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街に戻った俺たちは、いらない物の処分と武器の修理に移動する。
ただ、その前に、
「二人とも」
「「ん?」」
「少しでいいので皮と、いらない草玉を交換してください」
「おまえそのままだとなにも無くなるぞ?」
いいんです。少しずつでもいろんなものを手に取っておきたい。
「だがなぁ、正規なら、皮1枚で肉2つが通常レートだぞ。さっきの草で1人に1つずつ肉渡しているし、そのままだと肉も無くなるぞ?」
「うっ!?……ま、まぁ、何とかするよ。えっと、皮を1枚ずつ、草玉は肉1つ分ください」
「……はぁ、しかたない。肉2つで皮1枚と草玉5個やるよ」
「じゃあ私もその値段で。あ、でも最初に肉と草玉交換したし、肉1つでいいよ」
「ありがとう!」
やっぱり持つべきものは助けてくれる友人だね。
所持品
ウサギの肉×10
↓
ウサギの肉×5
薬草×20(バラ)
不明な草×50(バラ)
ウサギの皮×2(バラ)
草玉×10(バラ)
種類は多いけど、ボックス埋まるなぁ。
武器の修復は、時間がかかると思ったが、帰ってくるのが遅かったからか、武器屋が空いていたのですぐに直すことが出来た。
所持金
523L→450L
うん、めっちゃお金かかった。
なんでも、減った耐久分÷5が金額らしい。俺が減らした耐久は、2本合わせて365、つまり73Lかかった。しかもこれはNPCの店の購入品だからで、PL生産のオリジナルは、追加でお金や材料にしたアイテムが必要な場合があるらしい。
……投げなきゃよかった。
でも、ジョブの【鍛冶師】があれば金属・石系、【木工師】があれば木製の装備は直せるそうだ。
ん?2本の修理にかかった金額は73L。俺が買ってもらった『石の短剣』は単品で30L、2本で60L。
修理した方がお金かかってる!?
「おまえは正直売るものないだろ?」
「……少しだけ肉を売ろうかな」
「このあと生産する予定あるんだろうし、売り過ぎない方がいいんじゃないか?」
「うーん、そうかもなー」
「でも道具を買う金あるのか?」
ん?道具?……あ、そういえば、
「なあ、道具っていうか、そもそも生産ってどうやるんだ?」
「……おまえ今なんていったよ?」
「兄さん落ち着いて。始める前に、お姉ちゃんはこういうと思うって言っていたじゃない」
「そうだったな。やっぱり調べてなかったんだ。いろいろ作れると聞いて浮かれていたに決まっている」
「……ごめんなさい」
そのとおりです。浮かれてました。
ショックを受けつつ、次に向かうのはアイテムの売却場所である露店だ。
なんでも、もう早い人では露店をしているらしいから、少しは高く売れるだろう。とのことだ。
はやいなぁ。俺なんかお金と武器と精神の耐久がガンガン減っているよ。
「このあたりが露店エリアだ」
紹介された場所は、ヨーロッパの大通りみたいな場所だ。
……言い忘れていたかもしれないが、最初の街である『アインスヴィント』はヨーロッパ、というか名前的にドイツっぽいんだと思う。行ったこと無いからわからないけど。
「今日は俺がβの時に世話になったやつのところに行くぞ」
「おまえはβでやっていたし、ゲーム中でも友人たくさんできてそうだな」
「普通の人はおまえと違って、βからじゃなくても友人増えるよ」
もうやめて!俺の精神の耐久はゼロよ!
そんな俺を無視しつつ、吹雪が周りを見つつ歩いて行くと、一軒の露店の前で止まった。どうやら女性のようだ。
「よう、『ヤン』」
「あ、ブリザードじゃん。β以来だね、おひさー」
なんだろう、赤髪だし、口調もあるからか、結構軽い感じがしなくもない。
「そっちのスノーちゃんが妹さん?」
「わかるか?」
「わかるって。顔そっくりじゃん」
「兄さんと顔が似ているとは聞き捨てなりませんね」
初めてみる人の顔を見分けるレベルで見れるのはいいことだし、うらやましい。軽い感じも明るくていいし、吹雪が友達になる人だし、いい人なんだな。
「そっちの子は妹ちゃんの友達かな?」
前言撤回、やっぱりこの人嫌い。
「……なんか怒らせた?」
「おいこら、そう見えるんだから諦めろ」
「どういうこと?」
「こいつは俺と同い年の友人だ」
「え、ブリザードって成人していたよね?つまりこの子……この人も成人しているの?」
「あぁ」
「ほう、合法ロリってやつですね。レズ展開ならまかせろー」
「やめてっ!」
そんなものは求めてないです!
「こいつはそういうのに慣れてないからほどほどにしてあげてくれ。ところで、ウサギの素材は買い取れるか?」
「ウサギの素材?ブリザードならもっと先の素材も……って2人の付き添いか。いいよ。皮と肉なら生産ジョブあるし使い道あるから多少買い取っても。でも草玉はお断りだよ?」
「わかってる。どうせ草玉は無いからな」
「私もないから大丈夫」
「草玉無いなんてついてるなぁ。で、えーと、ユクロスさんは買い取りしなくていいのかな?」
「あ、あの、俺は……」
「俺っ娘!これはいいものだ」
「ひぃー(泣」
「……こいつは対人苦手だから、あまりあれこれ言わないでくれ。こいつも生産系持っているから、手に入れた素材は、大半を自分で使うそうだ」
「そうなんかー。戦闘して素材集めるのなら時間配分大変やなぁ」
「草玉は、こいつがいろいろ試したいっていうから肉と交換したんだ」
「……使い道ないって言われるやつを試すのかい?変な子だね」
「う、うん?」
「「だろ?(でしょ?)」」
「えっ!?」
俺変な子って思われてたの!?
新キャラ『ヤンさん』名前の由来は、たまたま机の上にあった、全国チェーンの中華料理店の名前から頂きました。
ゲームのキャラ名なんて考えるだけでつらい。ただでさえ、モンスターの名前と、モンスタードロップは3種とか、考えたのは自分なんだから頑張らないと。




