伯爵
ティアナは、眩しい日差しに目が覚めて、起き上がると、寝ていた場所は王城へ着いて、寝かされていた部屋だった。ふと窓を見ると朝日が昇っていて、目を見開く。
(うぅ…どうしよう…カーネリアン侯爵に睡眠薬を打たれたけど寝すぎたわ)
そんな事み考えていると扉ノックされた。
「カーネリアンだ。入るぞ」
「はい」
そう言うとカーネリアンは音もなく部屋に入ってきた。ティアナが起きていること確認するとほっとした顔になった。
「良かった、目が覚めたんだな。少量の薬でこんなに寝るとは」
カーネリアンは少しだけしか睡眠薬を使っていなかったようだ。
「ごめんなさい」
そう言うとカーネリアンはティアナの頭を撫ぜた。そうしてると、また扉ノックされた。カーネリアンが返事をすると入ってきたのはオリヴイアだった。
「ティアナさん目覚めたのね。良かったわ、カーネリアン侯爵から目が覚まさないと聞いて心配してたのよ」
それを聞いてびっくりした。ただ単に眠っていたのに心配する要素が見当たらないのだ。
(寝てただけよね?たしか)
カーネリアンは疑問に思っていることが分かったかのようにゆっくりと舞踏会から着ていたドレスの前ボタンを外し、聴診器をあて胸の音を聞きき脈拍を測り始めた。
「お前は、俺が少しあのときの部屋を離れた隙に毒を盛られたんだ。幸い俺がすぐに戻ってきたことと、毒の利きが薄かったことで命は食い止めた」
(え?どうして?)
カーネリアンの発言に恐怖を覚えたティアナは、カーネリアンの服をしがみつくように握っていた。
「あの時は焦ったぞ。お前に何かあればクリスティさんの娘に何かあったら顔向けができないしな」
と心配そうに診察を続けられながら一体どれだけ危ない状態いたのか恐ろしくなって振るえだすティアナ。
(怖い・・・一体どうしたら・・・)
するとオリヴィアはそっとティアナを抱きしめながら、ごめんなさいねと呟くと、外にいた侍女たち二人を中に入れた。
「ティアナさん、貴方には真実をお話しするわ。でもその前に着替えないとね。貴方たちはお湯とドレスをもってきなさい」
するとに控えていた侍女は目礼し部屋をでていった。するとにカーネリアンも扉に向かい部屋を出て行くと、オリヴィアはディアナの着ている服を脱がしていく。
「女王様!一体何を・・・!」
突然のオリヴィアの行動に驚いて大声を出すが声を大きく出した瞬間に目眩がしてオリヴィアの胸に倒れしまうがオリヴィアが優しく受け止める。
「ダメよ。動いてはなりませんよ。貴方は何日も眠っていて食事をとっていないの。だから、横になっていてね」
ディアナはそこで何日間か眠っていたということに、気がついたディアナは素直に頷き横になった。
すると二人の侍女が音もなくゆっくりと入ってきた。ふたりの手には、お湯とドレス・・・ロープ・ア・ラ・フランセーズだった。
(このドレス豪華すぎてなんだか気が重いな。まあ、今回だけだと思うし楽しんで着ようかな。めったに着れるものでもないし)
ティアナは、また舞踏会当日のようにされるがままだった。着替え終わるとオリヴィアはカーネリアン呼ぶように侍女に指示し、ティアナはカーネリアンが来るまで横になった。
しばらくすると、扉をノックされた、入ってきたのはカーネリアンだ。肩で息をしていて、どうやら走ってきたらしい。
「女王様、何かあったんですか!?」
どうやら彼はなにかあったのではないかと慌てて来たようだが、それを見たティアナとオリヴィアはクスクスと笑い始めた。
「違うわ。着替え終わったから読んだだけだわ。それとティアナちゃんがさっきからびっくりして大声を出したときから、少し顔色が悪いから呼んだほうがいいのかなと思ったのよ」
