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6話:エルフ
――シンシア王国歴四百四十一年、獅子の月。王国大聖堂にて。
「貴方が勇者藍騎ですか?」
藍騎は、勇者として召喚され、それなりの行動を起こしたおかげで、姫との謁見が叶うようになった。
「は、はい。俺、いえ、自分は藍騎と言います」
藍騎は、まだ習いたてのたどたどしいセルヒ語で自己紹介をする。
「そう、貴方が、今、城下で噂の勇者藍騎ね」
姫は、鈴の音のような声で藍騎に告げた。
「貴方、我が国の秘宝『ミカエル』を求めているとのことでしたが……どこを見ているのです?」
藍騎の視線を不審に感じた姫、シルフィリアは、藍騎に問うた。
「あ、い、いや、なかなかに立派なエルフ耳だなぁと思いまして……」
エルフのところだけ、見合ったセルヒ語を思いつかないので、日本語での「エルフ」となってしまった。
「え、るふ?それは一体?」
シルフィリアの興味をそそってしまったのか、はたまた侮辱されたと思ったのか、真意は本人にしか分からないだろうが、彼女は聞き返してきた。
「えっと、その、……そうだ、『妖精』と言えばわかりますか?」
思いついた言葉でどうにか説明を試みる。
「『妖精』?それは、私が妖精の如く美しいと言うことかしら?」
「えっと、まあ、そう言うことです」
これが、シルフィリアと藍騎が初めて出逢ったときのことである――。




