番外編・2
前回に続きスノー視点です。
そのまましばらく話していると、カイさんが、
「そういえばブリザード。もう1人の知り合いっていうのは誰なんだ?俺の知っているやつか?」
と、振ってくる。
「あぁ、こっちだとユクロスって名前なんだけど、リアルでも俺の友人だ」
「おまえの友人ってことは、俺が知っているやつか?」
「たぶん知っているんじゃないか?一応同じ学区だったから、わか……って、そういえば、カイとは中学に上がるときに別れたんだったか?あいつとは中学で初めてあったからな」
「それじゃあわかんないかもな。というか、おまえが違う中学に行ったんじゃないか。……一応聞くけど、男?女?」
「……(チラッ」
「兄さん。なんでこっちを見ているんですか?」
そう聞くと、兄さんはこちらに顔を寄せて、
「(ユクロスのこと、話していいと思うか?)」
と、小声で聞いてきました。
確かに、悠兄ちゃんは男だけど、現在ゲーム内では女キャラになっている。
どう話すべきか困りますね。
「(……正直微妙ですが、名前も教えたので、会った時のことを考えると、話しておいた方が、悠兄ちゃんが攻められなくて助かると思う)」
「(そうだな。あとスノー、呼び方統一しておいた方がいいぞ)」
……?あっ!名前もろに出しちゃった!でもユウなら、ユクロスの略称でいけるかな。
「2人してどうしたんだ?」
「いやな、ちょっと複雑なんで相談してた」
「複雑って、何だ?」
「私も気になりますね」
「ここだけの話にしてほしいんだが、ユクロスは男だ」
「それのどこに秘密にする必要があるんだ?」
「そうですね。他に何かあるんですか?もしかして、顔が中性的で、女の子みたいなんですか?」
「あはは!それなら笑えるな。いわゆる男の娘ってことか」
「「…………」」
「どうした?無言になって」
「実はそうなんだ」
「マジか!男の娘とか一部では人気が出るぞ!?」
「あらあらまあまあ」
「しかもスノーのお下がりのヘルメで始めたら、機械に女の子判断されて女性アバターになっているんだ」
「おい!なんでそんなことになるんだよ!」
「あらあらあらあら!ぜひ見てみたいわ!」
「ちょ!?待てっておまえr……」
兄さんが2人に質問攻めされている。
確かに、おかしいことではあるが、現実の悠兄ちゃんのことを考えると、あながち間違ってないと思う。
現実でも悠兄ちゃんは、女性扱いされることが多かった。
私が初めて悠兄ちゃんに出会ったのは、私がまだ幼稚園児のころのことだ。
兄さんは、まだゲーム命な性格をしておらず、友人と外で遊ぶことが多かったのだが、友人であるカイさんは別の中学なうえ、運動系の部活もやっていたので、カイさんと遊ぶことは少なくなっていった。それでも兄さんは、誰かと遊んでいたようで、いつも泥だらけで帰ってきたのだ。
そうして一月ほどたち、梅雨の時期に入り、外で遊ぶに遊べないようになった。そんなときに遊びに来たのが悠兄ちゃんだったのだ。
その時遊びに来たのは、もう一人いたのだが、その人はこちら側の世界に来なかったので割愛するが、実に体育会系の人だ。
そうして、隣に体育会系の人がいたせいで、初めて悠兄ちゃんのことを見たとき私は、
「お姉ちゃん誰?」
といったのだ。
なんでそのことを覚えているかといえば、いわれたその場でorzしたのが印象に残っているからだ。
どうやらその日は、外が雨だったので、兄さんの誘いでゲームをしに来たようだ。
その日にやったのは、国民的に人気な、『複数ゲームキャラが大乱闘するゲーム』だったのだが、2人ともなれておらず、ほとんど兄さんが勝っていたらしい。
その日以降、2人ともよく遊びに来るようになった。
とはいっても、ゲームをしていたのは兄さんと、負けず嫌いらしい体育会系の人だ。
悠兄ちゃんも、ゲームはしていたが、大抵は2人の様子を見つつ、兄さんが買っていた漫画をよく読んでいた。それに、兄さんがゲームをしていたので、1人で遊んでいた私の相手もよくしてくれた。というか悠兄ちゃんは、漫画を読んでいるか、私と遊んでいるところしか見なかった。
ついでにいうと、悠兄ちゃんとやるおままごとは、女の子同士で遊んでいるようで、結構楽しかった。
あと、2人が来ないとき、ときどきカイさんも来ていた。
そんな生活は、私が小学校に入っても続き、兄さん達が高校に入るまで続いていた。
兄さんと悠兄ちゃんは同じ高校に、体育会系の人は、スポーツで有名な高校へと入学した。兄さん達が高校に入ると、勉強が忙しいのか、悠兄ちゃんが遊びに来ることが少なくなった。来るのは、テスト前の勉強会と、テスト後の時期に偏っていた。
このころには兄さんは、すでにネットゲームをするようになっていた。
どうやら、ネットゲーム内ではカイさんによく会っていたそうだ。
そして悠兄ちゃんは女の子っぽさに磨きがかかっていた。
でもそれも仕方ないと思う。
悠兄ちゃんは髪が伸びるのが早いらしく、肩にかかるくらいの長さになることが多かった。それに顔も中性的、というか少し女の子っぽかった。
それと、この頃からだったはずだ。悠兄ちゃんがナンパされるようになったのも。
可愛いから仕方ないと思うが、愚痴を聞かされるようになった私の身にもなってほしい。
ただ、そのことをつい目の前で洩らしたら、うなだれて帰って行った。
悪いことしたかなぁ。と思っていたら次の日、兄さんが部屋に急に飛び込んできて、
「雪!おまえ悠になに言ったんだ!?」
「悠兄ちゃんがどうしたの?」
「あいつなにを考えたのか、ボウズにしてきたぞ!」
「……え?」
『あと1話ですませたいといったな。あれは嘘だ』
ごめんなさい。1話じゃすみませんでした。




