表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/33

公示と動き出した予言

薄暗い部屋に二つの寝息が響いていた。

そこに、扉を開けて入って来た者がいた。その人物は、静かに眠っている二人を見て、微笑んだ。日差しが部屋に入ってこないよう閉めていたカーテンを開けた。

部屋に朝日がは入り込むと。小柄な女の子が唸り始めた。

「ティアナお嬢様、エレナ様。起きてください。朝ですよ」

うーんと小柄な女の子が目を開けた。目の前にいた青年と目が合うと一瞬固まったが安心した顔になった。

「ラブド、おはよう。エレナ!いつまでも寝てたら学校遅刻するよ」

「おはようございます。ティアナお嬢様」

ベチベチとエレナを叩き起こしているティアナに挨拶をするとティアナは笑いながらエレナの頬をつねった。

「うみゃっ・・・痛ったーい!ってここどこ!このお兄さん誰!」

「はぁ・・・」

ため息を尽きながら、少しでも一般的には体が大きいエレナの頭をバシッと、叩いた。ラブドは二人のやりとり、笑を堪えながらプルプルと見守っていた。

「エレナ・・・ここ私の新しい家で、このお兄さんはここの使用人で執事であって私の家族!」

「あーそうでした・・・ティアナは五大貴族の伯爵様になったんだっけ?今日が公示かー」

公示と聞いて真剣な顔になったティアナ。立場上隙を見せてはいけないことは言われなくても自覚はある。もし、隙を見せてしまったら殺されるだろう。ラブド達はそういった時の為の用心棒でもあるが出来るだけ隙を見せないようにするのが、ティアナの任命された時からの仕事だ。

「そうね。今日が公示・・・すでに掲示板に貼られているだろうね。となると、伯爵家の人間にも耳に入っているでしょうし、今夜は就任式とパーティーが王城で行われるかな・・・」

え?と聞いてもいなかったことをさらりと言いのけたティアナに目を見張るエレナ、

「出ましたねー。ティアナの予言!予知でもあるかー。一度も外れてないから確かだねー」

エレナは呆れなが、さすがねとため息を付いた。

「そのお陰であたしは死なずに済んだから、命の恩人なわけで。ラブドさんは知ってるの?ティアナの能力」

「えぇ、勿論でございます。女王陛下から聞き及んでございます。まさか、ここまでとは思ってもみませんでしたが」

そう言われたティアナは困った顔をして薄笑いをしていた。そんなティアナ二人は微笑んだ。

「朝起きたら見えたから、私自身おどろいたよ」

「ということはラブドさんから予知したんだ」

頷きながらベットから降りようとしているティアナだが、床に足がつかなかった。

それに対してエレナはすんなりと付いた。ラブドはティアナのところへ行き、ティアナの両脇をつかんでベットから降ろした。

「あ、制服どうしよ・・・」

「こちらでございますよ。エレナ様」

「あ、ありがとうございます!」

エレナが受け取るとラブドは外へ出て行った。

エレナ丁度着替え終わるとラブドが朝食を持って来た。

「本日の朝食はコーヒー、クロワッサン、フルーツのヨーグルト添えでございます

「「はーい!いただきまーす!」」

ティアナはゆっくりと食べているがエレナは急ぎ気味に食べていた。ベットの上での長話が原因だか、ここからだと少し学校まで距離があり、時間がないのだ。先ほどラブドが学校まで送ると言ったのだが、目立つからいいと断ったのだ。ラブドもそれを理解し、着替えている時間に朝食をティアナの部屋に運んだのだ。

