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【速報】店から出れます
「マジックストーンってやつが出てきた」
「なんだそれ?」
「吹雪も知らないのか?」
「あぁ、βでやっているときには見てないな」
「そんなことよりどんなアイテムなの?!」
マジックと聞いて、初雪ちゃんがテンションを上げている。
「えっとだなぁ……
『アイテム:マジックストーンセット…任意で封じ込められた魔法を発動できる石のセット』
……だって」
「セットってことはいくつもあるの?」
「どうなんだろう?」
よくわからないので、アイテムをクリックして取りだすを選択。
すると出てきたのは、小物入れのようなものだ。
「結構可愛い箱だね」
それを開くと、
「「「おぉー!」」」
中には石がびっしりと。
詳しく調べてみると、
アロー・ランス・ボム・ウォール・ストームが4属性1種ずつで20個。
あとは4属性と、ATK・INT・VIT・AGI・DEX・LUKのエンチャントで10個。
合わせて30個のマジックストーンが入っていた。
4属性というのは、火・水・土・風の4つで、最初に選べる魔法系ジョブもこの4種類である。
「結構いろいろ入っているし、当たりなんじゃないか?」
「かもなぁ」
「いいなー。私も欲しい」
そんな会話をしながら石を取って確認すると。
『アイテム:マジックストーン[ファイアアロー]…任意で封じ込められた魔法[ファイアアロー]を発動できる石。強い衝撃を受けたりしても発動する。1度でも発動することにより、火属性の使える魔法系ジョブで使えるようになる』
……えっ?えっ!?
「どうした?」
「この説明読んでみてくれ」
「あぁ。……はぁっ!?」
「なになに!?……ええっ!?」
なにを驚いているかというと、魔法系ジョブは最初、○○ボールしか使えないのだ。その後、レベルが上がることにより、アローやウォールなどを覚えることが出来るのだ。
だというのにこれは、一度使えば覚えられる。ということは、
「「悠(兄ちゃん)。これほしい!」」
となるということだ。
「あ、やっぱり?」
「うん、これはぜひとも欲しいよ悠兄ちゃん。せめてアロー系とランス系だけでも」
「俺はやっぱりウォール系とストーム系だな。頼む、悠!」
「二人ともそのあたりを選ぶってことは、いつものスタイルなのか?」
この兄妹、毎回似たようなスタイルやっているんだよなぁ。
「おぅ!俺はいつも通り、盾で耐えてからの一発逆転大型魔法スタイル」
「私もいつも通り、素早くよけてからの小型魔法連発スタイル」
このように、吹雪は【タンカー】等の耐える系のジョブを取りつつ、魔法を取って属性盾を使ったり、盾の裏で大型魔術を用意していたりする戦車みたいなやつ。
初雪ちゃんは、俺の【シーフ】のように短剣や片手剣を使い、敵を攻撃しつつ小型魔法を用意し連発していく。その姿はまるで妖精やヴァルキリーだ!というのは二人とプレイした人の感想。
そんな感じに特徴的なうえ、二人はいつも一緒にやっているために結構有名なのだ。そんな二人についた名前は、『氷精戦車』だ。氷がどこから来たかといえば、二人とも名前に『雪』があるためか、氷属性をよく使い、使う名前も、吹雪がそのまんま『ブリザード』、初雪ちゃんも『スノー』なのだ。
ついでにいうと、今目の前にいる二人も、『ブリザード』と『スノー』だ。
まあ、二人の話はこれくらいにして、
「いいぞ」
「「えっ?」」
「俺は魔法系取ってないし、当分取る予定もないから欲しいの持っていっていいぞ」
「え、聞いておいてなんだけど。……悠兄ちゃん、本当にいいの?」
「ヒャッハー!さすがは悠!」
「……兄さん」
そういうと初雪ちゃんは額に手を置いた。
「あはは……。まあ、いいから持っていっていいよ。あと[エンチャント]も持っていっていいぞ。吹雪なら属性盾に防御アップ。雪ちゃんならINTやAGIは欲しいだろうし」
「わかってるなぁ」
「ほ、本当に?」
「あぁ、俺は魔法系取る予定はしばらくはないからなぁ。あ、あと、雪ちゃんは箱も持っていっていいよ」
「え!?」
「欲しそうにしていたからあげるよ」
「……ありがとう」
喜んでもらえてよかった。
「タダでもらうのは嫌だから、これをあげるね」
「これは?」
「私がガチャで手に入れた『魔法の調味料道具セット』だよ」
「おい雪。それも一応レアっぽい奴だがいいのか?」
「え、そうなの?だったら貰えないかなぁ」
「いいの!悠兄ちゃんのもレアだっただろうし、きっと悠兄ちゃんの方が使いこなせるもん!」
「でも……」
「いいから貰って。私からの感謝の気持ちだから」
うーん。あまり気が進まないけど、ここまで一生懸命にいうなら仕方ないかな?
「じゃあ、ありがたく頂くよ」
「うん。……あと兄さん、[ボム]系はいらないだろうし、あと使わなそうなDEXとLUKのエンチャントのマジックストーンは悠兄ちゃんに渡そうね」
「む?ふむ、確かにその辺ならいいか」
「別に要らないんだが」
使えないだろうし。
「いいんです。それに、[ボム]も属性魔法なので、使うことで習得できるようになるかもしれませんし、あって困るのはボックス容量だけでしょうから」
「わかったよ。そのうち使ってみるよ。ありがとう」
そうして、俺の手元には初期アイテムとマジックストーンが6個、初雪ちゃんからもらった魔法の調味料道具セットが残った。
これでガチャも終了したし、ここでやれることは終わっただろうから、店を出ることにする。
はい。
最初に言った通り、ようやく店から出れました。
次回で軽く街を歩いて、すぐにでもフィールドに出れるといいのですが、また調子にのって伸ばさないか心配です。
どうせなら、口の中の調子がよくなってくれればいいのに。