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「なんやそれ!?MPKちゃうん?」
「ちゃうんというか、完全にMPKです。私だけでも、と残ったんですが、全然力不足で。本当にすみません!」
「え?えっ!?」
ガクブルガクブル
「もうあの人達とは組みたくないからパーティも解消したし……って。ど、どうしたの!?」
「ユウちゃん落ち着きい!」
ど、どうしよう。会ったことあったから落ち着いてたけど、目の前で女の子に謝られるって、ヤバい。すごい罪悪感を感じる。
悪いのは逃げ出した3人だとわかっているのに、残った女の子はなにも悪くない……ことはないのかもしれないけど、目の前で女の子に謝られると、男のこっちが悪い気がして仕方ない。……今は女の子だが。
昔もこんなことがあった。
あれは、吹雪と初雪ちゃんと買い物に出かけたときだ。
あのとき、俺が早く着いていて、初雪ちゃんは遅れてきて、吹雪は……たしか、ゲーセンで遊んでてすごく遅刻してきたんだ。
まぁ吹雪のことは置いておいて、遅れてきた初雪ちゃんが、遅れてきたことと吹雪がいないことを、俺が止めるのを聞かずに、涙目で必死に謝っていたんだけど、そしたら、
「君」
「はッ、はいィッ?」
「どうしてそんなに驚く?こんなところで女の子を泣かせているとか、どういうことか説明してくれるかな?」
「「えっ?」」
振り向くと、お巡りさんが2人ほど。
違うんですお巡りさん!これは……と、どこかで聞いたようなセリフが出そうになって気付いたのだが、
周りにいる人たちが、みんなこっちを見ている。
少し待ってほしい。現状を確認しよう。
えっと、今の状況は……
女の子を泣かしている男を、お巡りさんが職務質問している図。
どうあがいても絶望。というか大勢に見られて吐き気がしてきた。
お巡りさんに何か聞かれてるし、それを初雪ちゃんが答えているけど、とにかく吐き気が……
それとなく初雪ちゃんに伝えると、初雪ちゃんは、『ヤベ』的な顔をした後、俺をここから移動させようとするが、お巡りさんはそれを許さない。
そんな問答をしているうちに、俺に限界が来て、公衆の面前で(プライバシー保護の為伏せさせていただきます)することとなった。
さすがにそれはアレだったのか、すぐにお巡りさんは解放してくれたが、注目の的だったせいで、周りでもいくつか(プライバシー保護の為伏せさせていただきます)が発生した。
その後、俺達は帰ったのだが、吹雪から、「なに(プラry)ってるんだ」とのお声が。
なぜバレたし。
まぁ、駅前が清掃中で俺達が帰ったから予想できたそうだ。
嫌な、事件だったね。フフフ、ヤバい「ユウちゃん!」
「ハイィッ!?」
「あ、やっと起きた?」
「え、えっと。どうしたんでしょうか?」
「覚えてない?あたしが謝ったら急に震えだしてって、また震えださない!」
「ハッ!す、すみません。いろいろあったので」
「う、うん。とにかく、あの人達のことはごめんね」
「いえ。話によると、あなたは最後まで残っていてくれたようですし、ありがとうございます」
「こちらこそそういってもらえて助かるわ。ありがと。最初からあなたみたいな可愛い娘と知り合いたかったわ。ところで、フレンド登録してもいい?」
「えっと、はい。よろしくお願いします」
今日だけで2人目のフレンド登録!
「そういえば、ガラスの棘ってアイテムがあるんですが、どうやら鏃に出来るそうですので、アルテさんにあげます」
「え!?タダはちょっと」
「使わないですけど、使い勝手がどうか聞きたいの」
「すまない。ヤンと話がしたいんだが?」
「ヒィッ!すみません!」
だいぶ慣れたので、そのままアルテさんと話していると、ヤンさんにお客さんのようだ。
「……そんなに驚かれると傷つくのだが」
「……いろいろあるから許してやって。どうしたん?買い取り?」
「あぁ。ポーションを買いたいのだが」
ヤンさんがそうして商売を始めたので、俺たちは脇に避ける。……見知らぬお客様。申し訳ないです。
「とにかく、どうぞ」
「それじゃあ使ってみて、感想をメールするね。そういえば、私が死んでからも、ずいぶん街に戻ってくるの遅かったわね。待っていたのだけど」
「そうだったんですか!?すみません。帰りにハネウサギに襲われて。なんとか生きて戻ってこれましたよ」
あっ。言って気付いたが、あまり言わない方が良かったか?
「ハネウサギ?」
「ってユウちゃん!それボスやないの!」
「ボスって……あの大きなウサギ!?どうやって逃げ切ったの!?」
「それは俺も聞きたい。俺達も少し前にそいつにあって、死に戻りしたばかりだからな」
「ヒィ!え、えっとですね。目を傷つけた状態で逃げまどっていたら、傷を負っていたのか、倒せました」
「「「……倒したぁっ!?」」」
「ヒェー」
三人に囲まれたので、正直にゲロっちゃいました。
「傷ついてたとはいえどうやって倒したん!?って聞いていいんか?」
「あ、北門の先のなら俺達が傷つけたやつだろう。だいぶ削れたとは思うが、よく倒せたな」
「なんでそんな連戦してるのよ」
「えっと、まず目にナイフを刺して見づらくしたあと、足の腱のあたりを傷つけて速度を落としたりしました」
「言わんでもええのに。でもそうか。小さなウサギなら気にしないけど、大物ならそういう部位攻撃もありなんか?」
「やってみなければわからんが、その発想はなかったな。次はやってみよう」
そういうと、お客さんは考え始めてしまった。アルテもビックリしているようだし、少し落ち着く時間も必要か。
そうだナイフといえば。
「ヤンさん。初期配布のナイフって売ってます?」
「ん?2、3本あるけど、こない弱いナイフ、どないするん?」
「威力は低くてもいいんです。投げるので」
「投げ?」
「はい。普通の短剣だと、投げた後に耐久がすごく減るので、耐久のない最初のナイフがいくつか欲しいんです」
「なるほどね。それなら!投資も兼ねて、この『初級鍛冶セット』と『初級木工セット』、『初級細工セット』とナイフ3本で1000Lや!ついでに空きビンも5個付けるで!どや?ユウちゃんのことだし、どうせいつかはとるんやろ?」
「うっ!で、でもお金が……」
「さっき大金稼いだやん。つぎも稼げるって!」
「……くっ!……買います」
「毎度!」
所持金と借金システムから半々で払う。
所持金1325L→825L
借金500L→1000L
また押し切られてしまった。
くやしいが大人しくセットを受け取る。
すると後ろから、
「やっと見つけたぞおまえら!」
「ヒィ!」
何度目の『ヒィ』だよ俺!
ユクロスの対人レベルは、作者より強めに反応するように書いています。
あと、ところどころに出てくる過去エピソードはあくまでフィクションです。
作者は(プry)なことを公共の場でやったことなど……ありました。