「エレナ、急いでるのはわかるけど、喉に詰まるわよ?」

「分かってるよー、ごちそうさまでした!ティアナまたね、行って来まーす!」

「え!ちょっ!エレナ待って!玄関まで見送らせてよ」

ピタリと止まり、笑顔でティアナが横に来るのを待つエレナ。ティアナが、横に行くと、慌ただしく歩き出すエレナをラブドが前に行き玄関に案内する。

「それじゃ、ここで。またね、ティアナ。頑張ってね、応援してるよ。ラブドさん、ティアナをお願いします!」

エレナにえがおを向け片手でハイタッチをした。

「当然!全力で頑張るつもり、ラブド達に頼りながらね」

「えぇ、勿論です。こちらに来る際はお手紙書いてくださいませ。レンジュに迎えに行かせますので。こちらも、貴方に御用がある場合はご連絡いたします」

エレナは二人に見送られて邸を出た。エレナを見送って見えなくなると邸に入り、食べ掛けの朝食を食べ終わらせた。

「えっと、ラブド。任命式って夜だから、それ以外の予定ある?」

「はい、この後はカーネリアン侯爵様が、診察の為にお見えになります。今日はティアナお嬢様が言われた任命式パーティーですね」

診察と聞きえ?っという顔になる。カーネリアンに昨日みてもらったばかりなのだから診察する意味がないという考えなのだ。

「今回は、環境変化からの体調不良が出るかもしれませんから。ところで本当に任命式が行われるのですか?私は何もお聞きしてませんが・・・」

ティアナ自身も驚いた顔をした。ラブドを見て予知したのでてっきり、知っていることかと思っていたのだ。

「なるほどね、ラブドが持っているカーネリアンの訪問からの予知みたいだね。それに関してはカーネリアンが知っているかも」

「左様ですか、。ティアナお嬢様?カーネリアン侯爵様がお見えになるまで、何をなさいますか?ガーデニングなら種や鉢植え、肥料などお出ししますが」

うーんと考えるティアナ。悩んでラブドを見てコテンと首を傾げる。

「本が読みたいな、部屋に一冊も無かったから何もないかな?」

「そうですね、図書室が作られています。そのに、前のご自宅にあった書物が置いてありますし、政治関連の物や歴史の書物が置いてありますよ」

にこやかに微笑んだラブド。時間まで本読んでるということになった。

その前にネグリジェから私服となるローブ・モンタルトに着替えることになったのだか、着たことのない服装に抵抗するティアナを何とか抑え着替えさせようとするラブド。

「普段着がローブ・モンタルトは嫌だ!式典とか着るような服装が私服なんて嫌!」

「お気持ちはわかりますが、貴族の一般的にはこの服装が普通なのですよ」

ティアナは何とかラブドから逃げようとするが、元軍人の彼にかなうはずがなく、捕まってしまう。ラブドはティアナが怪我をしないように捕まえる。ティアナも抵抗しても無駄だと分かっていた為素直に着替えさせられている。それでも少しは意地をはりたったのだ。

(さすが、元軍人だけはあるね。痛くないように抑え込まれちゃた。)

大人しくなったティアナに服を着せていくラブドと目があってしまった。

「ラブド、やっぱり手加減って大変だよね・・・わがまま言ってごめんなさい」

ティアナは押さえつける手が震えていることに気づいていた。ラブドのもし、怪我をさせてしまったらどうしようという、感情が出てしまっていたのだ。

「いいえ、そんなことはありませんよ。さて、図書室に行きましょうか」

「そうだね」

図書室に移動しているときのラブドはときより、ティアナの方をチラリと見ている。ティアナがきちんとついて来ているかの確認だ。背の小さいティアナは普通に歩いていると小幅が小さい為かどんどん離れてしまうためだ。

「さぁ、着きましたよ。ここが図書室でございます」

「うわー、広!広いだろうとは思ってたけど、予想以上ね」

びっしりと床から天井まで扉と窓以外は、本棚が置かれていた。ただ、まだ新築のためか本棚があるだけでティアナの私物だった本や歴史の書物、追加された外国語の本が幾つか置かれているだけだった。ティアナは歴史の本を取り出すと読み始めた。

「それでは、カーネリアン侯爵様がお見えになられましたら、お呼びいたしますので、しばしの読書の時間をお楽しみくださいませ」

「わかったよ」

ラブドの方に少し視線を向けて返事をしたティアナを確認したブラドはキーと音を立てゆっくり扉が閉めた。


 しばらくティアナが歴史の本を数冊読み終わった頃に馬の鳴き声を聞き本を閉じるとコンコンとノックをされた。入ってきて良いとティアナが促すとブラドが入ってくると、ラブドはティアナを見て微笑んだ。

