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舞踏会そして五大貴族

 ティアナとオリヴィア女王は大きな扉の前にいた。ここに来るまでティアナは何度も転びそうになるが、オリヴィアや後ろに控える騎士たちに助けられながら、最終的には騎士に抱っこされることになりやっとの思いで今ここに立っているのだが、緊張のせいで目の前が真っ白だ。そんなティアナをオリヴィアと騎士は不安そうな顔をしている。

「ティアナちゃん、大丈夫?やっぱり無理があったわよね。部屋に戻りましょうか。やっぱり心配だわ」

「いいえ、女王様。ここまできたら最後までいたいです」

「そう。ならいいのだけど少し不安ね。私はずっと一緒にいるわけにもないから、そうねえ」

後ろに控えていた騎士の一人が提案をする

「では私たちがお傍にいましょうか?」

「そうねえ。それもいいけど、やっぱり早めに彼ら会ってもらってましょうか。そしたら安全だわ、提案してくてありがとう」

「あの…ありがとございます」

ティアナが騎士に礼を述べえるとオリヴィアはふぅと息を吐きティアナの手を取ると扉が開いた。会場内はきらびやかでとても眩いと思うほど輝いていてティアナを感動させた。

「わぁー綺麗すごいです!」

「ふふっそんなに喜んでもらえて良かったわ、この舞踏会を企画して」

と言いながら会場内を見た。二人の登場で会場内は静まり最初はオリヴィアに視線があったが、次第にオリヴィアに手を引かれているティアナの方に視線が移った。

「女王様の隣にいるあの女の子は一体?」

「あの子は何者?」

と言う声があちこちから聞こえティアナはオリヴィアの後ろに隠れオリヴィアのドレスを掴むとその手を優しく包まれた。

「皆さん、こんにちは。今日はこのような場にいらしてもらいありがとうございます。

今私の隣にいる彼女は私の今は亡き親友の愛娘のティアナさんです」

紹介されたティアナは勇気を出して一歩前に出てお辞儀をし、再びオリヴィアの後ろに隠れた。そんなティアナを見ていた会場の人は温かい拍手を送り、オリヴィアの一言で舞踏会の幕開けを伝える。

「さぁ、皆さん今宵は喋り、踊り明かしましょう」

先ほどより拍手が大きくなり、オーケストラが曲を優雅に奏で始めた。それを境に男女ペアを組み始め、タンスを踊り始めた。

ダンスを踊る男女を見ていたティアナは前方から4人の男性が自分ととオリヴィアの方に来ていることに気づき、ティアナはオリヴィアの隣に座っていて隠れようにも座っていたので立って隠れるわけにも隠れられないのて、オリヴィアの腕を掴んだ。そんなティアナの手を包み優しく微笑む。

「ティアナちゃん大丈夫よ。彼らはあなたの味方だから、そんなに怯えないであげてね。1人怖そうな方がいるけれどとっても優しいから」

そう言われ手に力を入れていたことに気づいて、手を離すと彼らが目の前にいた。

一見どこかのマフィアのボスと思ってしまうような男性はとても怖そうだがオリヴィアを信じて逃げてしまいそうな自分を我慢させる

「初めまして、わしは五大貴族のアレクサンドライト公爵です。貴方がクリスティの愛娘ティアナさんですな?」

いきなりティアナが怖いと思っていた渋顏の男性に喋りかけられびっくりして立ち上がってしまったが見た目に反して声色はやわらかく落ち着く印象を持つ。

「あ、は、はい。初めまして私がクリスティの娘です」

というと柔らかく微笑まれた。

「ああ、やはり似ているな。クリスティさんにもう会えないと思うとな、とても心が痛む」

母親の名前を出されて心の底から驚いた。まさか五大貴族の方が母親を知っていること自体ティアナは不思議だとおもった。

(何故公爵がお母さんの名前をしってるの?)

そう思っているとオリヴィアはティアナに話しかけてきた。

「ティアナちゃん、その事はまた後ででもいいかしら?」

「え、あ、はい。」

そういうとほっとした顔になるオリヴィアと五大貴族達を不思議に思いながら座っていると

「ティアナちゃん、ごめんなさいね。今から私はいろんな方に、挨拶しないといけないのよ。だからね、ティアナちゃんに彼らと一緒にいて欲しいの」

そう言われ不安になるが母親の知り合いの公爵の方を見てからオリヴィアに微笑んだ。

「大丈夫です、女王様」

「そう、良かったわ。でも本当は舞踏会中は一緒にいてあげたかったの。ティアナちゃんは舞踏会が初めてだから不安や私と一緒に来たから他の方にやっかみがこないか心配だわ」

そんなオリヴィアにティアナは微笑んで五大貴族の方を見た。

「確かに女王様が言われた通りふあんです。…だけど、さっき女王様自身がいっていたじゃないですか、五大貴族の方は味方だって、だから大丈夫です」

オリヴィアは笑うと立ち上がり、ひとつの輪の中に入り話し始めたオリヴィアを見届けたアレクサンドライト公爵はティアナに手を差し出した。

「さあわしらも行こうか。ティアナちゃん自己紹介もしないといかんしな」

「あ、はい」

ティアナはアレクサンドライト公爵の手に手を添え、そっと歩き出した。ほかの五大貴族の男性はティアナを守るような形で歩き始めた。誰もいないテーブルに着くとティアナを座らせ、自分たちも座った。

