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考えてみたが、なぜ1羽のフニワトリからアイテムが2種類でたのかは分からなかった。
というか、始めて倒したモンスターなので、どれが当たりなのかも検証できないのだ。
現在の予想では、
・フニワトリは2つのアイテムを落とす
・特殊な倒し方をした
・じつはフニワトリじゃなかった?
など、いくつか予想を上げたが、一体何が当たりなのやら。
気がつくと、そろそろ昼ごろだった。
それにしても、昨日は、昼前から夕方で10羽だったが、今日は午前中だけで2倍以上の成果だ。成長してるぞ俺!
と、思ったのだが、今日は昨日と違ってソロだ。3人で狩っていたのを1人で狩れば増えるに決まっているのだ。
……成長が見えない(泣
ある程度狩ることもできたので、いったん街に戻ろうかと思ったが、少し森を見たくなった。
だって、ずっと視線の端に森があるとか、気になって仕方ない。
今の俺では力不足だろうけど、覗くだけなら問題ないだろう。
大丈夫、ちょっとだけ、ちょっとだけだから。
そんなことを考えながら森へと踏み出した。
「なんていうか、森」
森に入ってしばらくたつが、モンスターに会わないので、普通に森を散策している気分。結構気分がすっきりする。
……まさかゲーム内で森林浴を楽しむことになるとは。
「でも本当に気持ちいなぁ!」
そのまま歩いて行くと、《周囲観察》に反応があった。
だが、今までとは何か違った。
「さっぱり場所がわからない」
周りが木だらけなので、どこになにがいるのかさっぱり分からない。
短剣を抜いて構えておくが、どうすればいいのやら。
これは森のレベルが高いのもわかる。というかエンカウントのレベルが高いってどういうことなの!
仕方ないので、発見されてないことを祈りつつ、少しずつ下がり、そのあたりから撤退する。
「ふぅ……」
しばらく歩いた後、すこし落ち着く。
「このままだとあれだし、森を出ようか」
といったときに気付いた。
「ここどこだよ……」
そう、まっすぐ下がることに集中しすぎて、現在地がさっぱりわかっていないのだ。
ど、ど、ど、どうしよう。これは死に戻り確定か?
朝起きて、死に戻りの話なんてしたからか?
「やべえよやべえよ」
……うん。ネタがいえるくらいには落ち着いた。とはいっても、現状は変わらないわけだが。
そのまま気配を押さえつつ、しばらく歩いていると、目の前に池?があらわれた。
「きれい……」
池かと思ったが、どうやら泉のようだ。というのも、泉の水は透明度が高く、真ん中あたりに、水がわき出ているようだ。
あまりに綺麗な景色に目を奪われていると、緊張感が抜けてきて、喉が渇いてきた。
ちょうどいいので、目の前の泉の水を少し飲ませていただこう。
もしかしたら飲めない水かもしれないが、死に戻りが目の前にある以上、気にすることでもないだろう。コップはないので、手で掬って飲む。
「いただきます。……ッス」
ゴクリ
「お、おいしい。というかすっごく美味しい!」
これがすごくおいしかったのだ。
いわゆる、店で売ってる天然水みたいなものなんだろう。おいしいうえに喉をスッと抜ける爽快感。すごく、おいしいです!
おいしい水を飲んだせいか、お腹がすいてきた。
ここで食べるのは危険かもしれないが、正直我慢したくない。というかここで食べたい。
とりあえず、周りを確認し、安全そうなのを確認してから、ボックスからステーキを出す。
……この大自然の中、こんな場所でステーキなのは、なぜだか残念だな。
あと、《忍び足》のレベルが上がっていた。さっきの気配消しながら歩きが有効だったか?
そう思いながらボックスを見ていて思いついた。
「この水持って帰れるかな」
この水を使えば、いいポーションが作れる気がするのだ。
とはいっても、入れ物がない。
このままでは入れるものがないから、諦めるしかないかな。
いっそこのまま入ればいいのに。
そう思っていたらボックスに、
『泉の水』
の文字が。
え!?本当に入ったの!?と思いながら1回出してみると、
『だばぁ』
……本当に、ただ水が入っていただけのようで、水がそのまま出てきた後、そのまま地面に落下しました。
これ落下位置に大きな入れ物ないと無理だわ。いや、そういう問題じゃないか。
しかたないので水は諦めて、おとなしくステーキを食べることにする。
そうやってボックスからステーキを取りだすと、……昨日も思ったが、すごくいい匂いだ。と、匂いを楽しんでいたら、《周囲観察》が発動?!
「え、ちょっと待って。この状況でこられたらどうしようもないよ?」
誰に言い訳しているのかわからないが、とにかく、さっさとステーキをしまってここから立ち去るとしよう。と思ったら、
ガサガサ!
と、真後ろの草むらから音がする。
「ひゃあ!?」
ドサッ。ピシッ!
……ビックリして皿ごと落としてしまった。しかも衝撃でひびが入ったようだ。
ショックを受け、仕返しにと後ろを向こうとしたら、前の木の陰から、
『シュゥゥゥゥ』
ぞ!っとするような、腰の高さまであるカマキリがこちらを見ていた。
いやいや、カマキリとかヤバいって!カマキリって切れ味のある鎌の鋭さとかあるし、一部のゲームじゃボス扱いされてることも多いじゃん!いくら腰の高さとはいえ、あいつ絶対こっちを余裕で狩れるサイズだよ!それに『シュゥゥゥゥゥ!』
「うわぁっ!こっちくんな!」
「逃げるんだよォ!」
そう叫びながら、逃げ出した。
* * *
誰もいない泉で
泉の近くから、人と虫が去った後、泉を訪れる生き物がいた。
その生き物の目に映っていたのは、さきほどの人が落とした肉である。
クンクン……
その生き物はそれの匂いを嗅ぎ、危険でなさそうなのを確認すると、食べはじめた。
ガッガッ。
その肉は、いつも食べる肉とは違い、香りがよく、とても柔らかくておいしかった。
食事が終わるとその生き物の足は、自然とさきほどの人を追いかけはじめた。
が、すでにその人物はここから遠くに離れており、その生き物の自慢である尖った耳であっても音を拾うことができなかった。
それでもその生き物は、輝く尾を振りつつ、人が向かった方向へと、森を進み始めた。
ユクロスはカマキリから逃げることはできるのか!?
ユクロス
《忍び足1》→《忍び足2》