「ラブド、馬の鳴き声が聞こえるからカーネリアンがきたのね?」

「ええ、そうです。只今リビングでお待ちになっていらっしゃいますよ。ご自身の娘さんとご一緒に」

ポカーント口を開けたティアナはパチパチとラブドを見つめた。

「え・・・結婚してたの?!」

「ええ、なされていますよ。お子様はティアナお嬢様と同い年の女性ですよ。ティアナお嬢様とご親友になりたいとおしゃっていましたよ」

そういわれティアナは少しような顔になったが、すぐに笑みを浮かべて嬉しそうに本を片付けてラブドの傍に行くとラブドは扉を開け、ティアナの前を歩き出し、ティアナはその後を追って歩いて行くとリビングに着いた。再びラブドを扉を開けるとカーネリアンと一人の女性が待っていた。

「こんにちは、カーネリアン来てくれたんだ。えっと・・・」

ティアナはカーネリアンにあいさつすると隣にいた女性に視線を向けると、視線を向けられた女性は微笑んだ。

「ティアナ、この娘は俺の娘のアーシャだ。同い年だから、これから通うことになるヴィネント王立帰属学園に通っているから学園ではアーシャを頼ってくれ」

「初めまして、ティアナさん。カーネリアンの娘アーシャですわ」

アーシャはティアナを抱きしめると頬に口付けをし、ティアナも同じようにアーシャの頬に口付けした。

「アーシャさん、ティアナです。貴方のお父様には大変お世話になりましたわ」

ティアナはカーネリアンをチラリと見ながらアーシャに話した。カーネリアンは苦笑いを浮かべ二人を見守っていた。

「アーシャさん、これからよろしくね。ティアナって呼んで同い年だから堅苦しい言葉遣いも無しでお願い」

するとアーシャは両手でティアナの手を握ると満面の笑みでティアナを見つめるとぶんぶんと手を振った。

「私もすっと前からティアナちゃんとは仲良くなりたかったの。それを聞いてととも嬉しいわ。私のこともアーシャと呼んでくださいな!」

アーシャは少し興奮気味にティアナに話すと声が大きかったのかティアナの体がぐらりと揺れる。

「・・・っ!」

ティアナの体はアーシャの方へ崩れアーシャにのしかかろうとする。

(う・・・体が・・・ダメ!ぶつかる!)

ティアナの異変に気付きカーネリアンとラブドは支えに行こうとティアナ達の方に走り出し、アーシャとぶつかる寸前で二人がささえた。

「お父様!ティアナちゃんに何があったの?!」

アーシャはティアナが突然のことで動揺し、カーネリアンに聞くとカーネリアンは少し青ざめているティアナの額に手を当てた。

「多分、いきなり大きな声で話されたことによってティアナの体に衝撃を与えたんだろう。体調が好調ではないティアナの体にとっては普通に喋っているつもりでも負担がかかるのだろうな」

ラブドの提案により、ティアナを自室のベットに横にさせることにした。カーネリアンは念のため診察をするが以上はなく横になっていれば大事には至らないようだ。

「ここ数日すっと眠っていたため体調が優れないだけだろう。ティアナ気分は悪くないか?」

ティアナはプルプルと首を振った。

「大丈夫だよ。少しだるいだけだから。それより、他に話があるんでしょ?」

カーネリアンは驚かず、ティアナの手を取り脈を測っていく。一方アーシャは目を見開き驚いた顔をしていた為か、ティアナは苦笑いをしながら、カーネリアンの顔をジッと見つめ、次第にティアナの瞳が淡く輝いていく。

「話には聞いていたけれど、本当に瞳が輝きますのね。綺麗で素敵ですわ」

うっとりしているアーシャに対してカーネリアンは固唾を呑んで見守る。ティアナはゆっくり息を吐き、瞳を元に戻していくとすうと息を吸うとやっぱりと口にした。

「このことは朝から知っていたんだけど、一応確認で見てみたけど合ってたみたいだね。就任式とパーティーが行われるんでしょ?私を連れて行くために抵抗した場合にアーシャさんと一緒に来た。そうでしょ?」