「そうじゃなあ、自己紹介でもするとしようかね」

「はい、よろしくお願いします」

そういうと公爵の右隣に座っていた男性が口を開いた。

「俺はカーネリアン侯爵だ。カトレア地方を治めている」

若干渋いが優しそうな顔立ちだ。ティアナが怖がらないよう声色はやさしい感じに喋り最後は微笑みティアナに水を差し出した。

「緊張からまともに水分をとっていないだろう。少しでも飲め」

そういい手渡す自らも飲んだ。

「あ、はい。いただきます」

水を口にしたティアナを見たカーネリアン候爵は安堵した様子だが、少し不安そうな顔で守っている。

「ああ、そうじゃった。わしはアイリス地方を治めている。それとなティアナちゃん、わしらには敬語は使わんで良い。お前さんはクリスティの娘じゃ。わしらにとっては娘や妹同然じゃから」

それを聞いたティアナは目を見開いた。五大貴族にため口などしたら大問題だが、それより驚いたのが大貴族はティアナの母親を知っている口ぶりだ。

「ですが、敬語抜きはさすがにむりです」

そう言ったティアナにカーネリアン侯爵はふっと笑ってティアナに手を差し出した。ティアナは恐る恐る手を添えると優しく握った。

「握手ができて、敬語は抜きにできないとはひどいな。俺たちはお前の母親を知っている。娘のお前に敬語なんてさせたらこっちが困るんだ」

(確信犯だ絶対この人!!)

それを聞き、ティアナは黙り込み考えた末、勇気を出して声に出した。

「分かり…じゃなかった。わかった」

そういうと4人はほっとしたように飲み物を口にし、カーネリアン侯爵の隣にいた男性が口を開いた。

「自己紹介が中断してしまったね。僕はファイブライト子爵で、フリージアレッドを治めています。ティアナちゃん宜しくね」

ティアナは優しいお兄さんという印象を受けた

「うん、よろしく」

ふふっとわたった・・・五大貴族全員が笑ったので何事という顔になってしまったが、ティアナの左隣にいた男性が口を開き紅茶を口にした。

「きにしなくていい・・・みんな・・・普通に喋ってくれた・・・ティアナちゃんがうれしいんだ・・・僕はシトリン男爵・・・よろしく・・・」

とてもゆっくりした口調と童顔にびっくりしてしまった。

それをみたシトリン男爵は少し恥ずかしそうな顔をした

「彼はいつもこうなんです。ジャスミン地方をおさめています」

ファイブライト子爵が補足してくれた。

それからは楽しくお話をして、ティアナは少し顔色が悪くなったこと気づいたカーネリアン侯爵は医師免許を持っているらしく、別室で診察をした果。「過労からくる疲れと寝不足のせいだな。まあだ大事に至らなくって良かったな、まあ舞踏会が終わったらゆっくり休むといい」

というと問答無用でティアナの腕に針を刺した。びっくりして思わずカーネリアンの衣服をつかんでしまったティアナに対しカーネリアンは、

「すまない、いきなりで悪かったな。精神安定剤の点滴をしようか?」

と聞かれ、ティアナが首をかしげると侯爵はふっと息を吐き、ティアナの頬を撫ぜてからゆっくりと口を開いた。

「眠れない理由は両親の死だろう?だとしたら精神安定剤を点滴か服用したほうがいい。どちらがいいかは自分で決めろ。手っ取り早いのは点滴だがこわいのなら・・・」

「点滴で大丈夫…。怖いけどカーネリアン侯爵なら大丈夫な気がする」

カーネリアン侯爵が言い終わる前にティアナの声が遮った。それを聞いたカーネリアンは、再び点滴の準備を始めた。その様子を見つめながらふうっ吐息をカーネリアンに気づかれないように吐いた。そうこうしているうちに準備ができたらしくティアナのほうにきた。

「点滴をするぞ。怖いのなら俺の服を右手で掴んでも構わない、左腕にうつぞ」

ティアナはそういわれ右手でカーネリアンの服をぎゅっと掴むとそれをみたカーネリアンはふっと息を吐き。

「よし、いくぞ。3、2、1でうつからな?」

といわれコクリと頷く。

「3,2,1」

少しチクッっとしてうめいたがすぐに痛みがなくなり、数分が立つと眠くなってきたのが分かったのか、そっとブランケットをティアナにかけた

「すまない、精神安定剤のほかに睡眠薬も入れた。しばらくは寝ていなよ?このことは俺が伝えるから安心しろ」

「ありがとう」

ティアナはそのまま睡魔に身をゆだねて眠ってしまった。カーネリアンは自分の衣服を掴んでいるティアナの手をそっとどかし、音も立てずにすっと立ち上がり、このことを報告をするよう部屋の前にいる己の従者に伝え、さっき服から手を離してからうなされているティアナの元に行き、さっきまで服を掴んでいた手をそっと握ると安心したような顔を見せた。

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