幕間〜Fall into The Dark〜
暗い。暗い。暗い。
何も、見えない。何も、分からない。何も、感じられない。
俺は、死んだのか?
また、無力に、無意味に、無駄に、死んでしまったのだろうか?
また、何も果たせなかったのか? あの時のように。あの日のように。
護ると誓った。救うと誓った。
それなのに。それなのに、何も、できない。
俺は、無力だ。
○ ○ ○
死んだら天国とか地獄に行くとか言うけれど、なら、ここはそのどちらなのだろうか。
ここは暗く、時間の感覚すら無い。
もう、あれから何時間と時間が過ぎている気がするけれど、なんだかどうでも良いと思えてきた。
もしかすると、夢なのかもしれない。
これは、この経験はすべて、なんでもない夢なのかもしれない。
じゃあ、眠ってみよう。
眠って、目が覚めたら、いつもの風景がある筈だから。
そう。俺以外には誰もいない、姉のいなくなった、あの家が。
○ ○ ○
自然と目が覚めた。けれど、目の前は相変わらず真っ暗なままだ。
やっぱり俺は、死んでしまったのだろう。
けれど、不思議とがっかりとも悲しくもならなかった。
はあ、と、嘆息とも諦めともつかないため息が漏れた。
ため息は、暗い空間のどこまでも虚しく響いていく。
また、寝よう。
今度は何時間と言わず、何日でも。
○ ○ ○
あれからどれ程の時間が経ったのだろう。
いや、死んでいるのだから時間なんてもう関係は無いか。
ふと、思い出す事がある。
それは、とても不思議な出来事だったと思う。
今まで見た事もない土地に行って、とても不思議な人と出会って、少しだけ冒険をして。
大切な人がいた気がする。
とても可愛いくて、とても愛おしい人だった。
笑顔が一番似合って、気付けばいつも隣にいた、あの人。
あの人は、誰だ?