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番外編・その頃の人たち

 あちこちの人たちの様子です。

 少し長くなりました。


 他人目線などいらないよ。という人はスルーでいいです。

3人の冒険者


 ユクロスのいる場所から少し離れた場所に、3人のPLがいた。


「いいか、ソウゲンウサギの攻撃は、体当たりと蹴りだ。後ろに回らない限り蹴りはしてこないから、前か横から攻めるんだ」

「……はい!」

「緊張してんなよ。たかがウサギだぞ?」

「初めてなんだから緊張するのは当たり前よ。まずは相手をしっかり確認するの。最初の一撃は避けて、二回目からは盾でガードしてみなさい」


 どうやら新人PLを2人のPLが手伝っているようだ。


「はい。わかりま『ドギャァァァァァンッ!』した!?」

「なに!?今の音!」

「誰かでかい魔法でも使ったか!?っておい!今の音でウサギが目を回してやがる!」

「ほんと!攻めるなら今よ!」

「あ、はい!」


 そして目を回しているウサギの頭に、新人の剣が振り下ろされた。




「いいか、今回楽に倒せたのはあの音のせいだ。毎回こうとは限らないからな」

「はい!……でも、あの音は何だったんでしょう?」

「多分だけど、あの音は魔法によるものだと思うわ」

「魔法であんな音が!?」

「というより、今現在出回っている武器では、あんな音は出ないだろうから、おそらく魔法だろうな」

「そうね。武器であんな音を出すとか、大砲やグレネードでもないと無理じゃないの?」

「だから魔法と判断するのですか。なるほど」

「とはいえ、初期の魔法にあるのかもわからないけどね」


 この騒ぎを起こしている、《アースボム》を含むボム系だが、習得するには、【下級魔法使い】をMAXにする必要がある。

 とてもじゃないが、習得するのには、しばらくかかる魔法なのだ。


「だが、あの魔法が使えるかどうかはわからんが、音を出すのはいい手だな」

「というと?」

「さっきの目を回したウサギを見ただろう?おそらくだが、ウサギみたいに音に敏感なモンスターは、大きな音で目を回すんだろう。その状況を意図的に作り出せれば、音に弱いモンスターへの牽制にもなる」

「なるほど。それなら何か大きな音を立てる方法を考えないとですね」


 そうして音を立てる方法を考えこみ始めると、


「ちょっと待ちなさい。音を立てるっていうことは、自分の位置を知らせることでもあるんだから、ヘタに使うとモンスターの群れに襲われるわよ」

「そういえばそうか」

「はぁ。ままならないものですね」


 そして3人とも一息つく。


「よし。今のは運がよかったんだし、次のモンスターを探すぞ!次こそしっかり倒して見せろよ?」

「はい!」

「いい返事だ。いくぞ!」


 そういうと、3人はモンスターを探して歩きはじめた。



* * *



残る者


 私たちは少し前に出会った少女とともに、大量のウサギを前にしていた。っと離れてるやつがいるし、タァッ!


『シュッ』

「キュゥゥゥ!?」


 よし。今回はうまく当たった。

 いくら弓が離れて攻撃できるとはいえ、数が多いうえに、それぞれが追われているこの状況では、集中して狙い撃つなど出来るわけがない。

 必然的に、近距離に近づき、確実に当てなければ弓ではどうしようもない。

 はぁ。どうしてこんなことになっちゃったのやら。




 今いるパーティに入ったのは偶然だった。

 私が【見習い弓使い】を選んだのは、現実で弓道部だったからだ。それだけで【弓使い】を選んだ私もあれだが、他のジョブを、弓や矢を作るために【木工師】と【鍛冶師】、罠を仕掛けたり出来る【罠師】にしたから、序盤は弓だけで生きていかなければならない。

 そんなときに出会ったのが、あの剣士達だ。

 あの男達は、「弓使いがひとりでは危険だ」とか、「俺のような盾使いが居れば弓は後ろから支援しやすいぞ」とか、「物理が利きにくい相手には俺のような魔法使いが居たほうが良いぞ」とか、・・・・・・槍使いは何言っていたか忘れたけど、そんなことをまくし立てられ、そんなこんなでパーティに引き込まれた。あと、なんか無口なやつも居た。

