもらう、みたいなこともあったとか。もちろん合コンなんてない時代。

見合い結婚の場合、釣書つりしょと呼ばれる家族構成や本人のプロフィールのような

身上書の交換と近所への聞き込みがデフォで、常に品行方正にしておかなければ

ならなかったようです。


「まあ、何とか大きな迷惑かけずに無事帰国したけど、一つだけ今でも心苦しい

ことがあるんよね…」


「?…」


「ご主人の方はアイルランド系でお酒が好きで車が趣味のような優しい人で、

どうしても縦列駐車ができないお母さんに自分の車で特訓してくれはったの。

ところが、その大事なキャデラックのテールランプを練習中にガチャンとやって

しまったんよ」


「わぉ!」


「『Don't worry, no problem!』と言いながら作る笑顔が引きつってたの

今でも思い出すわ。それ以来、奥さんの車しか運転させてもらえなくなった

けどね」


そりゃそうでしょ。てか、それ以後も車を提供してくれるなんて寛大過ぎやん!


「で、アメリカンライフを自由奔放に謳歌したわけ?」

「ま、それなりに体験したり経験はしたよ…」


オカン、ニンマリと大阪のオバちゃん風味の微笑を浮かべました。


「けど、人って何でもかんでも制限されたり強制されるとつい反発したくなる

けど、逆に何でも自由にどうぞって言われると、かえって自制心と言うか抑止力

が働いてアブナイ事には手を出せないもんよ。信頼してくれる人を裏切ったら

アカンみたいな…」


まあ、確かにやめろと言われるとやりたくなり、やれと言われると躊躇うのが

人間の深層心理かもしれません。


てか、その 〝アブナイ事” とやらの中味が激しく知りたいんですが・・・


「KちゃんやS君もいつまでもパラサイトしてないで一ぺん親元離れてみるのも

ええよ。普段はウザいと思ってる親のありがたみがよー分かるから」


はいはい、そのうち家を出て自立します。


「けどさ、今はメールや携帯があって便利な反面、留学してせっかく自由を

満喫しよう思っても常に監視されているようなとこもあるよね。毎日電話が

かかってきたりGFやBFと楽しんでる最中にスカイプなんか入ったら堪らんやん。

その点、あの頃は手紙と月一の電話報告だけで、親とは地球と火星くらいの

距離感があったわ!」



うわっ、俺もめっちゃ留学したくなりました・・・





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