Ep.29 これがプレゼンの原点?!~Show & Tell~
『Show and Tell』
幼稚園年長から小学校低学年までの子供が、自分の持参した物を『見せ』て
クラス全員の前で『話す』という文字通り、発表会みたいなモンです。
その〝物” はお気に入りのぬいぐるみや玩具、旅行のお土産、おばあちゃん
の手作りの品など何でもいいわけで、要はその由来や自分の思い入れをいかに
上手く観衆の面前でプレゼンテーションできるかが目的。アメリカでは伝統的
な初等教育の一環だとか・・・
毎日一人か二人づつ発表するシステムなので、どうやら月一位で順番が巡って
くるみたいです。で、ネタ切れしてしまったお隣のショーン君、オカンがベビー
シッターの時に作ってあげた折り紙の 〝鶴と兜と船” の三点を無断で出品。
これがどういうわけかクラスや先生にバカウケしてしまい『オープン・ハウス』
の日にゲストとして招かれる羽目に・・・
日本のような参観日のないアメリカではそれに代わる『オープン・ハウス』と
呼ばれるものが新学期になるとあるそうです。平日の夜に学校が解放され、親と
本人だけではなく兄弟・姉妹からジーちゃん・バーちゃんまで誰でも参加できる
イベント。そこでオカン、折り紙のデモンストレーションをしながら日本の文化
を紹介することに・・・
「めっちゃ緊張したよ。お母さんって見かけによらずシャイなとこあるやろ?」
シ、シャイってそんな可愛らしモンとはちゃいますが・・・
ま、一見怖いもの知らずのド厚かましい関西のオバちゃんのように思われがち
ですが、オカン意外とチキンなところがあります。
「折り紙もその三つくらいしかよう折らんし、由来とかも全然知らんし…
今みたいにポッチンして即ウィッキで調べられる時代やないからね」
確かに今はネットのおかげで何でも瞬時に簡単に検索できる便利な世の中、
グーグル先生様々です・・・
で、準備期間の一週間内に4人の日本人仲間たちの協力を得て風船と飛行機を
追加、5種類のデモ用折り紙と千羽鶴物語(千羽鶴の由来をテキトーに脚色)
で、なんとか初のプレゼンに臨んだそうでです。
「すっごい評判よかったんよ。一枚の紙から鳥ができるなんてマジック!
アートや~! みたいな…」
まあ、アメリカ人は不器用な人が多いそうでお世辞分を差し引いても、かなり
感激してもらえたようです。
「けどね、なーんか納得できたわ…」
「?…」
「アメリカ人が人前でのプレゼンが上手な理由。5~6歳の子供の時から鍛え
られて中・高・大と場数踏んだら、どんなあがり症や恥ずかしがりの人間でも
社会人になる頃にはプロ並みになれるやん」
なるほど、『Show and Tell』がアメリカ人のプレゼン能力の原点
ということですか・・・