35話:最後の選択
四人の姫と四律魔典、四つの宝石。そして、一人の勇者。彼は、「空白」の世界に一人、ただ佇んでいた。
「おい、女神とやら。急に、ここに飛ばした理由を教えろ」
藍騎は、セイリスとフェルアを家に上げた瞬間、この世界へと飛ばされてしまったのだ。
「勇者、紫藤藍騎、久しぶりですね」
「何なんだよ」
「貴方は、気づいていますか?四つの国、四百四十四、四年間、四つの宝石、四人の姫、四律魔典、四日間。全てが、四と言う数字を示すのに、何故、勇者は一人だったのかを」
「何故、勇者が一人か……?」
そう、シンシア王国、ディスタディア王国、フェルキス王国、デルタミア王国の四国。四百四十一年から四百四十四年までの四年間。四つの宝石を巡り、四人の姫とともに、四律魔典を相手にした。藍騎の世界で言うところの四日間。なのに、勇者は、一人だけ。それは、きっと……
「『コールブランド』『バルムンク』『ウィング』『ロンギヌス』か」
藍騎の魂の中にある四つの秘宝。
「そう、貴方の中にある秘宝。真名を『聖剣デフィトリア』『魔剣グラフィオ』『翼鳥レイベンネール』『神奏にして神槍ロンギヌス』。これらは、全て、彼の四国に伝わっていた宝具」
女神は告げる。
「本来なら、これは、勇者、紫藤藍騎の世界の人間、四人に渡されるはずだった。しかし、なんの因果か、秘宝は、貴方が全て、魂に納めていた。元来、こんなことはありえないのです。なぜなら、四つも秘宝を納められる魂など、女神である私が知る限り存在し得ない。しかし、貴方と言う例外が生まれた。一体、どれほどの魂の器を持てば、秘宝を四つも『魂閉』できるというでしょう」
そう言ってから、さらに女神は言う。
「さて、おめでとうございます、勇者、紫藤藍騎。貴方は、全ての四を知りました。かつて、彼の世界が生まれた時には、達成できなかったことを貴方に任せようと思います」
「出来なかったこと?」
ようやく藍騎は、口を開けた。
「そう、貴方には、ある権利が与えられました。どちらを選びますか?」
女神はゆっくりと告げる。
「自身の世界で生涯を終えるか、いずれ滅びる彼の世界で生涯を終えるか」
その問いに藍騎は、
「まて、いずれ滅びるってどういうことだ!」
「ええ、彼の世界はいずれ滅びます。もう、何年もしないうちに。理由は簡単です。根幹が崩れ去ろうとしている。だから、私は、貴方を彼の世界へと誘った。最後の選択を与えるために。さあ、どちらを選びますか、勇者、紫藤藍騎よ」
藍騎は、悩む。そもそもなんだって、自分がこんな選択をしなくてはならないのかと、真剣に悩む。そして
「俺は、俺は、――」