ティアナに問われて親子は顔を見合わせて薄笑いをした。

「ティアナには嘘はつけないな。でも出席できるのか?」

「ティアナちゃん無理は禁物よ。休んでいても構わないわよ。お父様達が押さえ込むでしょうし、心配はいらないわ」

クスッとティアナが笑うと体を起こして首を振る。

「休んでばかりいたら、学校にもいけてないよ。今までも何度も同じことがあったけど、無理をしなきゃ平気」

ティアナはプランと足をベットからだし座る。こうしてみるとお人形さんにも思えてしまうティアナの体格にアーシャは抱きついた。

「そうですか、でもつらくなったらお父様にすぐ言ってくださいな。お父様とは席が隣ですもの」

親子はティアナに微笑むとティアナも微笑んだ。するとラブドがティアナの傍に来て今朝と同じようにティアナをベットから降すかと思いきやそのまま横抱きにし、スタスタと部屋を出て玄関へ歩き出した。そのあとをカーネリアンとアーシャが歩く。

玄関を出ると、馬車がすでに待機しており、傍に控えていたレンジュが馬車の扉を開けるとラブドはティアナを座らせるとカーネリアン、アーシャも乗り込んだのを確認すると馬車は走り出した。

「・・・似たようなことが前にもあったような」

ラブドはティアナに申し訳なさそうにティアナの横に座っている。一方ティアナは眠くなったのか首がコクコクとしていた。だかそれもつかの間のことでラブドに起こされ目を覚ますと、もう王城に繋がる橋の上でたくさんの貴族がティアナの顔を見ようと馬車の中をうかがおうとするが、すばやく馬車に取り付けれているカーテンを下ろしティアナを隠す。

王城に着くと侍女達に部屋に通されすばやく、ロープ・ア・ラ・フランセーズを着て身支度を済ませたティアナにラブドがお茶を出した。

「ありがとう、ラブド。・・・皆は?」

不安なのか少し先ほどから唇を触っている。ラブドは腰をかがめて、やさしく微笑むとティアナの手を両手で包み込んだ。

「他の皆さんは、すでに会場ですよ。レンジュやカルト、ウラドもすでに会場にいますし、不穏な動きがあったとしても大丈夫ですよ」

くしゃっと泣きそうな顔になるティアナを抱き上げ、背中をさすると 安心したようにラブドの肩に顔をうずめた。

シュッ、トン

二人しかいない部屋のはずなのに、別の音が聞こえビクンと驚いたティアナはラブドにしがみつくがラブドは、はぁー、とため息をつくとティアナの頭をポンポンと叩いた。

「ティアナお嬢様。大丈夫ですよ、カルトです」

「え?カルト?」

ティアナは振り向き驚いた。窓は鍵がかかっていて入ってこれないはずになのに、カルトが跪いていた。ポカーンとしたティアナにカルトは歩み寄ると再び跪く。

「ティアナお嬢様・・・準備ができました。ご準備を・・・」

彼の話し方はシトリンに似ているように思えるが、本職だった暗殺者としての名残かもしれない。ティアナは頷くとラブドに降ろされ扉に向かおうとするが、ヒールが高いせいかフラフラしている。