それを聞きカーネリアンは少しほっとしたような顔になった。そして真剣な顔にもなった。それを見たオリヴィアはもう安心という顔になり、ふっと
息を吐き、ゆっくりと立ち上がった。
「カーネリアン侯爵、あれこれ終わったらティアナちゃんを連れて会議室に来てくださいな」
それを聞きカーネリアンは左胸に右手を添え頭を下げた。
「御意に」
それを聞きオリヴィアは部屋を出て行った。それを見送るとティアナの方にいき、心配そうな顔をしな方ティアナが横になっているベットの横に膝を着いた。
「大丈夫か?さっき女王様の言ったとおり顔色が悪いな。少し胸の音を聞かせてくれないか?」
素直に頷くと聴診器をあて、胸の音を聞き始めた。
「異常はないから安心しろ。多分しばらく何も食べてなかったせいだと思うが、何か食べられそうか?」
それを聞き、さっきから力が入らないため、首を少し横に振った。カーネリアンはやはりなとう頷くと部屋に出て行った。しばらくすると戻ってきたが、手には舞踏会ときの物があった。
「点滴しようか。今回は分かりやすく言うと栄養剤な。前よりは痛いからな・・・」
痛いという言葉を聞いて動けない体で逃げようとしているティアナを見てカーネリアンは眉間にしわがよせる。
「こらこら逃げるな。痛いといっても激痛じゃないから、そんな怯えんでもいいだろ」
ティアナは安心したような顔になりゆっくりとカーネリアンの服を触った。
今のティアナには握る力がないのだ。
「それじゃあ、この前と同じように打つぞ。・・・1,2,3」
チクンとこの前より少し痛いが我慢できそうな痛みだった。カーネリアンは点滴袋をティアナのお腹に置くと背中と膝裏に手を入れるとティアナを抱き上げた。
(!・・・お姫様抱っこ・・・ヤダ。恥ずかしい)
軽く抵抗したものの、彼の体は動かなかった。しかも、抱きかかえてから片手で上着を脱ぎティアナにかけた。もともと腕力が強いほうなのかもしれないとティアナは思った。上着をかけると最初のように両手でティアナを抱きかかえた。
「このまま会議室に行くぞ。あまり待たせてもいけないしな。あばれると落ちるぞ」
「あ、はい」
スタスタと普通に歩くカーネリアンはディアナの重みなど感じないようなスピードで歩く、決して走っているわけではない。ディアナには 走っている感覚でしかなかったが片手でカーネリアンの服を摑んで怖くなるのを抑えた。そうこうしているうちに一つの扉の前に来ていた。
「ここだ。すまないが降りてくれ」
カーネリアンはゆっくりとディアナを降ろした。するとにディアナの右手を掴み自分の左腕に絡ませるようにした。
「え?あ、あの」
親に教わった形と舞踏会の時とは同じ動きだった。今回の形はちがったので戸惑ってしまった。
「ああ、こっちは初めてなのか。こっちと前のと2種類あるだが、こっちが一般的だな」
「そうなんですか」
「あと今回は俺にもたれていていい体きついだろ」
言われた通りディアナは辛かったため素直に頷きもたれるように立つ。カーネリアンは静かに扉を開く。すると、そこには豪華なシャンデリアと円卓が置かれており、五大貴族とオリヴィアがいた。
「やっと来ましたわね。ティアナさん大丈夫ですか?」
「あ、はい。カーネリアン侯爵のおかげでよくなりました」
「なによりだ」
ティアナの言葉を聞いてその場にいた全員がほっとしとした顔になった。
「さあお座りにってくださいな。カーネリアン侯爵はその隣に」
カーネリアンはゆっくりと歩き出しティアナを座らせ、その横に腰を下ろして、オリヴィアに本題に入るように入るように促した。
「さて、ティアナさん。貴方のご両親は事故で半年前に亡くなっているわね。」
「あ、はい」
突然聞かれて戸惑ったが事実なのできちんと答えた。
(いきなり何?)
