表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/105

番外編・2

 前回に続きスノー視点です。

 そのまましばらく話していると、カイさんが、


「そういえばブリザード。もう1人の知り合いっていうのは誰なんだ?俺の知っているやつか?」


と、振ってくる。


「あぁ、こっちだとユクロスって名前なんだけど、リアルでも俺の友人だ」

「おまえの友人ってことは、俺が知っているやつか?」

「たぶん知っているんじゃないか?一応同じ学区だったから、わか……って、そういえば、カイとは中学に上がるときに別れたんだったか?あいつとは中学で初めてあったからな」

「それじゃあわかんないかもな。というか、おまえが違う中学に行ったんじゃないか。……一応聞くけど、男?女?」

「……(チラッ」

「兄さん。なんでこっちを見ているんですか?」


 そう聞くと、兄さんはこちらに顔を寄せて、


「(ユクロスのこと、話していいと思うか?)」


と、小声で聞いてきました。

 確かに、悠兄ちゃんは男だけど、現在ゲーム内では女キャラになっている。

 どう話すべきか困りますね。


「(……正直微妙ですが、名前も教えたので、会った時のことを考えると、話しておいた方が、悠兄ちゃんが攻められなくて助かると思う)」

「(そうだな。あとスノー、呼び方統一しておいた方がいいぞ)」


 ……?あっ!名前もろに出しちゃった!でもユウなら、ユクロスの略称でいけるかな。


「2人してどうしたんだ?」

「いやな、ちょっと複雑なんで相談してた」

「複雑って、何だ?」

「私も気になりますね」

「ここだけの話にしてほしいんだが、ユクロスは男だ」

「それのどこに秘密にする必要があるんだ?」

「そうですね。他に何かあるんですか?もしかして、顔が中性的で、女の子みたいなんですか?」

「あはは!それなら笑えるな。いわゆる男の娘ってことか」

「「…………」」

「どうした?無言になって」

「実はそうなんだ」

「マジか!男の娘とか一部では人気が出るぞ!?」

「あらあらまあまあ」

「しかもスノーのお下がりのヘルメで始めたら、機械に女の子判断されて女性アバターになっているんだ」

「おい!なんでそんなことになるんだよ!」

「あらあらあらあら!ぜひ見てみたいわ!」

「ちょ!?待てっておまえr……」


 兄さんが2人に質問攻めされている。

 確かに、おかしいことではあるが、現実の悠兄ちゃんのことを考えると、あながち間違ってないと思う。

 現実でも悠兄ちゃんは、女性扱いされることが多かった。




 私が初めて悠兄ちゃんに出会ったのは、私がまだ幼稚園児のころのことだ。

 兄さんは、まだゲーム命な性格をしておらず、友人と外で遊ぶことが多かったのだが、友人であるカイさんは別の中学なうえ、運動系の部活もやっていたので、カイさんと遊ぶことは少なくなっていった。それでも兄さんは、誰かと遊んでいたようで、いつも泥だらけで帰ってきたのだ。

 そうして一月ほどたち、梅雨の時期に入り、外で遊ぶに遊べないようになった。そんなときに遊びに来たのが悠兄ちゃんだったのだ。

 その時遊びに来たのは、もう一人いたのだが、その人はこちら側の世界に来なかったので割愛するが、実に体育会系の人だ。

 そうして、隣に体育会系の人がいたせいで、初めて悠兄ちゃんのことを見たとき私は、


「お姉ちゃん誰?」


といったのだ。

 なんでそのことを覚えているかといえば、いわれたその場でorzしたのが印象に残っているからだ。

 どうやらその日は、外が雨だったので、兄さんの誘いでゲームをしに来たようだ。

 その日にやったのは、国民的に人気な、『複数ゲームキャラが大乱闘するゲーム』だったのだが、2人ともなれておらず、ほとんど兄さんが勝っていたらしい。

 その日以降、2人ともよく遊びに来るようになった。

 とはいっても、ゲームをしていたのは兄さんと、負けず嫌いらしい体育会系の人だ。

 悠兄ちゃんも、ゲームはしていたが、大抵は2人の様子を見つつ、兄さんが買っていた漫画をよく読んでいた。それに、兄さんがゲームをしていたので、1人で遊んでいた私の相手もよくしてくれた。というか悠兄ちゃんは、漫画を読んでいるか、私と遊んでいるところしか見なかった。

 ついでにいうと、悠兄ちゃんとやるおままごとは、女の子同士で遊んでいるようで、結構楽しかった。

 あと、2人が来ないとき、ときどきカイさんも来ていた。

 そんな生活は、私が小学校に入っても続き、兄さん達が高校に入るまで続いていた。

 兄さんと悠兄ちゃんは同じ高校に、体育会系の人は、スポーツで有名な高校へと入学した。兄さん達が高校に入ると、勉強が忙しいのか、悠兄ちゃんが遊びに来ることが少なくなった。来るのは、テスト前の勉強会と、テスト後の時期に偏っていた。

 このころには兄さんは、すでにネットゲームをするようになっていた。

 どうやら、ネットゲーム内ではカイさんによく会っていたそうだ。


 そして悠兄ちゃんは女の子っぽさに磨きがかかっていた。


 でもそれも仕方ないと思う。

 悠兄ちゃんは髪が伸びるのが早いらしく、肩にかかるくらいの長さになることが多かった。それに顔も中性的、というか少し女の子っぽかった。

 それと、この頃からだったはずだ。悠兄ちゃんがナンパされるようになったのも。

 可愛いから仕方ないと思うが、愚痴を聞かされるようになった私の身にもなってほしい。

 ただ、そのことをつい目の前で洩らしたら、うなだれて帰って行った。

 悪いことしたかなぁ。と思っていたら次の日、兄さんが部屋に急に飛び込んできて、


「雪!おまえ悠になに言ったんだ!?」

「悠兄ちゃんがどうしたの?」

「あいつなにを考えたのか、ボウズ・・・にしてきたぞ!」

「……え?」

『あと1話ですませたいといったな。あれは嘘だ』


 ごめんなさい。1話じゃすみませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