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Ep.02 機上のお隣さんは親切過ぎるウザメン!

オカン、いよいよアメリカ出発の日を迎えました。

飛行機は国際線はおろか国内線も乗ったことのない初体験。

しかも十何時間もの長旅。で、娘可愛さにジーちゃんはビジネスクラスの

チケットを奮発したそうです。当時はもちろん関空もなく成田からNYへの

直行便もない時代、アラスカのアンカレッジ経由でニューヨーク、そして

国内線に乗り換え最終目的地に向かいました。


「Kちゃん、新幹線や特急の指定席、深夜バスとかで隣りにどんな人が座るか

ドキドキしたことある?」

「いや、別にそんなん気にせーへんな、長時間やったらスマホいじってるか

寝てるから」


ま、ペチャクチャ喋りかけて来る大阪のオバちゃんタイプ以外なら、正直

俺は誰でもOKです。


「ふーん、そんなもんなん。 お母さんはあの時めっちゃ緊張したけどな…

一番期待したのは、もちろん同世代かちょっと上くらいのイケメンな。

次は、容姿が自分より落ちる女の子。ゼッタイ避けたいのは加齢臭を漂わ

せてるようなオヤジと、自分より綺麗な女子かな」


実にオカンらしい並びです、はい。


「で、いったいどんな人が横に座ったん?」

「出張でニューヨークに向かう東京在住のビジネスマン。年のころは30代

半ばくらいで、顔もイケメンとは言いがたいけどフツメン+くらい、かな」

「ええやん!」

「ま、最初の内はね…」

「?… ナンパされたとか?」

「そんなんとは、ちゃうの…」


その男性、もの凄く話好きらしく良く喋る人だったようです。

オカンが言うくらいなのでかなりのモンだと思います。自身も留学経験があり

親切心でいろいろ教えてくれたり、質問してくるので出身校を聞かれ、まさか

東京人が京都の地名まで知っているとは思わずつい、〇〇区にある短大だと

口にしてしまったのです。すると、『え、自分キミもしかしてK女なん? 

僕D大、いやあ、奇遇やなあー!』

東京のビジネスマンから一転、一気に関西弁のお兄ちゃんに大変身-- 

それからというものオカンのことをまるで親戚のか妹のように取り扱った

そうです。


「世話焼きと言うか仕切りたがりと言うか、機内食の前に出された食前酒を

呑もうとすると、機内はアルコールが回りやすいから止めといた方がええ。

食事は完食せずに80%に抑えておいた方がええ。浮腫み防止に足は常に

上げておいた方がええ。脱水症状起こしやすいからとスッチーに何回もお水

持って来させたり… とにかく、親切通り越してウザかった」


あ、スッチーとは客室乗務員、CAさんのことです。作家でN県の知事だった

TYさんが80年代に流行らせた昭和の死語の一つだそうです。


「極めつけは、スッチーにトランプを要求したことかな…

想像してみて、横並びの大人二人がミニサイズのトランプで神経衰弱とか

七並べやってるとこ! もう泣きそうやったわ」


うわっ、確かにそのお兄ちゃん大阪のオバちゃん以上のド迫力ですね。



入国手続きのためアラスカのアンカレッジでいったん飛行機を降りたものの、

乗り換えではなく同じ飛行機だったので、結局、そのお兄ちゃんとは延々

ニューヨークのJFK空港までの長~いフライト中ずっとお隣同士だった

そうです・・・


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