オリヴィアはその返事に少しつらそうな顔になる。そして、五大貴族の4人もだ。その顔に不安になるティアナだが、オリヴィアの言葉を待つ間、何度も喉を鳴らした。
「ティアナさん、そのことについてなのだけどご両親の死は事故ではないわ」
「!!?」
(事故ではない!?どいうこと!)
ティアナは無意識に手を握る。その手をそっと添える手があった。ティアナははっとし手を見て、カーネリアンの手だと気づき、落ち着きをとり戻す。
「よく聞いてね。ご両親は事故に見せかけた殺されてしまったのよ」
(そんな!不運事故じゃないの!)
ディアナが知っている事実と異なる言葉に戸惑い、カーネリアンの手をギュッとにぎる。そして、オリヴィアの顔をじっと見つめ、言葉を待つティアナ。
「それは、スギライト伯爵が亡くなったことに関係しているのです。全ての発端はスギライト伯爵が亡くなった時、次の五大貴族、伯爵をどの一族にするか、を決めている時に話の内容が何者かに聞かれてしまったのです・・・」
ティアナは目を見開く、それは彼女でもこれは極秘事項ということに分かることだ。何者かに聞かれていまったら、その一族は何をされるか分からないからだ。
「そして、私と五大貴族が選んだ一族はティアナさん貴方の家・・・クリスティだったのです」
(え?お母さんが選ばれた・・・!!)
その言葉を聞いてティアナはハッとした。
「まさか!お母さんが選ばれたことによく思わない人達に殺されたんですか!」
大声を上げた瞬間、体がぐらついたがカーネリアンが支える。
「えぇ、その通りよ。ティアナさん、私達が動いたとには、もう貴方のご両親が殺された後だったのよ。ごめんな・・・」
「いいえ、女王様。女王様のせいではありません。悪いのは殺した人物です」
とティアナは自分でさえ、身震いするほどの低い声で答えた。
「ティアナさん、ありがとう。そして、ご両親を殺したその輩は、今は貴方のの命を狙っているのです」
「?!!」
その言葉を聞いた瞬間ティアナはカーネリアンにだきつく。怯えた子供のように怯え出した彼女をカーネリアンは、ゆっくり腕に力を加えた。
「だからこそ、貴方を守るチャンスをくれないかの?」
今まで沈黙を保っていたアレクサンドライトが口を開いた。
「え?どいうことですか?」
もぞもぞと動いてアレクサンドライトの顔を見て呆然ときいた。
「ティアナちゃん、僕達はもう、大切な人を失いたくないんだ。それは分かるよね」
「うん・・・」
ファイブライトもまた、今まで保っていた沈黙を破り話出した。
「君のご両親は五大貴族にとって大切な人だったんだ。だからね、ティアナちゃん、2人の大切な娘である君を守りたいんだ」
「・・・」
ファイブライトの言葉に返事をせず、何かを探るように静かに見つめる。
「ティアナさん、貴方を本日付で五大貴族の伯爵家当主に任命します。これは貴方を守るためです。どうか、拒まず引き受けてください」
「!!」
いきなりのことで息をするのを忘れたティアナだったがカーネリアン、ファイブライトの二人に揺さぶられて我に帰った。
「女王様、それはお父さん、お母さんを殺した犯人が見つかって、事の解決ができたとしてもですか?」
「そうです。この先、貴方の子も孫も五大貴族・伯爵家の一族になります」
真剣な眼差しでオリヴィアを見ると
「私は皆さんのような知能も教養もありませんよ」
すると今まで寝ていたかのように存在感すらなかった・・・いや、本人には悪いがここにいたみんなが忘れていた、シトリンが口を開く。
「良かった・・・拒否しなくて・・・」
と一言いいぜんまいが切れた人形のように首をたれた。
「・・・」
『寝た』
と全員が口をそろえて言う。ティアナの笑い声が漏れた。
「ふふっ」
そんなティアナを見てみんな笑顔になった