「ラブド、ヒールが高すぎて歩きにくいよ」

「仕方ありません。これからそのような靴が多いですから慣れませんと」

うぅっとうなだれるティアナにそっと手を差し出したラブドの手に自分の手を添え、会場へと歩き出した。カルトは素早く天井裏に姿を消す。



会場内は、ざわざわと貴族達が話していた。その話の内容は新たな五大貴族、ローズクォーツ女伯爵のことだ。

「一体、どのような女性でしょうな?」

「今回の件といい、前の件といい。慌ただしいですね」

という声があちこちから上がっている。

キーッ

突如、扉が開かれるとそこにいたのはこの国の女王陛下とそして五大貴族が姿を現した。

オリヴィアは五大貴族を従えて歩き出し、五大貴族はそのあとを追う形で歩く。

オリヴィアは王座の前に立つと、右手を軽くあげると五大貴族は横に並んだ。

「皆さん、今宵、このような場にお越しいただきありがとう。

今回、皆さんをお呼びしたのは、他でもありません。新たな五大貴族、ローズクォーツ女伯爵の就任式とお披露目を兼ねたパーティ」

会場に居た者はやはりという顔で息を飲んだ。ざわめき、会場に緊張が走る。

「その女性の名は、ティアナ・クラン・ローズクォーツ」

ティアナと聞き、あの時の娘かとあちこちで聞こえる。ここにいる人間は先日開かれた舞踏会に来ていた者が大半だからだ。

キーッ

会場のざわめきをかき消すような音と共に現れた小柄な少女と燕尾服をしっかりと着た男性。

少女は燕尾服を着た男性にエスコートされながら女王陛下の元へと赤い絨毯の上をゆっくりと歩いていく。

女王陛下、五大貴族は微笑みながら少女が来るのを待っているが、それ以外のものは、少女――ティアナの顔を見ようとしていた。

ティアナに無数の視線でティアナに緊張が走る。ラブドの腕をギュッっと握るとふうと息をはいた。

女王陛下オリヴィアの前に行くとゆっくり跪き頭を垂れた。

「汝、面を上げよ。今宵から貴女を新たな五大貴族伯爵家、ローズクォーツ家当主、ローズクォーツ女伯爵に任命し、未来永劫、この国を支える一族として王族の腕となることをここに誓いをたてよ」

スッとティアナは顔を上げると緊張した面持ちでオリヴィアを見つめると、アレクサンドライト、カーネリアン、ファイブライト、シトリンを視界に捕らえると息を吸い、誓いの言葉を述べた。

「私、ティアナ・クラン・ローズクォーツは未来永劫、誇りと名誉に恥ぬ一族になり、王家ヴィトア一族の腕となることをここに誓いましょう」

ティアナはオリヴィアの手を取ると口を寄せ、口付けた。

それを見届けたオリヴィアと五大貴族は、頷くティアナの頬に口付けた。

会場内は、温かい拍手に、包まれるとティアナは立ち上がり振り向くと、会場を見渡し、優雅にお辞儀をする。

スッ・・・

黒い影がティアナの目の前を横切り、ティアナの頭に映像が流れ出しハッと天井を見る。

そこには、黒い靄のような物がかかっていた。

ガッシャーン!

会場の何処かで物が割れる音が聞こえると同時に悲鳴がティアナ達の耳に届く。

「きゃー!」

誰かが叫ぶと、周りにいた人たちは悲鳴の原因から逃げるように壁側に非難するとティアナ達の前方から刃物を持った男がガラ空きになった中心に立っていた。

ティアナの傍に居たラブドは彼女を守るように立つと他の五大貴族の護衛も同じように前に立つとティアナ以外の五大貴族の者はティアナを隠すように立つとオリヴィアはティアナを腕の中に抱き寄せる。

(まずいわ!ここままじゃ!)

ティアナは怯えたようにオリヴィアにしがみつく振りをして、口を耳に近づかせ小声でオリヴィアに伝える

「オリヴィア、さっき天井に黒い影があったの」

「・・・ッ!!」

「だから、他の人達の避難をさせて」

オリヴィアは頷くとすぅーと息を吸う。

「皆さん、パーティはお開きにさせていただきます。この件に関しては後日お詫びのお茶会をローズクォーツと共に開かせていただきます」

とオリヴィアが言うと皆ホッとしたように肩をおろした。ティアナはハッと何かに気づきオリヴィアの言葉を引き継ぐ。

「皆さん、速やかにご自宅へお帰りくださいますよう」

会場を出て行く貴族は何も問うこともなく足早に会場を後にした。

「さて、ここからどうするの?」

「まぁ、ここからはラブドや護衛の奴らに任せるしかない。相手は一般人だからな」

ラブドは男が持っているナイフを取り上げようと男の手を掴み捻るが相手は一向にナイフをを離そうとしない。逆にラブドに攻撃を仕掛けるが、苦なくラブドが避け後ろに下がる

「う・・・!」

男は突然前のめりに倒れ気を失っていた。男の後ろにいたのはカルトだ。

カルトは天井裏で様子を伺いながら攻撃を仕掛けようと隙を狙っていた。ラブドが攻撃をよける為に頭を逸らした時、天井にいたカルトと目が合い、カルトが頷くとラブドは後ろに下がって気を引きその隙に男の後ろに降りて首の後ろに衝撃を与えたのだ。

「さすが・・・」

ティアナが呟く。

その後男は連行られ、ティアナ達は今日は一旦帰宅することになった。

明日はティアナが転校初日のための気遣いだ。今回の件についてはティアナの学校がおわってから王城で話すこのとになった


そして、本格的に黒い影も動きを始める。五大貴族のティアナ・クラン・ローズクォーツの運命が幕を開け、五大貴族に危険が迫りつつある―――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