34話:全てが揃った、その日
藍騎は、酷い有様の家から出て、学校に向かった。家の片付けや姫を含めた異世界人の世話で、いつもより少々遅い出発となってしまった。
校門の前に人だかりが出来ている。藍騎は、なにやら予感があった。感覚として知っている。共鳴、と言う感覚が正しいだろうか。藍騎は、人だかりの中に割り込んでいく。
「やっぱりか」
校門の前にいる女性。年のころは二十代前半だろうか。まるで澄んだ青空のような蒼色の髪と大海の様な蒼い瞳。聡明な様子を伺わせる知的な雰囲気。服装や一挙手一投足に気品が見受けられることから、まるでお嬢様や姫様のような感じがする。その女性の名は、セイリス・エデン・フェルキス。フェルキス王国の姫である。その横には、茜色の髪をしたフェルアがいた。
「セイ!フェルア!」
「藍騎様!」
「勇者様ぁ~!」
セイリスは、言うが早いか、抱きついてきた。フェルアは、猫を被り、猫なで声で、藍騎を呼ぶ。
「面倒なところで合流するなぁ。まったく」
そう言いながら、藍騎は、セイリスとフェルアを引きずって、来た道を引き返す。
いよいよ四人の姫と四律魔典が揃ったわけだが、
「フェルア、お前は、ディスタディアとどう言う関係なんだ?」
「あたしはですねぇ~、王の娘、つまり姫なんでぇ~す!でも、ディスタディアの血は一切無くて、お母様の血だけだったみたいで、追い出されちゃったんですぅ~」
そう言って、黒い羽を広げるフェルア。どうやら、アルカディアは半分半分。フェルアは片方。と、完全なディスタディアの血を継ぐ姫は生まれなかったらしい。
「でも、お前って、イーグ・プリズンだよな」
「イーグ・プリズンは、お母様の姓ですぅ~」
これで藍騎の仮説は、真実となった。でも、それが、何を意味するのか……。