 パーティに入ったばかりの頃はまだ良かったのだが、少し狩りをしていくと、彼らは文句を言い始めるようになった。

 どうやら、初期の【弓使い】は、現実の技能に左右されやすいということで、私がそれを知らない初心者だと思って声をかけてきたようだ。どうせ、攻撃が当たってないから戦利品を寄越せとでも言うつもりだったのだろう。最初の戦闘では、弓の具合の確認でほとんど戦闘してなかったし、それでラスアタのみドロップがあると知ったことで、「ドロップ品は手に入れたやつのものな」とかいいだした。

 まぁ、2戦目からは容赦なく攻撃していったので、ドロップが増える増える。

 それで文句を言われたが、そんなのは、さっきこいつらの言った事を返せば黙るといったくらいだ。

 そのあとは、矢が少なくなったので、先に帰ったのだが、彼らは帰りにボスクラスに会ってほぼ全滅したそうだ。どうせ私が居なくなってアイテムとり放題とでも思ったのだろう。


 次の日もそいつらに誘われて狩りに行ったのだが、無口なやつが居なかった。そしてこいつら、「ファーストアタックだけしてくれればいい」とか抜かしてくる。

 しかたないので、首を狙ったファーストアタックを使い、一撃で仕留めていった。

 あのときのこいつらの顔は笑えるものだった。

 そしたら、槍使いの馬鹿がウサギの巣に攻撃しやがったのだ。

 そしたら出てくる出てくる。

 どんどん数が増えるうえ、槍の馬鹿が死んだことで逃げ出した。


 逃げるのはいいのだが、逃げた先には、中学生くらいの少女が居た。

 すぐに逃げてといおうとしたのだが、「手伝ってくれ」の言葉に、素直に答え、戦闘を開始してしまった。


 そして今に至る。


 どうやら少女は、最初からソロでやっていたようで、今も、なぜかウサギを抱えながら走ってって、メッタ刺ししてる。

 あれはリーチの少ない短剣でしか出来ないわね。でも1羽ずつ確実に倒している。

 あんな戦い方があるのかと思っていると、パーティチャットで、


《おい、あいつにまかせて逃げるぞ!どうせ勝てるわけがない》


そんなことを抜かす。そんな、ただでさえトレインといわれる行為をしてしまったのに、これではMPKモンスタープレイヤーキルだ。

 すぐに文句を言おうとすると、


《了解》

《ちょうどいいな》


との相槌。

 そしてあいつらはそのまま逃げていった。


 さすがに1人残すわけにもいかないので、私も戦い続けたが、やはり弓ではだめだった。

 死亡後のロスタイムで戦闘を見ていると、少女がアイテムを出して何かいっている。すると、


『ドギャァァァァァンッ!』


と爆発が起きた。

 何事かと見ていると、ウサギの群れが、死んでいるか気絶しているかだけとなっていた。そして立ち上がる少女。

 そこでロスタイムは終わってしまった。

 どうやら、彼女は何かいいものを持っていたようだ。それでこそソロでやっていけるということか。

 ソロか、それも悪くない。遠くから1撃や2撃で倒せる今なら、ソロでもやっていけるだろう。


 まずは、あいつらのパーティから抜けるのが最初だな。



* * *



逃げ出した者達


「まったく。うまく擦り付けられて良かったぜ」

「まったくだな」

「もうボロボロだぜ。とっとと街に行こうぜ」

「あぁ。……うん?あれは……ッ!?」

「あれ昨日のボスじゃねえか!」

「おい!どうするよ!?」

「あ、そこにいる5人組!このままじゃあぶねえから協力してあいつを追っ払うぞ!」

「え!?あ、はい」


(しめしめ、こいつらとも戦闘する振りして擦りつけて逃げてやる)


 だが彼らは、たいした活躍もなく死亡するのであった。

 残りの5人も、善戦はしたが、むなしく全滅となった。


 人は勘違いする生き物なのです。


 この弓使いさんは……もしかしたら出てくるかもしれません。

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