Ep.03 イケメン英語教師、3年間の時間かえして!
オカン、念願のアメリカン・ライフがはじまりました。
が、やはり英語、特に米英語の会話では相当苦労したようです。
「とにかく、発音が全然違うんよね。中・高・短で習ってきたモンはいったい
何やったんかと思うくらいアメリカ人の言うことがさっぱり分からんかった。
やっぱり、英国人やなくてアメリカ人の先生の授業取っておくべきやったなぁ、
と後悔したわ」
今では小学校からネイティブスピーカーの英語の先生の導入が見当されるように
なりましたが、当時は私立の中学や高校でもほとんどいなかったようで、短大に
なってはじめてネイティブの先生の授業があったそうです。
「てか、なんでイギリス人の先生選んだわけ?」
「ジェームス・ボンドみたいに恰好よかったんよね、その先生…」
アメリカへ留学することが決まっていたら、フツーそんなんありえへんやろ!
ま、オカンらしいと言えばそれまでですが・・・
「授業にはかろうじてついて行けるんよね。テキスト通りに進行するから、
予習さえきっちりやってれば。けど、クラスメートとかの日常会話になると、
目が点になったわ。例えばこんな感じやから……」
↓
『このレポート速攻でやっちゃわないと、今夜パーティーに行く予定あるから』
アイ ガラ ゲッ ディス リポート ダン エイエスエイピー コーズ アイム
ゴナ ゴールー パーリー トゥナイ ➡ "I've got to get this report
done ASAP(as soon as possible) because I'm going to go to a
party tonight."
『マジで? わたしも行きた~い!』
フォー リオゥ? アイ ウォナ ゴー トゥ! ➡ "For real? I want
to go, too!"
「この程度の女学生の会話、文章に書き起こすと中学高校の英文法真面目にやって
た日本人なら理解できるやろ? けど、これを普通の会話のスピードでやられると
日本人教師のガチガチの和風英語の発音に慣らされた耳には右から左に通り抜け
て行くのよね」
ああ、確かにそうかもしれません。
「で、どれくらいで理解できるようになったん?」
「これくらいの会話がフツーにできるようになるには一年近くかかったかな。
もちろん、個人差はあると思うけど。最初の数か月は相当落ち込んだよ、この
お母さんでも」
常に躁状態のオカンからはちょっと想像できません。
「やっぱりホームシックになるとか?」
「うーん… ホームシックとは別モンかな。日本が恋しくて帰りたいと言うよりは
このままでは日本に帰れない、みたいな。一応友達とかに送別会してもらって、
皆から一年後には英語ペラペラになってるね、とか期待されてたわけやから。
うわっ、どないしよう!? みたいな…」
意気揚々とアメリカまでやって来たオカン、どうも前途多難なようです・・・