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お気に入り200人突破!
みなさま、いつもありがとうございます。
ユクロスVSソウゲンハネウサギ、スタートです!
「あ、死んだ」
口から出たのはそんな感想だけだった。
というかヤバい。アレ絶対こっち見てるって。見つかっている以上、逃げるわけにもいかないし、ていうか逃げられる気がしない。いやまて。まだ気づいてないのかもしれない。《周囲観察》のスキルにある、遠くを見る力を使っているから、まだ結構距離はある。こちらを見ているのは、警戒しているだけかもしれない。とりあえず、離れよう。
そう思って1歩下がると、足元から草の軋む音と木が折れる音(どこにあったんだよ!)がした。
するとハネウサギは、明らかに耳を大きく動かし、体全体をこちらに向けた。
「オワタ」
に、逃げるんだぁ。勝てるわけがない。
だって、耐久のヤバい短剣と貧弱なナイフしかないんだぞ!
そんなことを考えているうちに、ハネウサギに動きがあった。
「キュッ」
その場で垂直飛びしたかと思うと、
「キュキュキュー」
そのまま滑空してくる!
え、えっと、このままだと体当たりされるから……どうしろと?ってもう10mもない!?
「ひぃ」
『スカッ』
「「え?(キュ?)」」
……しゃがんだら避けれたでござる。
俺の上を越えた後、ハネウサギはそのまま10mほど先に降り立った。
そしてこちらを向き、
「…………」
「…………きゅ?」
「…………キュッ!」
可愛いふりしてもだめでした。
走ってこちらに向かってくるので、ナイフを顔に投げつける。
「ギュウゥウゥウ!?」
「おっ!目に刺さった!」
一応狙ったが、運よく右目に刺さった。というか避けるかと思ったのだが、勢いがすごかったようだ。
結構グロい。でもゲームだからか、血は流れていない。とはいえ、目にナイフが刺さっているのは、すごくグロい。
「ギュギュゥゥゥッ!」
目に刺さって少し怯んだようだが、もう一度体当たりしてくる。
とにかく、左側に向かって避ける。
右目にナイフが刺さって傷ついてる以上、少なくとも見え辛くはなっているだろう。つまり、相手の右側、こちらからいえば左側は死角になりやすいはずだ。それなら避けやすいはずと左に避けたが、どうやらうまくいったようだ。
ハネウサギはこちらを向くのに手間取っているし、動きも鈍くなっている。
……よく見ると、結構傷が付いている。もしかして、他の人と戦ったのか?
その人たちがどうなったのかは知らないが、ダメージが溜まっているのかもしれない。
これなら勝てる!と思い武器を取りだそうとしたが、残っているのは、そろそろヤバい短剣が1本。
…………逃げよう。
そう決めると、一目散に逃げ出す。
しかし追いつかれてしまった。
さすがはウサギ、走るの速いっすね。
また体当たりされそうだったので、右目側に避ける!
ドンッ!
……え?
体の横をハネウサギが駆け抜ける。
いま、『ドンッ!』って音がしたんだけど、なんで?ぶつかってないよ?
……もしかして、駆け抜けた音だった?
「1回でゲームオーバーになりそうだ」
そういうと、再び逃げ出した。
あれからしばらくたったが、現状は結構ヤバめである。
あのあと何度か逃げて避けてを繰り返していたのだが、途中何度か、足がつりそうになった。
そんなときにとある方法を思いつき、隙をついてハネウサギの左足に、残っていた短剣で切りつけたのだ。
そう!足の腱を傷つければ動きが鈍くなるのでは?と。
結果からいえば、傷つけることに成功し、ハネウサギの動きが鈍くなったのだ。
ただし、ハネウサギの左足には俺の短剣が刺さっていた。
はい。持っていかれました。
しかたないので逃げ続けていたのですが、
『ガシャン』
あの音が。
次に足を見ると、見事に短剣が消えていました。
と、いうわけで、俺は武器なしで逃げ回っているのだ。
しかも短剣が消えてからは、最初ほどではないが、速度が上がり、メニューをゆっくり開いている暇もない。
それに、マジックストーンは、せっかく初雪ちゃんに残してもらったのに、すぐに使いまくるのはもったいない!
そういう理由で、現在逃走中です。
しょうもないといわれるかもしれないが、これが結構気になるのだ。っておっと!?
「ギュァァ」
あぶないあぶない。ぶつかるところだった。
ハネウサギは、さすがに疲れたのか、こちらに背を向けている。
ナイフの1本でもあれば攻撃できるのに。少し前のウサギは捕まえて一方的に攻撃できてたのになぁ。それにもふもふで気持ちよかったのに。
あいつも大人しければ、すごくもふもふしていそうなのに。それも布団みたいにもうもふならなぁ。……もふもふ。……もふっ!?
そうだ!
思いついたら即実行!
というわけでハネウサギに近寄り、
『もふぁ』
「ふぉぉぉぉ!もふもふじゃあ!」
「ギュ!?キュァァァァァッ!?」
その無防備な背中に飛び乗る。
すげぇ。まるで羽毛布団みたいに柔らい!気持ちい!
といっても、ただもふるために飛び乗ったわけではない。
「こうして上に乗れば、背中から攻撃できるぞ!」
そういうと、もふもふな毛を掴んで「ギュゥゥゥゥ!(泣」どうやら痛いようだ。
とにかく、しっかり掴んだら、足で背中を蹴りつける。
……布団の上でバタ足をしているようだが、断じて遊んでいるわけではない。攻撃しているのだ。
でも気持ちい(断言)
振り落とそうとしているが、足の傷や体力が減っているのか、そこまで暴れない。
というか、ふわふわなうえに振動があると、眠くなってく「ギュゥゥゥ………」ん?
ふわふわで温かかった春の布団が、一気に冬の布団に変わっていく。
「あれ!?死んだ!?」
簡単に倒せたみたいに見えますが、他のパーティがダメージを与えていなければ無理です。
この方法で無傷のハネウサギを倒すなら、1日中逃げ続けないとです。