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Ep.10 What a day!~なんちゅう日や~

「Kちゃん、スピード違反したことある?」

「いや、まだないな。駐車違反はあるけど」


ある真夏の暑い日、オカンは人生初のロック・コンサートに行きました。

A子オバちゃんのルームメイトのアメリカ人とイランからの留学生の二人の

美女と4人で。ドライバーのクリスティーンは金髪碧眼の可愛い系、助手席の

マーラはフランス人の血が入った知的美人風。後部座席は昭和日本を代表する

オカンとA子オバちゃん。


「クリスティーンがバックミラー見ながら突然『Oh,shit!』と叫んだんよ。

何があったんかと思った瞬間、サイレン鳴らしたパトカーが追って来るわけ」


アメリカの高速道路は制限スピードが55マイル(88キロ)ですが、フツー

に60~65の間で走行しているそうです。

路肩に停止させられた後はテレビや映画に出てくるシーンとまったく同じ手順。


『何マイル出してたか分かってる?』と言う若い警官の問いかけに、突如

クリスティーンがアメリカ娘からイギリス人留学生に豹変したとか。


「あ、ごめんなさいオフィサー、私たち留学生なんですぅー。

教授のバースデー・パーティーに遅れそうになっちゃって… いやだぁー

私ったらついロンドンにいる時と勘違いしてマイルとキロをごっちゃにして…」


上目遣いに言うクリスティーンの完璧な英国訛りの釈明と、マーラの綺麗な

微笑みのおかげで「これからは気を付けるんだよ」の一言で済んだそうです。


「ま、タンクトップから覗く赤ちゃんの桃尻のような谷間を見せつけられて、

あんな風に甘ーく囁かれたら大抵の男ならスケベ心そそられて見逃すわな。

A子が運転席でお母さんが助手席やったら15マイルオーバーのチケットを

切られてたことは確実やわ」


いや、スケベじゃなくてもその二拓なら・・・

どうやら『可愛い/綺麗は正義』は万国共通のようです。


「で、コンサートには間に合ったん?」

「コンサートホールじゃなくて野外の芝生の上やからね」


オカン、そこでまたその日二度目の人生初体験をしました。


「暗くなってくると所々で煙がゆらゆらと舞い上がって、煙草とは違う匂いが

漂ってくるんよ。真夏でも日本みたいに蚊がいるわけでもないのになんで蚊取り

線香を燃やしてるのってA子に耳打ちすると、爆笑された」


A子オバちゃんはオカンより一年先に留学していていろんなことを既に経験済み

でした。


「居酒屋とかで自分はタバコ吸わなくても臭いが髪の毛や服に付くやん。

気のせいかもしれんけど、家のワンちゃんこっちが犬嫌いなこと分かってるから

普段は近寄って来ないのに、あの夜はなんかクンクンしてくるのよね。

速攻でシャワー浴びたわ」



これ、コンサート帰りに警官に停められていたならスピード違反どころか、

別の容疑で逮捕されていたかもです・・・








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