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 話が少し動きだします。(店から出ただけ)

『ありがとうございました』


 という店員の声を聞きながら、店を出ていく。

 出ていくときに周りを見てみると、何人かの人たちが机に突っ伏しているのが見える。

 ……うん、なにもなかった。ってうん?俺たちの残したマドレーヌがない?やっぱりなにも無かったんだ。と念じ、前を行く二人のもとに駆けていった。




「この後はどうする?」

「あとはフィールドに出て試していくしかないな」

「それじゃあさっそくいくとしようか」

「それじゃあ、その前に装備を整えつつ、北門に向かうとするか」

「装備?北門?装備は最初に配られてるこのナイフと防具じゃないのか?それになんで南側にいるのに北門?」

「おい、そのナイフは、ジョブに関わらず最初に配られる本当の初期装備で、性能がすごく低いんだぞ」

「そうなのか?」


 そこまで言うなら確認って、え!?


不壊ナイフ:ATK+3 耐久:なし

初期装備。だが壊れない以外は性能が低いため、まずは装備を買うことをおすすめする。


 うわ、本当に初期っぽい!壊れないだけましってことか。


「わかったか?」

「あぁ」

「そしたらまずは武器を一つくらい買うとしよう。防具はそれなりのがついているから問題ないからな。だから武器はいいのを買いに行こう」

「一番いいのを頼む」

「大丈夫だ、問題ない。任せておけ」

「兄さん達!置いていきますよ」


 まって初雪ちゃん!これはやっとくべきだったから。


「あと、ここからは他のPLも歩いているし、PLNで呼び合うこと。いいな」


 大丈夫だ、問題ない。




 というわけで武器屋に来たんだが、


「片手剣くれ片手剣!」

「こっちは杖だ!」

「もっと性能いい奴ないんですかー」


 こんなところにも人の山が。

 逃げていい?というか逃げよう。


「おいスノー。ユクロスのやつ押さえておけよ?」

「……大丈夫。掴んでる」


 しかし捕まってしまった。


「いやだよぅ。こんなに人がいるところはやだよぅ」

「泣き言言ってんじゃねぇ!おまえは人ごみ苦手過ぎだろう!俺が適当に買ってくるからここで待ってろ」


 そういうと吹雪は店内へと入って行った。


「それじゃあ今のうちに北門から出る理由を言いますね」

「あ、あぁ。うん、おねがい」

「ユクロスさんは……いえ、なんでもありません」


 どうしたのだろうか?初雪ちゃんが頭を抱えている。


「どうかした?」

「大丈夫です。北門から出るのは、『アインスヴィント』の北側のモンスターが弱いからです」


 『アインスヴィント』というのは、俺達のいるこの最初の街の名前である。ドイツ語であり、日本語訳で『風の街』。

 なぜドイツ語かというと、スタッフが


『ドイツ語は二次元好きの基本だ』


とかいったらしい。


「最初の街なのにモンスターの強さに違いがあるの?」

「微妙な違いだけどね。北から時計まわりに強くなっていくらしいよ。兄さんからの受け売りだけど」


 まぁ、βやっていたのは吹雪だけだしな。


「あと、門の外にいるのは大体が『ソウゲンウサギ』と『フニワトリ』、まれに『ゴブリン』だよ」

「『ゴブリン』は予想つくし、『ソウゲンウサギ』はそのまんま草原にいるウサギってわかるけど、『フニワトリ』って?」

「『フニワトリ』はなんか、すっごくふわふわした毛玉みたいなニワトリらしいよ。ウサギは普通のウサギっぽいけど、数が多いうえに結構攻撃的らしいよ」

「へぇー」

「数が多いと下手なゴブリンより強いらしいよ」

「なにそれ怖い」

「あと、数が多いせいか、変異種もいるらしいよ」


 変異種。心ひかれる言葉だ。


「ど、どんなのがいるの?」

「え?えーと確か、普通の『ソウゲンウサギ』より小さいけど、ジョブ経験値が多い『ショウゲンウサギ』とか」

「ギャグなの?」

「多分。あとはふた回りくらい大きくて、耳が翼みたいになっていて、ボスクラスって言われている『ソウゲンハネウサギ』かな」

「耳が翼って、見れたらきれいそうだね」

「でも強いうえに、策敵が高いのか、結構遠くからでもこっちに気付いて、跳躍から耳で滑空してくるから一瞬で目の前に来るんだよ」

「へっ!?」

「そして近づいてからの後ろ蹴りで跳ねあげられるらしいよ」

「怖い怖い」

「気をつけておいてね」


 二人でそんなことを話していると、


「君達可愛いうえによくそんなこと知っているね」


と声をかけられる。

 そちらを向くと、


「可愛いうえに物知りなんて、二人とも、俺のパーティに入らないかい?」


 うわー、ウザい。昔からゲームをしていても、この手のナンパ野郎はいたけど、女性になってから見ると、下心丸見えでウゼー。

 すると初雪ちゃんが、


「いえ、装備を買いに行った男性を待っているので」


といえば、


「女の子を待たせる男性なんて許せないね。そんなやつより俺と一緒に来ないかい。そんな男よりよっぽどいい扱いをしてあげるよ!」


 ……知らない相手のことをよくここまでバカにできるものだ。それにこいつはあの人ごみに俺はまだしも初雪ちゃんに突っ込ませるつもりか?というかいい扱いとは何だ?可愛い子を連れてうれしいのはおまえの頭の中だけだろうに。

 まあ、思ってもこんなことは言わないが。喧嘩になるか


「うるさいですね。知らないとはいえ、兄さんのことをよくここまでバカにできるものです。大体あなたはあの人ごみを見て、ここで待たせるよりいい扱いが出来るのですか?というか、相手のジョブも考えないで、可愛いだけで仲間にしようとか吐き気がします。近寄らないでください」


 ……喧嘩になるからやめようよぅ。

 定番のナンパ野郎です。

 こういう人って、実際に多いんですかね。自分は一回であってからもうあってませんが。(というかそのゲームをやってませんが)

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